第6話 郷愁か焦燥か

まぁ・・・そうだわな


到着早々に思わず呟いてしまった

見事に誰も居ない


ここはG県とS県を結ぶ山越えの峠道

高速道路が開通した関係で大型車両は減り

昼間はバイクのツーリングや

サイクリング、登山客でそれなりに

賑わいがあるらしい



夜は見事に人が居ない


昔は車停めれない位人が居たのになぁ


記憶の中では夜になるとギャラリーも含め

人と車でごった返していた

量の増加は質の低下って

誰かが言っていたっけか?

人が増えると事故も増え取り締まりも

厳しくなってきた

速い連中は走りやすい環境を求めて

時間帯をずらしたり

別の峠に移って行ったり

サーキット派に転向する人も居た


それが今ではこの有様

当時は規制緩和があったり

魅力的な車がラインナップされたり

ある意味走り屋ブームだったと思う

そしてブームが去り人も去って行ったわけだ


・・・まぁ俺もそうなんだな


そんな事を考えていたら

あっという間に上まで行って戻って来た

道中に人も居ず路面に不具合も無い

走る前には必ず確認

走る事を教わった人から最初に

教えて貰った事


じゃ・・・軽く行ってみますか?


誰に言うわけでもなく

車を走らせた

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S〜エス〜 柄元 乃亜 @ap1es

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