あとがき



 一角獣の贈りもの、いかがでしたでしょうか?


 たいていの話はどっかの公募とかに出すために書くんですが、この話は最初からどこにも出すつもりなく、自分のためだけに書いた作品ですね。ちょっと思いついてしまったというきっかけだったかな? もうずいぶん前に書いたので、そのへんは忘れましたが。


 子どものころ、グリム童話が好きだったので、気晴らしにそんな話を書いてみたわけです。大人の味つけで。


 舞台はおそらく中世のヨーロッパですね。物語の最終話が魔女狩りの直前なので、そこへいたるまでの二百年か三百年間くらいのことではないかと思います。主役は悪魔なので、最初から最後まで見ため変わりませんが、そのあいだに人間のゲストキャラたちは年をとって死んでいきます。たまに以前のキャラクターの名前が出てきたり、何代かあとの子孫が出てきたりするので、ちょっと懐かしい気分になったり。


 ところで、これに出てくる登場人物たちって、ちょっと変な名前が多いですよね? 英語圏の名前ではなさそうな。

 じつは、おもにフランス語です。というのも、これに出てくるキャラクターたちの名前は全部、香水の名前をつけているので。なんか香水の本に載ってた名前で、意味がカッコいいとか、いい感じのやつとかを使ってます。


 冒頭の登場人物紹介に意味を載せてもよかったんですが、ちょっとうろ覚えなので、間違ってるかもしれないw


 ソルティレージュは、たしか、幸せのおまじない、だったと思います。なので作中でひんぱんに『幸福のおまじない』って言葉が出てきます。


 アンフィニは無限とか、無限大とかでした。何度も溶けて再生してをくりかえすので、ちょうどいいかなと。


 エメロードはなんとなく察せると思いますが、エメラルドのことです。

 ポワーブルは胡椒だったはず。

 コリアンドルはパクチーですね……

 香辛料兄弟w


 作中で意味を書いているキャラもいて、カレーシュは四頭立ての馬車。父親のエキパージュが二頭立ての馬車です。フランスはやっぱり貴族文化なんで、こういう単語があるんだなぁと。


 インウイも作中に書いてますが、比類なきもの。


 シャマードはですね。じつはこれ、オードリー・ヘップバーン主演の映画のタイトルなんだそうです。その映画のヒロインをイメージして作られた香水なんだとか。和訳だと、熱い衝動とかなんとかだったと思います。


 ソルティレージュのお兄さんのマジノワールは、黒い魔法。

 ガーディニアは、そのまま、クチナシの花ですね。


 カボシャールが強情っぱり。

 シランスはよく覚えてないんですが、なんとなくイメージで、寡黙とかだったような気がします。


 香水の名前をそのまま各話のタイトルにしてることもあって、レールデュタンは時の流れでした。


 タイトルにはしてなくても、ガーディニアみたいに、けっこう、その話の構想を香水の名前から得ているものが多く、空高くのカランドルはヒバリって意味です。リュードブランは白い軌跡。この香水とこの香水をくっつけたら話にできるな、みたいな。


 よく覚えてない人もいてw

 アンプレブーはなんだったか、さっぱりわかりませんw

 ジュルビアンは人生がなんとかとか、なんか旅が関係してたような、そんな意味だった。フランス語で、ビアンが人生だと思うので。薔薇色の人生って、ラビアンローゼって言いますよね。


 モマンダムールは愛の時。

 シャンダロームは覚えてない!

 ナルシスノワールは黒水仙です。これだけ、唯一、香りも知ってます。甘い香りですね。大丸にテスターが置いてあったw

 ロリガンは作中にマヨナラの花って書いてあるから、それでしょうね。


 カプリッチとか、ロカイユとかは忘れました。ルトローンは玉座とかなんとかだったような? 王様っぽい名前でした。


 途中でフランスの香水を使いつくして、アメリカの香水の名前を使ったかな? アガタとキャナンガは、なんかそんなんだった。南国っぽいイメージが残ってるので、そんな意味かも。


 キプロコは、奇妙だった気がします。一角獣のはずなのに、変なやつってことで。


 話題は変わって、この作品。

 ちょっと、いつもと違う視点で書いてるんですが、わかりますかね?

 グリム童話とか、こういう書きかたされてますよね。視点人物がコロコロ変わる。


 ふだんの話は、たいてい主役に固定の三人称か一人称で書いてるんですが、この作品のみ、登場人物すべての内面に入りこむ神視点で書いてます。

 けっこう大胆に視点変わるんで、自分でビックリ。

「こんなの書いてたか。でも、視点狂ってるとこあるよ」

 もちろん、今回、直しましたが。


 ふつう、三人称多視点でも、場面で視点人物を切りかえるんですが、この話は段落どころか、一、二行のうちに変わることもあるので、よほど気をつけないと読者を混乱させるんですけどね。初心者のかたはマネされないほうが無難かと思います。


 今回、アップするときに、ソルティレージュで統一するか迷いましたが、直すのがムリそうなほどコロコロしてるんで、もういいやとw


 さて、この話のその後ですが、これを書き終えた時点では完全に完結していました。これ以上書く気は毛頭なかったんですが、今回、押入れの奥からひっぱりだして、ぴこぴこ打ちながら、けっこう続けようと思えば続けられるなぁとは考えましたね。書きませんがw


 たとえば、生まれ変わったソルティレージュの話とか。


 ナルシスノワールがゴブリンの王様になった物語とかですね。今回、友達になったお姫様が大人になってから再会。もちろん、ナルシスノワール、ロリガン、シャンダロームは三角関係。


 ソルティレージュの話は、こんなの思いつきました。


 十九世紀。ヨーロッパ。貴族の子息が通う全寮制の学校にやってきたソルティレージュ(の生まれ変わりの少年)。彼は幼いころから、不思議な夢を見る。夢のなかで見る美女(アンフィニ)のことが、なぜか、とても懐かしい。

 そんなソルティレージュだが、校内で次々と魔法がからんだような不穏な事件が起こり、生徒がどうにかなる。(←決めてないけど、死ぬか行方不明か、傷つくか、なんか)ソルティレージュの身も危うくなり、単独で事件を調べているうちに、アンリという少年と親しくなる。アンリからは、なんとも言えないいい香りがする。じつは、アンリは女の子で、どうにかなった兄の事件の真相を調べるために男装して学校にもぐりこんでいたのだ!


 ——みたいなね。


 調査の過程で生徒たちどうしをくっつけたりしながら(前世と同じことしてるw)調査していくと、なんと、中世以前のような魔法の時代を復活しようとしている人物がいて……。


 アンリという名前でわかるように、アンフィニの化身だってことが、ラストにわかる。自分が一角獣の生まれ変わりだと、ソルティレージュは思い出して……?

 みたいなww

(これ、主軸のプロットですね。だいたい、主軸はこのていどしかできてない段階で書きだします。妄想しながら書くほうが話が広がるので)


 今のところ書く気はないですが、需要があれば、いつか書くかもしれません。こういうネタだけは、いくらでも思いつくんですが、時間さえあれば……。


 ではでは、応援、ありがとうございましたm(_ _)m



 ※追記

 作中の名前、シャマードになってますが、じっさいの映画のタイトルはシャレードでした。どっかで写しまちがったようです。今さらもう、キャラの名前のイメージ固定しちゃってるので、このまま行きますが、つまり彼だけ香水の名前ではない……ですw

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一角獣の贈りもの 涼森巳王(東堂薫) @kaoru-todo

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