海は広くて大きくて

自由

海は広くて大きくて、きみは自由にどこでも行ける。

海は静かに穏やかに、そういうことを教えてくれる。

海は何でも知っていて、僕は何にも知らないの。

海に聞きたいことがある。僕は知りたいことがある。

海の綺麗な表面を、僕は少し覗き見る。

海の面（おもて）は美しく、僕の姿を映し出す。

海の中身はどうだろう、僕はさらに覗き込む。

海は暗くてわからない。中を見ようと潜り込む。

海は深くて底がない。音はあるけど、光はない。

海の中には何がある？　僕の知りたい何がある？

海は僕の目を奪う。海は僕のこころを奪う。

海は僕の自由を奪う。

海は僕の知らぬ間に、僕の身体を縛り上げる。

海は重くて冷たくて、僕は身動きすらできない。

海は動けない僕に、だたひとつだけ教えてくれる。

きみは自由にどこでも行ける。

僕は窮屈で苦しくて、何故来たのかと考える。

僕は聞きたいことがある、それは一体何だっけ？

僕はそれを思い出す。そして僕は海に問う。

海は広くて大きいが、僕はどこへ行けばいい？