やがてタコになる

藤田大腸

タコになった私たち

 私たちは今、タコになっている。とはいっても本当にタコの姿になっているわけじゃない。


 タコは足が八本あり、人間は手と足が二本ずつの合計四本ある。二人揃って合計八本でタコに太刀打ちできる数になる。


 私と彩花はベッドの上で体をべったりくっつけあっていた。いわゆる正常位の体位になっているが、あくまで格好だけでまだ本気で致してはいない。私の右手と彩花の左手、私の左手と彩花の右手はしっかりと握り合わされ、私の両足の間に彩花の両足が入り込んでいる。


 そして頭と頭もぴったり接着している。接続部位はもちろん唇。彩花がタコの漏斗のように突き出してきた唇を私は遠慮なく頂いた。水音を立てて漏れ落ちるのは真っ黒な墨ではなく、透明な唾液。もう彩花の顔は真っ赤なゆでダコだ。きっと私も同じようになっている。


 四本の腕と四本の足が艶かしく絡み合う。理性はどんどん崩れていって、ある点を境にして私は完全なエロダコに変貌した。攻守を逆転させて一気に彩花の服を脱がしにかかる。一切抵抗しない彩花。もう歯止めが効かない。


 タコになった私たちはたちまち多幸タコう感に包まれていった。

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やがてタコになる 藤田大腸 @fdaicyou

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