第5話 ガンジーの視点で今を考える

名言集に『恐怖が不信を生むのです。誰か一人でも恐れることをやめたら、我々は争うことをやめるでしょう』があります。ガンジーはしきりに「恐怖と不信」を語ります。不必要に恐れることが言われのない不信を生むとしたら、不信を生むような恐怖を与えてはならないことになります。


ソ連はアメリカを恐れた。核を持つ圧倒的な軍事力を恐れたのです。それに対抗した結果、経済は破綻し、〈理想を掲げた社会主義〉は曲げられたものとなりました。

アメリカは〈自由と民主主義〉を掲げる自らの体制に自信を持つのなら、何も社会主義を恐れることはなかったのです。お互いに自分たちの価値観に自信を持つのなら、恐れる必要はないはずです。


インド独立がパキスタンとの分離独立となったことを、ガンジーは将来に禍根を残すと嘆きました。インドとパキスタンは3度戦争を行い、お互いに核を持つ持っに至りました。

突然、どこかが「攻めて来たら」が果てない軍拡を生みます。憲法9条を持った日本も今では近代的な軍隊を保有し、核を持つ国と軍事同盟を結んでいます。仮想の敵は、かつてはソ連であり、中国であり、今は北朝鮮であります。


9・11、ショックな出来事でした。本土が戦争に巻き込まれた経験のないアメリカ国民にとっては驚愕の出来事だったでしょう。テロに屈しないは、対テロ戦争となりました。アフガン、イラクと続き、ISというモンスターを生んでしまいました。そして暴力の応酬と難民の問題に世界は直面しています。


世界最強の国の大統領は、国民に寛容と冷静を呼びかけませんでした。寛容は無理としても〈冷静〉は呼びかけられたはずです。国民は大統領を諌めることなく、報復に賛同しました。とっても、異を唱えられる雰囲気ではなかったと、良識派の人たちは当時を語っています。その大統領は今、歴代大統領の中で最も不人気な大統領の一人であるとされています。


9・11を、アメリカは核の投下も含め、大戦後、何をしてきたのか振り返る機会とは見なしませんでした。何を恐れたのでしょう。あのとき寛容を示していたら、世界は今とはずいぶん違ったであろうと想像出来るのです。イラクのように、いくら独裁政権だといっても、戦争を仕掛けて倒すことは間違っています。倒すのはそこの国の人々なのです。


ガンジーは理想的過ぎて現実に合わない面もあるでしょう。しかし、キング牧師、スーチーさんと受け継がれているのです。今一度立ち止まって、彼の精神に耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。私はガンジーがスワラージ(自治)を語った言葉の中に「自らの弱さを克服する国民の力」という言葉があります。スワラージを平和という言葉に置き換えても通用する言葉だと思います。


ガンジーの名言集・・もっと早く読んどけばよかった!

 http://iyashitour.com/meigen/greatman/gandhi


参考図書 『ガンジー』インド独立への道 B・R・ナンダ 第3文明社

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ガンジーの今日的意味を考えた。 北風 嵐 @masaru2355

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