第3話
俺は強引に彼女の頭を抱え込み締めた。
胸筋と前腕で挟み込んだ頭を本気で砕く気で締めた。
結果として、彼女が死んでも構わない。
これはそういったプレイであり、そのような真剣なプレイの中でしか俺のオチンチンは勃たぬのだ。
「どうした。ここまでなのか!
俺はラブホのベッドの上で叫ぶ。
渾身の力で、少女の頭蓋を締める。骨が軋む感触がある。
「ぬっ」
すっと彼女が人差し指を天に突き上げた。
俺の視線はそれを追う。
「いったい――」と、思った瞬間だった。
人外の速度でそれが動く。
風を切り裂く。
耳っ!!
指で耳を突きに来たのだと、反射的に思う。いや思うより先に身体が反応する。
顔を逸らす。
耳に指を突っ込み相手にダメージを与えるのは、裏の格闘技術では定石とも言える。
耳の穴を鍛えることは不可能なのだから。
「めしっ」とも「ぶりっ」とも表現できる肉の裂ける音――
耳ではなかった。
指は俺の頬を貫いていた。
人間の指が頬肉を貫き、口腔内に達していたのだ。
ぶんっと彼女が首を振った。
銀色の流れが目の前を通り過ぎる。
彼女の髪だった。
俺のヘッドロックを外した彼女はすかさず、俺の顎関節円盤を押さえ込んだ。
脳天からつま先まで痺れ、身動きがとれない。
踏ん張ることができない。
「あはは、アナタ素敵♥ パワーあるのね。ふふ」
彼女は蕩けたような
突き破られた頬肉にはまだ彼女の指が刺さっている。
このようなことが簡単にできてしまう彼女のパワーの方こそ異常だ。
しかし、その異常性こそが俺のオチンチンに血流を流し込む刺激となるのだった。
痛みが海綿体に流れ込み、血液を呼び込む。
ああ、もう少しだ。もう少しなのだ――
めがぁぁ――
一気にだった。
一気に俺の奥歯が毟りとられた。
頬肉を突き破った穴から二本の指をねじ込み、そこにあった奥歯を抜いたのだ。
強引に血からづくで、一気にだ。
どっと鉄臭い血が噴出した。喉の奥に流れ込む。
そのまま、海綿体に流れ込めばいいと思った。
「ふふ、セクシーな奥歯、美味しそうだわ」
紫藤栞はそう言って、頬肉から指を抜く。
二本の指の間に俺の奥歯があった。血まみれだ。
栞は陶然とした表情で、俺の奥歯を口に含んだ。
そして、飴玉のようにコロコロと口の中で転がした。
ズブッとまた指を頬の傷の中に突っ込む。
穴の開いた歯茎に指を突っ込んで穿つ。グリグリをねじ込む。
脳天が切り裂ける程の激痛が、オチンチンを痛覚から切り離し、快感の中に叩き込む。
「あああ、いいわ。アナタのその顔、あああ、痛いんでしょ? 痛いんでしょ? 痛いんでしょ? あああ、いいのよ。抵抗しても♥」
俺の奥歯を口の中で舐めながら、栞は頬に刺さった指を水平にビッと動かした。
俺の口が裂けて、鮮血が飛ぶ。
激痛の気持ちよさにオチンチンが勃ってないのにイキそうになる。
「あふぁぁぁぁ~」
血まみれの甘い声が俺の口から出てしまった。
栞は俺の腕をとった。
片手は相変わらず、俺の顎関節を押さえたままだ。それだけで、全身が掌握されていた。
「ふふ、いっぽーん!」
「めしっ」と、湿った割り箸が折れるような音。
栞は俺の小指を掴むと、一気にへし折ったのだった。
小指がありえない方向に曲がっているのを見て、俺は感動で震えた。
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