塾
[もう…ダメっ…]
中学3年生の伊藤梨乃は自身のホットパンツの上をぎゅっと押さえた。
足を小刻みに動かし落ち着きのない様子だった。しかし足を動かしていると言っても梨乃がいるのは塾の一番後ろの席で誰も梨乃の落ち着きのなさを知る由はなかった。
[ぐ…とい…れ]
梨乃は授業が始まって30分、トイレを我慢していた。授業時間は1時間で初めのうちは1時間ならなんとか間に合うだろうと思っていたが想像以上に尿意が増すのが早かった。
「よーしじゃあここ、伊藤分かるか?」
「ふえ?!」
急に当てられ一気に尿意の波が押し寄せる。梨乃はさらに力強く押さえた。
「え、えっとわかりません…」
いつもであれば分かるような問題であったのだろうが、今の彼女にそんな余裕はない。
「ちゃんと聞いてろよー、じゃあ柏原ー…」
先生は呆れたようにそう言うと他の生徒に目を向けた。
[や、やばい!このままじゃ…あ、ああっ]
彼女の最後の頼みの門が少し開きそこから何滴か液体が溢れ彼女の下着に染み込んだ。
もう限界間際だった。
「せ、先生!トイレに行ってきてもいいですか?!」
もうこの際恥ずかしいなどと言っている場合ではなかった。授業を受けている生徒の目線が梨乃に集中する。梨乃の顔を見れば限界なのは一目瞭然で、羞恥心でどうにかなってしまいそうだったが漏らすよりかは全然マシだった。
「おーいいぞ」
先生はすんなりと了承し、梨乃は駆け足でトイレの方に向かった。
[トイレ…トイレ!!]
梨乃の頭はトイレのことだけだった。全神経を下腹部に集中させなんとか門が開かないようにした。
急いでトイレに駆け込み鍵をかける。そしてホットパンツのチャックを外そうとした時。
「あ…あれ?!」
チャックが服に引っかかって取れなくなっていた。いつもであれば冷静に服の引っかかっている部分を外すのだがその時の梨乃にそんな冷静さはなかった。
もちろんむやみに引っかかっている部分を外そうとしても取れなかった。
そしてとうとう梨乃が大切に大切に開かないように守っていた門が開いた。
一瞬のうちに梨乃は開放感に包まれた。全てを解き放ち、その解き放たれたものはホットパンツに染み込みどんどん色を変えていく。梨乃の膀胱から放たれた水に量は梨乃が想像していた以上に多くホットパンツに染み込むだけでなくそこから直接音を立てて便器にこぼれ落ちた。
シャー…
梨乃は全てを諦めた。
チャックが服に引っかかって開かなかったことなんてどうでもいい。梨乃の手はチャックのある位置から離れ、力が抜け、腰のあたりで静止した。
ガクガクとしている脚を尿が伝う。
最初は尿を堪えるように内股のポーシングだったが徐々に内股である必要もなくなり棒立ちとなった。
完全なる敗北のポーズだった。
ピチョン…ピチョン…
あれだけ勢いが強かった尿も次第に終わりを告げ、残されたのは静寂と敗北に証拠である尿が染み込んだ下着とホットパンツだった。
初めは温かかった尿が次第に冷たくなり肌に触れる。それと同時に梨乃の目が覚めた。
[どうしよう…このままじゃ…教室に戻れない…]
脚に付いている尿はトイレットペーパーで拭き取ればいいが、肝心に服はびちゃびちゃでどうしようもない有様だった。
[どうしよう…どうしよう…どうしよう!!]
このまま教室に帰るなんてできるはずもない。なんとかしなければ。
そんなことを考えていると追い討ちをかけるようにドアをノックする音が聞こえた。
「ひゃい?!」
梨乃は驚きから変な声を発した。
「い、伊藤さん…?お願い早く…出て…もう…無理…」
今にも途絶えそうな声が聞こえてきた。その声は梨乃の前の席の橘京子だった。
「た、橘さん?ちょ、ちょっとまって…」
橘は優秀で美人だ。梨乃は決してこんな姿を見られるわけにはいかなかった。
[なんでこんな時に橘さんが…あ、そういえば…]
梨乃は授業中、京子の様子がおかしかったことに気がついた。自分もトイレを我慢していたため気にしている暇はなかったが橘も落ち着きがなかったのだ。
[もしかして橘さん…!]
そう思いドアの方に目をやると「あ」という短い言葉が聞こえた後にドアの下の隙間から黄色味がかった液体が流れてきた。
間違いなく尿だった。
ドアの前ですすり泣く京子の姿が梨乃にはわかった。
梨乃は思い切ってドアを開けた。
ドアが開くと京子は尿の海にぺたんと座っていた。京子のズボンも梨乃と同じような敗北の液体が染み込んでいた。
梨乃がドアを開け、ちょうど京子の目の前には梨乃のホットパンツの染みがあった。
「もしかして、伊藤さん…も?」
「ごめんね、橘、さん」
泣いている京子を見ているとなぜか梨乃も涙が溢れてきた。
2人の少女の敗北。
2人は全てを認め、あるがままを認め、教室にいる先生に事の顛末を伝えた。
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