終わりと始まりの零
柑 橘(かんたちばな)
underzero
一
昔々のある時に
二人の少女がいたという
この世の終わりを先に
二人の少女がいたときく
二人は迫る終幕に
微力な想いで抗った
世界の果ての壁を打ち
破る奇跡の存在を
ヒーローたちを生み出した
二
あるところでは、
請われ
あるところでは、過去に倣い
英雄を模したヒーローを
あるところでは、力を持たずも
希望をもたらすヒーローを
数え切れない物語を
想って、創って、送り出した
鑑みて、観て、感じていった
すべてはやがて訪れる
最期に干渉する者を
大事な皆を守る者を
己が手で引き寄せるため
三
見ようによってはただの戯れ
彼女たちだけのごっこ遊び
誰もがノートに描くような
絵空事での世界構築
想像の上の創造だった
観賞の中の感傷だった
終わりも勇者も大決戦も
設定の下のはずだった
四
すべては現実になり得ない
絶望も最悪も憶測も
だがすべては理想になり得よう
希求や意志や夢物語
定まっていたはずの未来も
そして、この世は終わりを告げる。
皆に、等しく終わりを告げる。
その時ヒトは願うだろう
少女も想ったヒーローを
少女も創ったヒーローを
五
昔々のある時に
この世の終わりを
或いは漸く、その時において
終わる世界を見届ける
己が物語を観始める
終わりと始まりの零 柑 橘(かんたちばな) @end_start_zero
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