エレベーター
中西歩美は孤立していた。
たった1人、閉じ込められていた。閉じ込められているとは言っても誰かに意図的に監禁されているというわけではなく不慮の事故でエレベーター内に閉じ込められた。
歩美は今日の夜、塾に来ていて帰り道、忘れ物に気づき取りに戻ってきたのだ。帰り道の最中から少し尿意を感じていたが塾がある階のトイレを忘れ物を取ってきた後で済ませようと考えていた。しかしその乗っているエレベーターが突然停止してしまった。
歩美は最初こそは慌てていたがその内、冷静さを取り戻し非常用のボタンを押した。
しかしボタンを押してもなんの反応もなかった。
「…うそっ…」
この時の歩美はまだあまり尿意を感じてはいなかったがもしかしたら出られないかもしれないという恐怖が尿意を強めた。
「んっ…」
最初の波が襲いかかり歩美は慌ててズボンを押さえた。ぎゅっと、強く、押さえた。
その甲斐あってかすっと尿意は減っていったためこの時の歩美に漏らしてしまうかもしれないという意識はそこまで強くなかった。
「すみませーん…すみませーん…」
それからも歩美は健気に非常用のボタンを押した。10回程度押しただろうか、やっと向こうからの反応があった。
「はい、どうされましたか?」
「す、すみません、エレベーターが止まっちゃったみたいなんですけど…」
「どこのエレベーターですかね?」
「西棟のエレベーターです…」
「わかりました。しばらくお待ちください」
ようやく助けが来るとホッとした歩美はその場に腰を下ろした。その瞬間だった。
「え…!うそ…!!」
歩美の尿道に熱いものが流れそれが体外に放射された。
「ん…!!あ…!だめっ…!!」
歩美は少し腰を上げ膝立ちの状態で股間を押さえた。またその波も一時的なものですっと引いていった。ズボンを見るとまだズボンの方には染み込んでおらず一安心した。しかしこのことからもしかしたら漏らしてしまうかもしれないという意識が強くなった。
[お願い…早く…来て…!]
歩美は強く、強く、そう願った。
しかし歩美の願いはそう簡単には叶わず30分ほどしても助けは来なかった。
歩美はじっとすることができなくなり狭いエレベーター内を動き回っていた。
最初の頃はただじっとしていられず歩き回っているようだったがその内股間を押さえ始め、しまいには身体を屈めて小刻みに動き始めた。それに比例するように我慢する喘ぎ声が漏れ始めた
「んっ…あっ!…はぁ…!あっ…あっ…あっ…」
恥ずかしい声がエレベータ内に反響し歩美の耳に入るがそんあなことを気にしている場合ではなかった。
「だめ…漏れちゃう…早く…助け…て…」
歩美は声に出して祈った。
その祈りが叶ったのか1分後に大丈夫ですか?という声が聞こえた。
歩美はその声が聞こえていたが我慢するのが必死で返事をすることはできなかった。
「今から扉を開けますね」
その声は歩美にとって救済の一声だった。
歩美は扉の前に行き片手で扉の前についていたてすりをぎゅっと握り、もう片方の手で股間をぎゅっと押さえた。
しかしその時、悲劇は起きた。
やっとトイレに行けるという安心とエレベーターの扉を開けようとする振動で歩美のダムは決壊した。
今まで我慢し続けた液体が身体の一部からとめどなく溢れ出した。
歩美はもう一度股間を押さえるがそれが歩美をオーガズムに導いた。
「あっ…♡」
歩美の身体はビクっと跳ね、そこからは意思でどうこう出来るレベルではなかった。
歩美の身体は仰け反り脚はガクガクと震えた。その脚には生暖かい液体が伝った。ズボンはじゅっじゅっという生々しい音を立て濡れていった。
そんな一番恥ずかしく一番見られてはならない時に扉は開かれた。
きっと助けに来た警備の人は歩美がアヘ顔をしながら脚をガクガクと震わせ失禁している哀れで処理が大変な女という風に見えただろう。
歩美の目には警備員の姿は映っていなかった。彼女の意識は全てから解放され解き放たれた優越感の中にあった。
そこから戻るには自らの肌に失敗の水の冷たさが感じる必要がありそれを感じるにはしばしの時を要した。
羞恥の水 さゆ @sayukagawa
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