第2話 初めての魔法
次の日の朝俺は仕事に行く父を見送り母にあるお願いをした。
「お母さんお願いがあるのですが・・・・・・」
そう言って俺は母に話を切り出す。
「なにルーク? ルークがお願いなんてするのは珍しいわね!」
「あの〜母さんが前に暖炉に火を灯していたやつを教えて貰いたいんです!」
俺はそう力強く言った、そう魔法だこの世界は魔法が使える、それを母に習おうと思い俺は母に頼んだ。
この世界で生きていくと心に決めたのでこれを習わないことは無い、むしろ習っておいて今後自身の身を守るために、行使して行かなければならないことがきっとあるはずだ。
そして二度目の人生だ、どうせならこう物凄い魔術を使える大魔道士にでもなってやろうじゃないかとちょびっと思ってたりもする。
これは前世で死ぬ直前に色々後悔したからだ、どうせ二度目の人生なら後悔なく生きたい。
「ルークよくそんな昔のことを覚えてるわね! う〜ん貴方には魔術はまだ早いと思うけと・・・・・・」
母はそう言って少し考え込んでいる、どうやらまだ俺には魔法は早いと思っているらしい、しかし俺は一刻も早く魔法を習いたかった、何故なら時間を無駄にはしたくない、というかすることなくて暇なのだ。
「母さんそこをなんとか!」
俺は必死に母に頼み込んだ、そしてあざとく上目遣いをし、子供が出せる最大限の魅力を行使して、すると母は。
「しょうがないわね、教えてあげるその代わりお母さんの言う事をきちんと聞くこと、あと家のお手伝いしてね!」
と俺の頭を撫でながら言った、俺は少し恥じらいを感じつつも悪い気はしなかったので素直にそのまま撫でられた。
「はい分かりました!」
こうして俺は母に魔術を習うことになった、俺は母があれだけ簡単に魔法を行使していたので、簡単に自分もできると思ってルンルン気分でいた。
そして母は俺を自宅近くの小高い丘に連れてきてくれた。
「この辺りでいいかしら! いいルーク今から母さんが見本を見せるからその通りに真似してみてね!」
母はそう言って空に手をかざし何やら呪文らしき物を唱え始めた。
「汝の求める力に熱き火の加護があらんことをファイア!」
すると母の手からボワっと拳大の火球が空に向かって飛び出す、俺が昔見たのと同じやつだ、しかしあの呪文は恥ずかしいなもろ俺が読んだことのある小説に出てきそうな感じの呪文だ、取り敢えず俺は母に称賛の言葉を送った。
「おお! 母さん凄いですね!」
俺がそう言うと母は当然だと言う顔をした、巷に言うドヤ顔と言うやつだ。
「ルークにはまだ言ってなかったけど、母さんこれでも昔はちょっと名の通った魔術師だったのよ!」
そう自慢げに話してくれた、そうか名の知れた魔術師なのか、もう驚かないぞ、でもその血を引いている息子の俺なら必ず簡単にできるはずだ。
「さぁルークも母さんの真似をして呪文を詠唱してごらんなさい!」
「はい分かりました!」
思ったより俺は呪文が短くてよかったなと内心感じ、俺は母のように空に手を向け呪文を詠唱した。
「汝の求める力に熱き火の加護があらんことをファイア!」
ここでボワッと火の玉が出で魔術成功となるはずだった、しかし現実はそう上手くいかなかった、何も起きないのだ。
「母さん・・・・・・」
そう言って母の方を見るとえっ、と言う顔をしている、どうやら今ので出来ないのにかなり驚いているようだった、そして慌ててフォローを入れてきた。
「ルーク大丈夫よ! まだルークは五歳なんだから出来なくて当然よ、これから成長すれば必ずできるようになるわ!」
母はそう言ったがその顔は少し困惑しているように見える、俺は母の期待に添えなかったのだと悟った。
母があんなに簡単に使えたのだから自分も出来るだろうと勝手に思い込んでいたのだ、ましてや剣と魔法の世界だ自分も出来て当然だと思っていた。
現実はそんなに甘くはなかった。
(まあ、当然の事かむしろ出来た方がおかしいだろ元は俺別の世界の人間だし・・・・・・ まあでもちょっと残念かな)
そんなことを考え少し落ち込んでいる俺を見て母はなんと声を掛けていいか困っているようだった。
それもそうか自分が名の通った魔術師なら尚更ショックだろうな、だって自分の息子が魔法を使えないのだから。
「ルーク・・・・・・」
そして辺りに静寂が流れる、俺も母の様子を見て困った、むしろ申し訳なさまで感じてきた、そんなことを思っている時どこからともなく声が響いてきた。
(イメージだ、お前はイメージと集中力が足りない、あれはただ詠唱を言葉にして言っているだけだ、指先に魔力を集める感覚でやってみろ)
「え?母さん今、何か言いましたか?」
俺はその声がどこから聞こえたのからず母に聞いたが母はキョトンとした顔をしている、今確かに声が聞こえたはずなんだけどな、それも超具体的に。
