解答編

 三十秒後に目的の場所に辿りついた私は、そこにあるたち壁をじっくり観察しました。そこは掃除をしてから一週間以上経っているので、一見きれいですが、うっすらと汚れが付着しています。


 しかし、「六〇八号室から六一一号室まで・・・・・・・・・・・・・・」は全く汚れが付着していません。

 そう、私が水曜日の十五時半からやった作業は六階の六〇八号室から六一一号室だったのです。


 もし、十五時に休憩に入る時に掃除用具をそのままにしておいたら、こんな間違いをしなかったでしょう。しかし、いつもの通り片付けてしまったために、五階だと思い込んで六階に行ってしまい、そのままうっすらとした汚れを掃除してしまったようです。

 そして、時間になって六一一号室の前で「五一一号室から」とメモしてしまったのでしょう。

 ずっと六階を五階だと思い込み続けていたようです。


 ……がっかりだよ!


 謎が解けて五階に戻って、作業を再開。

 作業しながら

「これ、何かネタにならないかな。ブログにするのもいいけど小説のネタにしようかな。でも、『階違い』なんて手垢のついたトリックだからな。それだったら、脚色抜きで私小説にしようか」

 などと考えていました。

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時が戻った?異世界に迷い込んだ?いいえ、実話です 塚内 想 @kurokimasahito

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