第4話


僕はいつものように慣れた手つきでチャリを出し、坂道を疾走していた。


学校につくまでに自己紹介とかいろいろしようと思う。


僕は木落優 16歳、茶髪の高校二年生だ。


四姉弟妹の二番目の長男で姉弟妹の中では家事と姉妹達のお世話の担当だ。


おかげで高校では帰宅部…といっても高校は事情があって部活は三つしか部活は無いのだが…。


ちなみに友達は数人しかいない。


僕が少しオタク気質があり、ラノベが好きだからだろうかキモがられる。彼らはアニメの素晴らしさに気づけない悲しい奴らだな、と僕は内心思っているが、そんな僕も悲しいので最近はもう自分からは人に声をかける事はない。


高校は市内でもかなり就職率がいい公立の高校に通っている。


その中で成績は中の中だからたいして頭が言い訳ではないし決して悪いわけでもないと言う何とも言い難いポジションにいる。


そしてさっき先に家を出て行ったのが妹の沙耶と摩耶。


家庭内?(少なくとも冬姉と僕の中)では癒しキャラだ。


双子だが二卵性なので似てない。


可愛い方が沙耶で可愛い方が摩耶だ。


どっちも可愛いからこの説明でも間違ってはいないはず‼


まあそれは半分冗談で茶髪の活発なのが沙耶で黒髪ロングのお淑やかなのが摩耶だ。


二人に手を出したやつはジワジワと苦しませながら絶対にこの世から消してやる!


骨もしっかり有効活用してあげるから安心して欲しい。


何も安心できないと思うが…。


そのぐらい妹の事を大事に思ってるって事だよね☆


そして朝、タックルしてきたのが木落家の問題児(21歳)の冬姉だ。


本名は木落冬花。


呼びやすいから「冬」だけとって愛称も込めて冬姉と言っている。


冬姉は外見はいいし人当たりもそこそこだが、僕の事が大好きすぎて友達からは男女問わず引かれている。


そして何より冬姉はどんなに引かれていても気づかない。 本当は気づいているのかもしれないが、それにしても演技が上手すぎるくらいだ。


本人にわかってしまうくらい「好き好き」言ってるのはどうかと思うし、今のままだと婚期のがしそうだからいい加減弟離れ(?)して欲しい。 …まあ別に嫌ってる訳じゃないし… ふ、冬姉の事なんかなんとも思ってないんだからね!


いっけねまたツンデレが出ちゃったよwww


こんな事考えていたからだろう、下を向いたその一瞬だった。


僕が気づいたのはそれが起こったあとだった。


僕の左から強い衝撃が襲う。 それと同時に空中に放り出され、時が止まったかのようにスローモーションになる。


え?


ここで僕は車にはねられたことを理解する。


と、同時に酷い恐怖が襲ってくる。


ここからが長かった。


やばいどうしよう これじゃ学校は間に合わない! …じゃなくてこのままじゃ…死ぬ‼


体は未だにスローモーションのまま宙を舞う。


体が一回転して車に乗っている人の顔が目にはいる。


口に手を当ててやってしまった、と言わんばかりの表情でこちらをみていた。


一瞬のことだから相手が何もできないことを分かっていながら僕は見ているだけじゃなくて救命の準備とかしろよ!


と憤りを覚える。


しかし、そんなことも一瞬で忘れてしまった。


きっとほんの一瞬の出来事はマンガのようにコマ送りでぼくの視界を支配する。




そして…………着地。


その着地でさらに体を打ち付け、ゴロゴロと力なく転がり体ははねられたところから道路一本分飛ばされたところで静止した。


死ぬほど体が痛かった。


体を動かそうにも力の入れ方を忘れたかのように力が入らずピクピクと痙攣しているかのように動かすのが精一杯だった。


ここで僕の意識はどこか遠く、高いところに飛んで行った。


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明日僕らが笑えるように 仲谷光琉 @soreboku

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