Ⅲ.明るく楽しい月曜日

 明人と照美は、繁華街の外れにいた。照美が癇癪かんしゃくを起した子供のようにタブレットをぶんぶんと振っている。


「頼むでほんま。パチンコ屋以外のとこに反応してや!」


 明人は後ろからその様子を呆れ顔で見ている。


「照美ぃ。もう帰ろうや」


「サンディーって呼べ!」


「もうええやんけ、それ」


 明人が肩を竦める。


「あ、反応があった! 父さん、妖気を感じます!」


 照美がタブレットを指さす。


「お前、二度とそのセリフ使うなよ」


 明人が照美を指さし指摘する。


「あっちやな……」


 明人の言葉を意にも介さず照美が先へ進んでいく。明人はため息を吐きながらその後を追う。


「あ、そうや! 明人にもニックネーム付けたるわ」


 照美が不意に振り返る。


「はぁ? 北極での海パンくらい必要ないんですけど」


「そうやなぁ。うちがサンディーやから、明人はマンデーってのはどうや?」


「ダッサ!」


「ええやん。明人の名前にちょうど【月】って入ってるし」


「嫌やわそんなダサイの」


「あ、でも待って。マンデーって逆に女の子っぽいか……」


「はぁ? なにがやねん」


「いや、だってまん」


「お前それもしかして下ネタちゃうやろな?」


 照美の言葉を食い気味に明人が遮る。ふいに、レーダーからアラートが鳴った。



「おったで、マンデー」


 照美が路地裏に目を向ける。目線の先に、うようよと蠢く影が見えた。


「二度と呼ぶなよ、その名前で」


 明人も照美の横に並ぶ。


「さぁ、いくで。なにがあったか、うちらに教えてや!」


 照美が叫ぶと同時に、胸元の石がほわりと光った。



end.

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SUNDAY~田崎くんのツッコミ退魔日記~ 飛鳥休暇 @asuka-kyuka

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