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「これ以上は行かせません!」
その瞬間、会場の出口付近に少年が現れた。
少年の登場にゆるいキャラ達は足を止めた。
「おや? 少年よ、こんな所に何の用かな?」
男が聞くと少年はキッと睨みつける。
「あなた達の野望は僕が絶対に許しません。ハッピー!」
少年の呼びかけでフェレットが現れた。
「了解だッピー。
フェレットのハッピーは黄金色の光を発現させたかと思うと、そこに丸いコンパクトミラーが現れた。
「いきますっ!」
少年はそれを手に取るなり唱えた。
「プリズムパクト、フルオープン!」
コンパクトミラーを開くとそこから溢れ出した光が少年の体を包み込み、そして解き放たれる。
全身は黄色のフリル付きショートドレスに包まれ、胸元と腰にそれぞれリボンが施されていく。
腕には黄色のリボン付きフィンガーレスグローブが、足元には黄色のローヒールブーツがそれぞれ出現する。
髪をも包み込んだ光はショートヘアだった少年の髪をポニーテールに変え、黒かった髪色も黄色に変わった。
「身だしなみは完璧。仕上げといきますか」
コンパクトミラーから溢れた光は化粧用のパフを作り、少年がそのパフで両頬を軽く叩くと頬は赤く染められた。
さらに、何度か
「締めくくりは──
そう唱えると、顔の形が少年らしい角ばったものから少女らしい丸みを帯びたものに変わり、腕や足は華奢なものに変わり、腰はくびれて胸元は膨らんだ。
そうしてすべての変化が終わった。
「炎のように燃えたぎる私の祈り。プリズムトパーズ、ここに推参!」
その声は少女のように高かった。
というよりも、少年が変化を遂げた姿は少女そのものであった。
「プリズムトパーズ……プリズムガールズの新たな仲間か」
「この人たちを元に戻しなさい!」
少年改めプリズムトパーズが言うと、男はわずかに笑った。
「ふふ……戻せと言うのか」
「何がおかしいの!」
「残念だが、俺はコアを与えるだけで元には戻せないのだよ。戻せるとすれば……君がコアを破壊するしか方法はない」
「そう。方法がないってわけじゃないのね。だったらさっさとコアを破壊させてもらうわ」
プリズムトパーズはコアを破壊しようとゆるいキャラの一体に迫った。
「やめておいたほうがいいぞ」
そんな彼女を止めたのは男であった。
「どういうこと? 時間稼ぎなら遠慮しとくわ」
「ふふ……そうではない。これは忠告だ」
男はゆるいキャラ達を指差した。
「俺がコアを与えたのはこの中の一体のみで、残りの奴らのコアはいわばダミーだ。しかも、ダミーのコアを破壊すればその者は完全に消滅する。元の姿に戻ることなく完全にだ」
「そんな……!」
「こいつらは今どれくらいいるだろうな? この中からたった一体を探すのは不可能に近い」
「くっ……!」
プリズムトパーズはゆるいキャラから離れた。
本物のコアを与えられた個体がどれか分からない以上、不用意に攻撃を加えることはできない。
「ふふ……呆気ないな。やれ」
男の命令でゆるいキャラ達がプリズムトパーズに襲いかかる。
間違えればその人を消滅させてしまいかねない恐怖が彼女を襲い、プリズムトパーズはあっさりと囲まれてしまった。
「さあ……プリズムトパーズ、貴様もそいつらの仲間となるのだ!」
ゆるいキャラ達が一斉にプリズムトパーズに殺到する。
「ダメッ……!」
彼女は覚悟した。
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