森で迷った主人公の女の子は、過去の世界に似た異世界に
きてしまいます。
時間の国とも言うべきシレアという国。
物理法則を無視した謎な機構で動く時計。
時刻に正確に鳴る鐘。
ファンタジーです。
主人公が迷い込んできたのと機を一にして
大切な時計が止まってしまいます。
国の根幹を揺るがす大事件。
国のお姫さまが対応に追われるのですけれど、
そのお姫さまがなんと、主人公と姿形がそっくりさん。
なんらかの因果を感じさせます。
さあどうなる、時計は動きはじめるのか、少女は元の世界に帰れるのか。
まだ読み終わっていないからわかりません!
読み終わりました! でも、結論は言えません! 読め。
「全く同じ顔を持つ二人の少女が一つの国を守るべく協力する」と言うととても簡単だが、テーマはとても深い。
国の標となる『時計』が止まってしまうところから物語は始まる。
ただの時計だ。時を刻むためにあるものだ。
だが、この国ではそれ以上の価値がある。
人々の心のよりどころとして機能しているのだ。
その時計が止まる。
心の依り代が機能しなくなるのだ。
この国難に立ち向かうのは、父王と母を亡くしたばかりの若き王女。
頼りになる兄王子が留守にしている今、信頼のおける仲間と共にこの危機を乗り越える。
ストーリーがシンプルでわかりやすい分、登場人物たちの心の動きに移入しやすい。
不安、疑心暗鬼、信頼、ほのかな恋心、それらが見事に組み合わさって一つの絵のようになっている。
そして特筆すべきは文章力の高さ。言葉選びが巧みで読者を飽きさせない。
自然の描写がとても美しく、読んだだけでその情景がスクリーンのように目の前に展開されて行くのは感動ものだ。
(私もこんな文章が書きたいよ!!!)
このお話は『妹編』であり、「その頃一方、兄王子は……」が『兄編』として書かれている。
そちらも気になるという方は『天空の標』も覗いてみては。
「読んでよかった」という感想を持つことは私が保証します!
追伸)料理長の焼き菓子が食べたいです!