「ルーク私は何もいってないけど? どうしたの?」
「いえ今何か声が聞こえたような気がしたので多分気のせいです」
(なんだ今の母さんじゃないなら誰だよ、てかイメージと集中力か・・・・・・ めちゃくちゃ具体的なアドバイスだったな)
そんなことを内心思い、俺は少し考えた、もしかしてこれ俺にしか聞こえない神の声とかじゃねと思ったり。
だって俺ほ元はこの世界の人間じゃない、だったらそんなことも有り得るんじゃないか、ましてや剣と魔法の世界だ、何があってもおかしくない、そんなことを考えていると母が。
「ルーク・・・・・・ 魔術はあなたがもっと大きくなってからで今日はもう帰りましょう、今日はルークの好きなもの作ってあげるわ!」
俺を慰めるように言ってもう帰ろうと、しかしここで諦めるわけにはいかないだってここで諦めたら試合終了とどっかの漫画でも言っていた。
俺は何としても魔法を使えるようになって見せる、そしてさっきの不思議な声のアドバイスのおかげでなんとなく出来そうな気がしてきた。
「母さんもう一度だけやらせてもらっても良いですか!」
「ええ!? いいけど・・・・・・ 大丈夫?」
母はこれ以上落ち込む息子を見たくないようで、やめた方がいいんじゃないかオーラをだしている。
俺だってこれ以上出来なくて落ち込みたくはない、そして何より母の残念そうな顔をもう見たくはないし気まずい空気も味わいたくない、しかし何故だが漠然とした自信感が湧いてくる。
(大丈夫ださっきの変な声のお陰でなんかできそうな気がする)
そして俺は先ほどのアドバイスどうり集中力を高めイメージで魔力が指先に集める感覚から詠唱を行う、まあ正確には魔力とか分かんないけど多分こんな感じだろうと思いそれどうり実行する。
「汝の求める力に熱き火の加護があらんことをファイア!」
すると手のひらに体から何指先に何かが流れ込むような感じがした、そして拳大の火球が飛び出た、どうやら俺は魔法を成功したみたいだ、流れ込むような感覚は多分魔力だろう。
(出来た・・・・・・)
しかし何故だ急にできるようになったのは、やはりあの不思議な声のアドバイスがあったからだろうか、でももう出来たからなんでもいい、俺は喜び飛び跳ねそして母に。
「母さんやりましたよ! 母さんのお陰でです!」
そう母に向かって礼を言った、不思議な声のことは黙っていることにした、魔法がが成功したのはあくまで母のおかげだと。
「えっ! 出来たじゃない・・・・・・ やったわねルーク! さすが私の息子よ多分最初のは詠唱を間違えちゃっただけだわ」
母は若干何故今更出来たのかと疑問の表情を浮かべたが、詠唱を間違えただけだと勝手に解釈し納得しているようだ。
そして俺を抱きしめ振り回した、不思議と嫌じゃない、でも少し恥ずかしい、俺には前世の記憶があるそれ故に精神年齢的にはとうに成人済みだ。
しかしあの声の主は一体誰なんだろう、やっぱり神様チックなやつなのだろうか、母には聞こえてなかったみたいだし、それに俺の脳内に直接響いてきた感じだった、そんな俺をよそに母はまだ俺を抱きしめて振り回してる、いい加減下ろしてほしい。
「母さんもう下ろしてください!」
「あれ? ルークもしかして照れてる?」
「少し恥ずかしいです・・・・・・」
「もう、本当可愛いわね!」
そう言うと母は更に俺を強く抱きしめた、そして額にキスをしてきた、割とマジで恥ずかしい、俺はそんな母を諌めるように。
「母さんもうやめてくださいよ! 早く帰りますよ!」
「これくらいいいじゃないルークは私の可愛い息子なんだから」
どうやら俺が魔法を使えたことが余程嬉しいらしい、これは大変な親バカになりそうだ。
そして俺は何とか母を諌め帰路についた、そしてその夜俺はベットの中で今日聞いた不思議な声について考えた。
某小説サイトで呼んだ小説にあった話を思い浮かべる、よくある神やらなんやらで力を授けてくれたり導いてくれたりする奴だろうか、まあこんな世界だそんなことがあってもなんら不思議ではない、むしろあるあるな展開だ。
でも何故今になって声が聞こえるようになったんだんだろう、しかも少しぶっきらぼうな感じだったし、もうちょっと言葉遣いが丁寧でも良かったんじゃないか、まあ今更深く考えてもしょうがない、ここは剣と魔法の世界だ。
そんな事があっても別に何ら不思議ではない、むしろ別世界の人間からしたら魔法や魔物が不思議でたまらない、そして俺は転生者だ、何か特別な事があってもおかしくはない。
まあ魔法が使えたからそんなことはどうでもいいんだけどな、そんなことを思いながら俺は眠りについた。
魔王と転生! 魔王と一緒に世界を救う!? 魔王の手先 @maoinotesaki
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