終わりと始まりの零

柑 橘(かんたちばな)

underzero


昔々のある時に

二人の少女がいたという

この世の終わりを先に

二人の少女がいたときく


二人は迫る終幕に

微力な想いで抗った

世界の果ての壁を打ち

破る奇跡の存在を

ヒーローたちを生み出した




あるところでは、何処いずこから

請わればれたヒーローを

あるところでは、過去に倣い

英雄を模したヒーローを

あるところでは、力を持たずも

希望をもたらすヒーローを


数え切れない物語を

想って、創って、送り出した

鑑みて、観て、感じていった

すべてはやがて訪れる

最期に干渉する者を

大事な皆を守る者を

己が手で引き寄せるため




見ようによってはただの戯れ

彼女たちだけのごっこ遊び

誰もがノートに描くような

絵空事での世界構築


想像の上の創造だった

観賞の中の感傷だった


終わりも勇者も大決戦も

設定の下のはずだった




すべては現実になり得ない

絶望も最悪も憶測も

だがすべては理想になり得よう

希求や意志や夢物語

定まっていたはずの未来も


そして、この世は終わりを告げる。

皆に、等しく終わりを告げる。


その時ヒトは願うだろう

少女も想ったヒーローを

少女も創ったヒーローを




昔々のある時に

この世の終わりをた少女たち

或いは漸く、その時において

終わる世界を見届ける

己が物語を観始める

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