もしもギャルが外資系コンサルタントだったら

獲れたてリヴァイアサン

第1話

「のぞみんさ〜これじゃあエビデンス弱くない?MT(ミーティング)前にこれってガチしょんぼり沈殿丸(非常に落ち込む)なんだけど。バリューだせてないじゃん」


ギャル子はパーマをかけた自分の髪を指でくるくる回しながらダルそうに話している。


「申し訳ありません…(ガチ沈…なんて…?)」


望美は聞きなれない言葉を操る見慣れない見た目の先輩に戸惑いながらも、自分のミスに落ち込んでいた。


「のぞみんのせいでバイブス(テンション)上がんないわ〜」


「ほんとすいません…(なんだよバイブスって)」


「ちゃけば(ぶっちゃけた話)ケツカッチン(次の予定ある)だしメンディー(面倒臭い)だから、とりま(とりあえず)MT(ミーティング)はこれで」


「はい…あとで修正します…」


※※※


私の名前は田中望美。大学時代、友達によくバカっぽいと言われていた私が、記念受験した超有名外資系コンサルティングファームでなぜか内定をもらってしまい、今は先輩であるギャル子先輩に仕事を教わっている。


しかし、この先輩…ギャルなのだ。しかも圧倒的に。言葉遣いは基本ギャル語で、服装もかろうじてスーツは着ているがメイクや髪型はまごうことなきギャル。


ただ、その風貌とは対照的に圧倒的に仕事ができる。海外の有名大学を飛び級で卒業してハーバードでMBAも取得しているギャルなのだ。


圧倒的成果を出し続けているので、いつのまにか彼女の風貌や態度について誰も何も言わなくなったほどだ。


※※※


社内MTGが始まった。ギャル子先輩はどんな相手でもギャル語で話す。それに加え、コンサル用語も入ってくるのだから手に負えない。


「HK(話は変わるけど)、それイシューじゃなくないですか〜?ここでのエビデンスの定義から逸れません〜?マジTBS(テンションバリ下がる)」


「ジャストアイディアなんですけど〜ここは一旦パートナーにエスカレーションした方が良くないですか〜?オデマル(時間ない)なんで」


「(なんでこの人仕事できるのにギャルなの…)」


「(ハッ!でも逆に考えると、ギャルなのに仕事ができるということは、普通の私がギャル子先輩の技術を盗めば最強なのでは…?)」


「(それだ…!ギャル子先輩の仕事のコツを盗もう…!)」


※※※


「ギャル子先輩…仕事のコツってありますか…?」


「とりま(とりあえず)ガチる(本気で頑張る)しかなくない?定時でソクサリ(すぐ帰る)じゃなくてオールで(徹夜で)コミットっしょ?」


「最初は時間をかけるしかないってことですか…なるほど」


「ギャル子先輩って休日は何してますか?やっぱり勉強ですか?」


「マルキューの…(渋谷109)」


「(あっ…やっぱりギャルだから109で買い物とかするんだ…)」


「マルキュー(渋谷109)のカフェで、アイコ(アイスコーヒー)飲みながらガチめ(本気)の論文読んでる」


「(意識高ぇ〜〜〜!)」


「のぞみんは気持ちがガチり(本気)すぎなんだよ〜力抜いて仕事すれば〜?」


「確かに…身の丈以上の会社に入ったと思って、力が入り過ぎていたのかも…?もっとリラックスして仕事をすればいいんですね!」


「えっちょっ」


「ありがとうございました!ギャル子先輩!早速明日から実践してみます!」


望美は吹っ切れた表情でその場を走り去っていく。


「のぞみんフッ軽(フットワーク軽い)だけど、やばたにえん(ヤバイ)じゃない…?まぁメンディー(面倒臭い)だし…おけ(OK)」


※※※


「ギャル子先輩!昨日はあざまし〜!(ありがとうございます)」


「うわっMJD(マジで)ありえんてぃー(ありえない)じゃん、ギャルになってんじゃん」


「先輩のアドバイスを聞いて、力を抜くには先輩のようにギャルになるのが手っ取り早いかと思って!ギャル語はまだ勉強中ですが!」


「マジ卍」

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もしもギャルが外資系コンサルタントだったら 獲れたてリヴァイアサン @toretate

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