3
「なっ……んだと……!」
聞こえてきたのは驚愕に満ちた男の声だった。
プリズムトパーズが目を開けると、迫ってきたはずのゆるいキャラ達がその場に倒れていた。
まだ微かに動いているのでコアが破壊されてはいないようだ。
「これって……!」
「諦めるのはまだ早いわよ、トパーズ」
「そうそう。果報は寝て待てって言うじゃん?」
二つの声がプリズムトパーズの耳に届いた。
彼女は声のするほうに視線を向ける。
と、声の主であるピンクの髪の少女と青い髪の少女がゆるいキャラ達と戦っていた。
彼女たちもプリズムトパーズと同じような衣装に身を包んでいる。
そう、プリズムトパーズは彼女たちのことを知っていた。
「お待たせ!」
「抜け駆けなんて、新入りにはまだ早いぞ?」
「ルビー……サファイア……」
ピンクの髪の少女の名前はプリズムルビー、青い髪の少女はプリズムサファイアで、ふたりはプリズムトパーズの仲間であった。
「ちっ、揃ってしまったか。まあいい。全員まとめてそいつらの仲間にしてやる」
ゆるいキャラ達が再び向かってきた。
「ハッピー!」
プリズムルビーはハッピーを呼んだ。
「了解だッピー。プリズムフルート、召喚だッピー」
ハッピーが召喚したフルートをプリズムルビーは受け取った。
「奏でましょう、あなたのための癒やしの曲。ヒーリング・メロディー……トゥ・ユー」
彼女がフルートを吹くと心地の良い曲が流れ、ゆるいキャラ達は眠りについた。
しかし、眠りにつかない個体がいた。
それは熊のゆるいキャラであった。
「あれが本物のコアを持ってるわ! 二人とも、準備はいい?」
「いつでもオッケーだぜ!」
「は、はい、大丈夫です!」
「プリズムギター、プリズムタンバリン、召喚だッピー」
ハッピーはギターとタンバリンを召喚した。
「アタシから行くぜ!」
プリズムサファイアがギターを手に取った。
「聴きな、アンタのための熱い魂の曲! ソウル・ロック・ビート!」
ギターをかき鳴らすとたくさんの音符が実体化して鎖となり、熊のゆるいキャラを拘束する。
「決めてくれ、トパーズ!」
「はい!」
トパーズはタンバリンを手に取った。
「届けたい、あなたのための私の祈り。マイ・ウィッシュ・グランディオーソ」
タンバリンを叩くと光の玉が生まれた。
「もっともーっと! タン・タン・タタ・タンッ♪」
さらに叩くとその分だけ光の玉は増えていき、合体して大きな塊となった。
「何をやっている! そんなオモチャなど早くほどいてしまえ!」
男が命令を下すと、熊のゆるいキャラは力を込めて音符の拘束を無理矢理ほどいた。
そして、プリズムトパーズに迫る。
「危ない!」
「トパーズ!」
「大丈夫です」
プリズムトパーズはタンバリンの周りの鈴を撫でるように鳴らす。
すると、光の塊が熊のゆるいキャラを包み込んで中に閉じ込めた。
「フィナーレッ!」
最後にタンバリンを一度叩くと、熊のゆるいキャラの内部から紫色の光が現れた。
「ハッピー!」
「任せるッピー」
プリズムトパーズが呼びかけるとハッピーが紫色の光に近づいた。
「絶望のエナジー、なくなれっピー!」
ハッピーが大きく口を開けると紫色の光は吸い込まれていった。
「くっ、今回はここまでか……」
男はそう言い残すと空間に穴を開けてどこかへ消えた。
ゆるいキャラに変えられた人たちは元に戻り、会場には賑やかさが戻った。
それを遠くで見ていた三人は変身を解く。
プリズムルビーは可愛らしい少女の姿に、プリズムサファイアは活発な少女の姿に、そして、プリズムトパーズは大人しめの少年の姿に。
「よかった、みんなの笑顔が戻って」
プリズムルビーだった少女、桜山アカネはホッと一安心する。
「アタシらもイベントに行ってみないか?」
プリズムサファイアだった少女、海野アオイがふたりに提案する。
「それ、いいですね!」
プリズムトパーズだった少年、黄瀬卓人はアオイの提案に賛成した。
「ハッピーはアイスを食べたいッピー」
ハッピーは空中をくるくる回りながら言った。
『賛成っ!』
アカネ、アオイ、卓人、そしてハッピーはイベント会場へと急いだ。
ニチアサ系魔法少女プリズムガールズ 五千歩万歩 @mugiug
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