第13話 おっさんにおやすみを。

 今度はみなとの家で飲もうと約束して別れた。

 こいつはまだ三十代独身で、一人暮らしを楽しんでる。普段は家で酒は飲まないと言っていたし、案外家飲みしてたら、おっさんが出てくるんじゃないのか。


 家に帰りついたのが23時。

 家族はもう寝ている時間だ。


「よぉ、今日は遅かったな」


 俺の部屋には、つけた覚えのない明かりがついていた。そして机の上に寝そべって、漫画を読んでるおっさん。

 ……自分の身長よりでかい本を、上手にめくるもんだな。


「そういえば、おっさんの仲間って多いのか?」

「多いかって……まあ、普通じゃねえ? うほっ、この漫画おもしれえな」

「みんな、おっさんみたいに人んちの屋根裏に住んでる?」

「住んでるところは、いろいろだなあ。俺は自由人だけど、村を作ってる奴らもいるし。よし、読み終わった! 次の巻取ってくれ」

「……そろそろ寝ようと思ってるんだが」

「えー! 今、いい所なんだよぉ」


 おっさんが駄々こねてもかわいくはない。

 速やかに電気を消して寝た。


 おやすみー。


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おっさんだが、まあいいか~小さいおっさんのいる日常~ 安佐ゆう @you345

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