タグ6

空飛ぶこんにゃく

隣の芝生は青い

灰色の部屋で育った▲▲は、鉄格子の外から見える隣家の庭にある青々しい芝生が羨ましかった。

▲▲は隣家の芝生を手に入れたが不思議と満たされることはなく、ふと見えたさらに隣家の庭の芝生がもっと青々しく思い、羨ましかった。だからまた奪う。

その欲は底知れず、止まることを知らない。地上の青い芝生を奪い続けることでたどり着いた欲求は、ついぞ天空に広がる青に向けられた。故に▲▲は宇宙へ跳んだ。

ついに究極の青が▲▲のものとなった。けれどそこで待っていたのは無重力の暗黒界だった。温度は氷点下、重力も不安定であれば空気も音もない、途方のないぐらいの広がる閉鎖空間。その中で▲▲が目にした地球は、これまでにないほど青く美しかったのである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

タグ6 空飛ぶこんにゃく @catscradle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