第一章転生生活編
第1話 もしかして転生!?
目覚めると俺はベットに寝かされて天井を見ていた、辺りは薄暗い。
(あれ?もしかして俺生きてる・・・・・・)
俺は一瞬何が起きているか理解出来なかった、最後に覚えているのは激痛とだんだん視界が狭まって行ったことだ、俺の頭の中は混乱している、何が起きているかさっぱりわからない、取り敢えず俺は起き上がろうとした、しかし体が上手く動かない、たまらず誰かを呼ぼうと思い言葉を発したのだが呂律が上手く回らなくて言葉を喋れない。
「あうあうあー」
出るのはそんな言葉だ、俺はさらに困惑した、言葉を発しようとしているのに上手く喋れないのだ、俺の脳裏に嫌な予感が過ぎる。
(まさか、俺あの後奇跡的に助かって脳とかやられた感じ?)
俺は必死にあの時のことを思い出す、そしてひとつの結論を導き出した、あれは落雷か何かでそれが俺に直撃した、その後俺は奇跡的に助かったが後遺症で脳をやられてしまったんだと、実際テレビで見たことがあるし俺も同じ類なのか、そして俺がなんとも言えぬ絶望感に苛まされていると部屋の奥から人が近づいてくるのがわかった。
そして俺を覗き込むように一組の男女が俺を見つめる、男女とも外国人それも西洋系の顔立ちで容姿端麗美形だ、最初俺はその人達を医者と思っていたのだが、服装がそんな感じではなかったのでその考えは消えた、では一体この人達は誰なのだろうか、そして俺はどうなってしまったのだろう。
(取り敢えず見てないで何とか言ってくれ・・・・・・)
俺は心の中でそう何度も叫んだ、しかし二人は何も言わない、俺をにこやかな表情で見つめてくるだけだ、俺はそれが逆に怖かった、そして言葉にならないが何とか意思疎通をしようと声を出す、すると女の方が何やら俺の方に手を伸ばしてきた、どうやら俺がなにか伝えようとしているのが伝わったらしい、しかし次の瞬間俺は衝撃の出来事に遭遇する、何とその女の人は俺を抱き上げたのだ。
(えっ!まじか・・・・・・)
俺はまた頭の中が混乱した、何が何だかさっぱり分からない、女の人に軽く抱き上げられるほど俺は小さくない、俺は辺りを見渡す、そして寝ていたベットの奥にある鏡に映る自分と女の人の姿を見て驚愕した、なんと俺は産まれたばかりの赤子の姿だった。
一体俺はどうなってしまったんだ、突然謎の光に包まれ気を失い気づいたら赤子の姿、一体俺の身に何が起こったんだ、俺は自分が置かれた状況が理解できないままただ呆然としていた。
そして赤子の姿のまま数日が過ぎ、俺は必死に考えた自分がどうなったかを、相変わらず言葉は喋れないしかし声は出せる、赤子なので自分で立ったり座ったりは出来ない、どうやら完璧に赤ちゃんになってるみたいだ、そして俺はきっとこれは悪い夢かなにかだと思いしばらくそのままで過ごしてみた。
しかしそれでも一向に覚める気配がなくむしろこの夢はリアル過ぎるくらいだった、そして俺は一つの結論を導き出した、もしかして俺生まれ変わったんじゃねという考えだ、だって赤ん坊の姿で喋れなくて食事は女の人のおっぱいだし、というかこの結論以外思いつかなかったのだ。
前テレビで見たことがある、生前の記憶がある人がいるとか言うのを、俺はそんなわけあるかよとか思っていたがまさに今自分がその状態ぽいのでテレビの話を信じることになった。
(それにしても、どう見ても日本人じゃないよな、髪の色黒じゃないし瞳の色も違う、だとしたらこの国は一体どこなんだ?)
そんなことをぼんやりと考え、日々を過ごしていた、生活には一切困らない、身の回りの事は全部女の人がしてくれるから、まあ赤ん坊でできることが限られているというのもあるが。
そしてこの女の人だがどうやら俺の母親ぽい、まだ確信はないが多分そうだろう、だっておっぱいくれるし、毎日可愛がってくれる、そして今俺は母親らしき人物に抱っこされ部屋から連れ出されるところだ。
まだ俺はこの部屋から出たことはない、初めての外出だ、これで少し情報が集めれるんじゃないかと思い期待に胸を膨らませる、母親らしき人物は俺を抱っこしたまま扉を開けゆっくりと廊下を歩いていく、そして突き当りにある階段を降りた、どうやらここは二階建てらしい、そして一階に着くと俺はあたりを見渡した。
そこには俺の記憶にある家具家電などは一切なく、奥に大きな暖炉があり、リビングらしき所の中心に木製のテーブルがあった、そしてその上にランプが一つ置いてあるだけだった。
(今の時代に暖炉とランプかよ!! とんだ後進国だな!)
