JCでもできる!はじめての悪の首領【VR版】

作者 虚仮橋陣屋(こけばしじんや)

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★★★ Excellent!!!

皆さんは正義と悪、どちらにあこがれますか?
私は悪です。

死んだおじいちゃんから託されていたVRゴーグルと指輪。女子中学生麻央がそれを装着すると、なんと悪の首領アーク・ダイオーンになってしまった!?
構成員である怪人たちの統率をすることになった麻央は、役目を引き継ぎ二代目となるが……。

そんな導入から始まる本作。
正直、「下町を舞台に怪人を率いる悪の首領二代目を襲名した女子中学生が奮闘する」というだけで私の中ではほぼ百点満点です。
下町が舞台のゆるめの正義vs悪は昔から存在するものの、こんなところでちゃんと新しい時代の作品が作られていたのだなと感じられる作品になっていました。舞台も高齢化が進んだ下町だったり、VRアバターというアイテム、悪としてのあり方、現代的なニュース、そして”なんかありそう”な正義の味方。
悪の掟は理想論なのかもしれませんが、良い意味で子供向けのせいか、そのへん安心して読めるというか、言ってしまえば余計な水を差されることはありません。ある種の希望すら感じる勢いは、久々の感触でした。
やはり物語において世界を変える役目を持っているのは少年少女だと思わされる。

さて、本作にはVRが出てきますが。
読者側にも存在するであろうVR=バーチャルリアリティという固定観念を利用されたのもだいぶ好感触です。VRじゃないというのは何となく想像がつくものの、驚く主人公を見ながらニヤッと出来ることでしょう。

また、アーク・ダイオーンの姿になった途端、口調が悪の首領っぽくなるのもいい。
こういう口調はわざとらしくなると小説の中で浮いてしまう事も多々あるのですが、この作者さんはそのへん上手いなと思いました。

気になったところは、はじめの導入が丁寧なぶん、早くVRゴーグルしないのかな、と急かしてしまったり、下町の皆さんにももう少し個性というか下町根性が見られても良かった… 続きを読む

★★ Very Good!!

 この物語を読んでいて感じた事は、私は大人になり、ひどく曖昧にしたままで進んでいる事が多いという事でした。

 正義とは、悪とは…これ、何となくしか分かっていなくて、その上、「人それぞれ」という便利な言葉で説明したつもりになっていました。

 恐らく、大多数の人がそうだと思います。

 その結果、以前は正しいと思っていた行動が取れなくなる、冷笑癖がつく、挙げ句、粗探しをばかりしてしまう、という事になっていないでしょうか?

 私はなっていました。

 本作の《悪の掟》についても、あれやこれや、穴は多く見つけられます。

 でも、そうじゃない、と気付もします。

 少なくとも自分が中学生の頃ならば、動けた、動いていたはずの行動があるからです。

 中学生が潜在的に持つパワーを在り在りと見せ付けられる本作、とても爽快です。