祭り

…笛の音が響く。

屋台や提灯が祭りを賑やかに演出する。

気の合う奴らといつもより少しはしゃいでしまう。


「なんで焼そばって祭りで食うといつもよりウマイんだろうな!」


友よ、そいつは祭りあるあるだぜ?

ついでに教えてやろう、他にも祭りあるあるといえば……


「あれ?あそこに居るのって…」


聞けよ、我が友よ(笑)

あるあるを聞いてくれない我が友の目線の先を追うとそこにはクラスの女子たちが居た。

しかもみんな浴衣だ。


「へぇ、意外と似合うじゃん」

『意外とは余計じゃない??』


──あいつも来てるのか。可愛いな浴衣姿。


後ろの方に隠れるように佇む彼女は、

クラスでは割りと目立たないタイプ。

でも優しくて笑顔が印象に残っている。


「……なぁ、あいつ意外と可愛いのな」


我が友よ、俺は前から知っていたよ。

会えて嬉しいが、他の男子に魅力がバレてしまったのは少し悲しい。

これも、あるあるのひとつなんだが。


『花火始まるみたいよ?』

「お!じゃあ行こうぜ!」


ついていこう歩き出す。

すると、と袖を引かれた。

振り替えるとそこには浴衣姿のあの子。


『浴衣…どうかな?』

「似合うよ、可愛い」


まさかの問いだけど、正直に答える。


『良かった!嬉しい』


そして少し照れながら彼女が言った


『…一緒にお祭り回りませんか??二人で』


──こんな、あるある俺は知らない。

でも、答えは決まってる。

……我が友よ、また学校で会おう。


夜空を花火が彩っていた。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いつもの場所で、いつものアレを @kazu0518

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る