ホラー

奏 由夢

オオヤ

今朝、起きると喉に違和感を感じた。

イガイガして、唾を飲み込むのがつらい。

『ああ、喉痛めた』

そう思った。

『なぜ喉をいためたのだろう?』

そう思ったが、昨日エアコンをつけたまま寝たことを思い出した。

エアコンをつけたままにしていたため、

空気が乾燥し、喉も乾燥したためにばい菌が喉に入ってしまったのだ。

今日も仕事があったが、そんなことで休むわけにはいかず、

いつものように仕事に出かけた。


もう午後6時。

私は仕事が終わり、家に帰っていた。

『今日も疲れたぁ』

そう思いながらキッチンに行き、てきとうに食事をすませた。

それから少しテレビをみてからお風呂に入り、すぐに布団に入った。

疲れていたため、私は吸い込まれるように眠りに落ちた。


真夜中、私はふいに目が覚めた。

喉が焼けるように痛い。瞼が重い、開けることができない。

全身が熱をもっていて熱い。まるで全身を炎であぶられているようだ。

『昨日の朝あった喉の痛みが悪化したのだろうか?。。。』

『苦しい』

そんなことを考えていたときだ。

ガタン!

突然、玄関の方から扉を閉めるような音が聞こえてきた。

もちろん扉には鍵をしていたため、誰かが入ってくるようなことはないはずだ。

ましてやこんな真夜中に。

私は苦しさと恐怖から、冷静さをなくし、混乱していた。

そして音がする。

トン、トン、トン、トン

と、床を誰かが歩くような音が。。。

そしてそれはゆっくりと私がいる部屋に近づいてくる。

体は動かない。呼吸をしているのかも分からない。

はっきりと動いているのがわかるのは耳だけ。

耳だけが動き、音をとらえている。

そして今、足音が私の部屋の前でとまった。

刹那の間があった後に、扉を開ける音とは思えないくらい

大きな音が鼓膜を震わせ、目の前が真っ白になった。


「あ゛あ゛あ゛!」

私は大声をあげて飛び起きた。

「はぁ、はぁ」

呼吸が荒い。

何があったのか分からない。

ただ、なにか怖いことがあったということだけは覚えている。

そういえば喉が痛くない。

『寝ている間に治ったのだろうか?』

『まあ、治ったんだからそんなことはどうでもいい』

そう思い、いつもどおり仕事にでかけた。


その半年後。

私は諸事情によって、今まで住んでいたアパートを出ることになった。

そしてアパートを出る当日、アパートの大家さんからこんな話をきいた。

どうやら私の住んでいた部屋は20年ほど前、空き巣が入り、

当時住んでいた女の人を殺害したらしい。

私はそれをきき、半年ほど前に変なことがあったのを思い出した。


私は1日中ずっと眠りこけており、

次の日に何気ない顔で部屋を出て仕事に向かったという。

私は仕事にいったときになぜ昨日来なかったのかきかれびっくりした。

私は確かにに昨日仕事に行った、はずなのだが、どんなことをしたのかきかれても

はっきりとは思い出せない。ただ仕事にいったということしか覚えてなかったのだ。


あの部屋に住んだ者にはこういったことがたまに起こるらしい。

そのため、その部屋は呪われているといわれていたみたいだ。

そして事件当日、住んでいた女の人は喉を痛めており、ひどい熱があったという。

私はそのときなにかを思い出した。

あの謎の1日、私はとても苦しかった。全身が熱かった。怖かった。

そして誰かに襲われた。そいつの顔は。。。オオヤ

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ホラー 奏 由夢 @yumusurs

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