羞恥の水
さゆ
バレーボール
高校1年生の大宮真美は後悔していた。
今は火曜日の6限目、体育の授業が始まる頃だった。7月に入り猛暑日が続く毎日。日に日にお弁当と共に持参する水筒に入れるお茶に量が増え、ついに今日は小さな水筒では足りなくなり少し大きめの水筒に目一杯お茶を入れて来ていた。
そのお茶を全てお弁当と共に乾いた喉に流し込む。部活は運動部に所属しているわけではないのでここでお茶を飲み干してしまっても特に問題はなかった。
しかし5限の授業が長引き、6限の体育の着替えの最中に遅刻を気にしてトイレに行かなかった。最初は少し行きたいと思う程度だったから大丈夫だろうと思っていたが準備運動が終わった頃には尿意が大幅に増加していた。
[やっぱり…行っておけばよかったかな…]
真美は心の中で後悔した。
体育の吉田先生はとても厳格でトイレに行かせてくださいなんて言ったらなんで授業前に行かなかったんだとこっ酷く怒られてしまう。前に同じクラスメイトの子もそんな目に遭っていた。
[仕方ない…我慢しよう…私、バレーはそんな得意じゃないからあまり動かないようにしてれば…]
尿意が増加したと言っても高校生であるから多少は我慢できる。1時間程度ならなんとか持つと思って練習に入った。
「真美?大丈夫?」
真美の練習相手である栗田唯は真美がソワソワしているのを察知し声をかけた。
「う、うん…大丈夫」
「それならいいけど…じゃあトス練習から行くよー」
そう言うと唯はバレーボールを真美の方になだらかな曲線になるように投げた。
真美はそのボールをアンダーパスで返した。
ボールが手に当たった衝撃が全身に走る。いつもであれば気にしないのだが今日は尿意からか身体が敏感になっていた。
「ん…」
真美は思わず下半身に力を入れ、顔を歪ませた。顔も赤くなっていたからか、唯はもう一度心配の声をかけた。
「本当に大丈夫?風邪じゃない?顔赤いけど…」
「だ、大丈夫だってば…」
内心は大丈夫でなかった。
そこからは普通に練習を続けた。続けていると慣れて来たのかあまり尿意を感じなくなっていた。これならなんとか耐え切れるかも。そう思っていると練習終了のホイッスルが鳴った。
そのホイッスルが鳴ると試合用に組まれたチームの方へみんなが動き出す。この授業では試合が組み込まれており一回の授業で2回試合形式の練習を行うことになっていた。私のチームにはバレー部のキャプテンがおりその子に今日は任せようと思った。
「よーし、みんな頑張るよ!」
キャプテンがチームメイトに応援をかけるとチームメイトもそれに応じた。
「オオー!」
「お、おー…」
少しは落ち着いたと言っても依然として尿意は強いままで大きな声を出せなかった。
[大丈夫かな…でももう始まっちゃうし、我慢するしかないよね]
真美は自分の最初のポジションについた。
これは体育の授業なのでみんながそれぞれのポジションを経験できるようにローテーション方式が採られていた。私は最初、サービスのポジションだった。
[ううー…]
心の中でグッとこらえながらボールを放った。私はバレーが得意ではないため専らアンダーサービスなのだが今日は力を入れすぎて相手のコート外にボールは着地した。
「ご、ごめん…」
「ドンマイ、ドンマイ!」
キャプテンは豪快に笑って励ましてくれた。
私がミスをしたため相手サービスとなったが流石はバレー部キャプテン。チームメイトに的確に指示を出し最後は自分が強烈なスパイクを相手コートに叩きつけた。
「よっし!」
キャプテンがそう言うとみんなが集まりハイタッチをした。私もそれに続かなければならない。
キャプテンは一人一人にハイタッチをして最後に私にハイタッチをした。キャプテンのハイタッチは強烈で思わず下腹部に溜まっているものが溢れ出しそうになった
[!!!]
グッと堪える。
流石にその姿を見てキャプテンも怪訝な顔をした。
「どした?大丈夫か?」
「だ、大丈夫…大丈夫…」
そのまま試合は展開し、私はローテーションにより一回の休憩に入った。
もう既にポールにつかまっていないと厳しい状況だった。
この試合は後五分ほどで終わる。それが終わったら一試合分の休憩が入る。その時にトイレに行こう。怒られるのが嫌とかそんなことを言ってる場合ではなかった。
そして再び私の出番が来たがなんとか運がいいことに私にボールは回って来ず再びサービスのポジションについた。
[次は成功させないと…あまり力を入れすぎずに…]
今度は前回の反省を生かしサービスをした。次は綺麗に相手コートに着地した。しかしその瞬間私に強烈な尿意の波が襲った。
[ん〜〜〜っ!!!!]
私は心の中で必死に我慢した。
ゾクっ
ゾクっ
しかし段々その尿意が気持ちよくなっていた。私は感じてしまった。
「真美!ボール行ったよ!」
ボールの弾道上にはぴったりの位置に真美がいた。
しかし真美はそんなことを考えている余裕はなく、反射的に手はアンダートスの形になっていたがボールを視認することはできなかった。そしてそのままボールは真美の手に当たり相手コートに入った。
相手はもう一度真美のいる方向へとボールを飛ばした。しかしそのまま相手は何故か硬直してしまった。
「真美…もういっか…」
キャプテンがこっちを見るとキャプテンも硬直してしまった。
それもそのはずである。真美のズボンはある一箇所に大きな染みが出来、地面には若干黄色味がかった液体が垂れていたのだ。その黄色味がかった液体は真美のズボンの内側にあるものから放出されその液体は真美の脚を伝い、地面、そして真美の靴に染み込んだ。
[ああ…ああ…あ]
真美の顔は完全に緩みきり頰は赤く染まっていた。脚はガクガク震え子鹿のようでしばらくするとそこにぺたんと座り込んだ。地面に落ちた液体が真美の尻に染み込む。座り込んでからも液体は放射され続けた。もう自分の意思では止めきれず溢れ出す。そこにいた人たちはただただその光景を見ることしかできなかった。
真美はその時恥ずかしいと言う気持ちはなくただ気持ちの良い空間に浸っているだけだった。内側から全てが溢れ出す開放感、体に染み込むいけない水の背徳感。そんな真美を現実に引き戻したのは真美の前に広がった海に相手チームがトスをしたボールが着地した時だった。
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