必然性のある暴力で蹂躙されないとオチンチンが勃ちません
中七七三/垢のついた夜食
第1話
ラブホテルの中、俺は少女と対峙していた。
いや、違う。「少女」ではなく「美少女」だ。
その姿を初めて見たとき、俺は息を飲んだ。
姿形からここまでの衝撃を受けたのは今までになかった。一度もだ。
そして、俺はその美少女とラブホの中、全裸で向き合っていたのだ。
「お兄さん、準備はいいの?」
まるで今生まれてきたばかりのような瑞々しい唇が言葉をつむぐ。
カラコンだろうか――
人工的で硬質なブルーの光を湛えた瞳はどこか、人間離れした印象を与える。
肩までかかる銀色の髪の毛は、光を織り込んだ繊維のようだった。
ほのかに血の流れを感じさせる真っ白い肌には毛穴の存在すら感じさせない。
白磁よりも白磁めいた印象を与える。
「ああ、いつでもいい」
「そう。あ、これ付けとかないとね」
「そうだね」
彼女はすらりとした腕を動かし、オープンフィンガーグローブを着けた。
これから始まるプレイには必須のものだ。
人を全力で殴るということは中々できるものではない。
人の手はそれだけ、繊細な構造なのだ。
オープンフィンガーグローブは打撃の際に自分の拳を守るという意味合いの方が強かった。
「ボクシンググローブじゃないんだね」
「
「ええ」
芸術品のような肢体がトントンとリズムを刻み細かいジャンプを繰り返す。
銀髪が舞う。まるで光をまとった天使の降臨ようだった。
俺は彼女が破壊と蹂躙と被虐をもたらす天使である事を望む。徹底的で圧倒的なだ。
「思い切りやっていい。ここではどれだけ叫んでも怪しまれない」
「そうね。ラブホだもん」
彼女はそういうと、置いてあったミネラルウォーターのペットボトルを手に取った。
「くぴっ」と一口ほど口に含み、飲んだ。そしてボトルをトンと置く。
その音が静寂に包まれた部屋の中に響いた。
「約束どおり、お兄さんも全力で抵抗していいから」
紅い唇にうっすらと笑みを浮かべジッと俺を見つめる。
美麗な
長いまつ毛が瞳に凶悪な翳りを作っている。
狂気すら感じる。
ゾクゾクする。
(この娘は本物かもしれない)
一糸もまとわぬ肢体は、壮絶なまでに美しかった。
程よい大きさの双丘から、腰を経てヒップ、足先までのラインは芸術的だ。
黄金律の中で完ぺきな調和を見せていた。
柔らかさを感じさせつつ、秘めた身体能力を感じさせる弾むような肉体があった。
その姿を思考した瞬間、思考は存在の劣化コピーとなる。
その姿を言葉にした瞬間、言葉は存在の劣化コピーとなる。
彼女の美貌の前では全ての表現は意味をなさないだろう。
圧倒的な美貌と、病的なまでに歪んだ凶悪性を感じさせる存在だった。
俺はすっと間合いを詰めた。
いや、彼女の存在に吸い込まれたといった方が正解かもしれない。
その瞬間――
腹筋が爆ぜた。
衝撃が脳天を突き抜け、意識が吹っ飛びそうになる。
一撃で死すら想起する。
「がはぁぁ!!」
たまらず、声を上げていた。
胃液を吐き出しながら。
それは全くの予備動作のない前蹴りだった。
俺の腹筋を貫き、魂を砕く、少女の一撃だった。
それは、俺が希求して止まぬ打撃であったのだ。
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