どうやら俺はかなり田舎の後進国に生まれてきたようだ、どうせ生まれるなら先進国が良かったと思ったが、まあこればっかりは仕方ない成長した後でも引っ越せばいいとそんな呑気なことを考えていた。
しかしこの考えは後に崩れ去ることとなる、まさかここがあんな世界だなんて俺はこの時知るよしもなかった、ここがとんでもない所だとは・・・・・・
そしてしばらくすると何やら母親らしき人物が暖炉の前で手をかざしごにょごにょ言い出した、当然赤ちゃんの俺には理解できない。
(この人一体何してるんだ?・・・・・・)
そう思い俺は母親を観察した、そして俺が見ていると母親の手の先からボワッと小さな火の玉が飛び出し暖炉めがけて飛んでいった俺は突然の出来事に唖然とした、だって人間の手から火の玉が飛び出しそれが飛んでいったのだ。
目の前で非現実的なことが起き俺は困惑する、そんな俺をよそに母親らしき人物は俺を見て口元に人差し指を置いてシッーと言うポーズを取ってまた何やらゴニョゴニョ言っている、俺は当然何を言ってるか理解できないが行動から察するに内緒だよと言ってるのだろう、しかし内緒ということは他人に話すなということだ、それだけに今起きたことが凄いかを物語っている。
(なんだよあれ・・・・・・ この人魔女かなんかなのか・・・・・・)
それから数ヶ月たち俺は少しずつ自分のいる状況を把握出来つつあった、まず俺の母親らしき人物は魔女かもしれないというこだ、まああんなものを見せられたら誰だってそう思うに違いない、最初は悪い夢だと思っていたのだが、妙にリアル感がありもう夢で語るのは辞めにした。
ほぼ生まれ変わったのは確実だろう、だから俺はもうこの際開き直りこの事実を受け入れ二度目の人生を謳歌することにした、まあ受け入れるしかなかったんだが。
そして俺はまだこの時自分の中にもう一つの魂が宿っておりこれからの人生に大きく関わって来ることとは知るよしもなかった、そして壮大な冒険へと繋がることになるとは・・・・・・
それから月日はあっという間に流れ二年ほどたっただろうか、俺は二歳になった、何故二年経ったのか分かったのかと言うと、それは両親らしき人物が誕生日パーティをしてくれていたからだ、この家にカレンダーらしきものは見当たらない、だから多分二年だと思ったのだ。
そしてこの国の言葉も少しづつ分かるようになってきて、両親らしき人物が何を言っているのかも少しづつ分かるようになった、まず俺の名前だがルークと言うらしい。
両親らしき人物達からルークと呼ばれているので間違いないだろう、そして父親らしき人物の名前はラークで母親らしき人物はルーシアというらしいお互いそう呼びあっていたのでこれもあってるはずだ、そんな二人の間に生まれた俺は父と母の名前から一文字ずつ取って名付けられたみたいだ。
なんとも単調なことでもっと捻ってカッコイイのが良かったなんて思ったがこればっかりはもう仕方が無い、それとこの家は貧乏だと思っていたが割と大きいのでこの国では意外と裕福な家庭だろう多分・・・・・・
後この家は二階建で二階には部屋が三部屋あり、一つが俺の部屋もう一つが父と母の愛の巣そしてもう一つは入ったことはないが多分客間かなにかじゃないだろうか。
一階はキッチンとリビングに別れておりリビングの方に大きな暖炉が備わっていて、その部屋の中心に木製のテーブル、実に質素な成り立ちだ、父は毎日弓を背負い剣を腰に携え出かけている、今の時代に剣と弓ですか、そう思い最初は戸惑ったが俺は世界のことをよく知らないのでこんな国もあるのだと思い気にしないようにした、多分狩りかなんかをしているのだろう。
母はその間俺に付きっきりで世話をやいたりその合間を縫って家事をこなしていたりしてその辺りは日本の普通のお母さんと代わりないあの件を除けば、そして当の俺はと言うと毎日暇なので何もしないわけにも行かず、喋る練習を開始した。
と言うか子供なので出来ることが限られており、それしか出来ることが無いのだ、最初はあーとかうーとかしか言えなかったが流石に二年もたつと単語ぐらいは話せるようになった。
(はぁ一気に五年ぐらい成長しないかな)
心の中でそんなことを思いつつ俺はこの歳でやれるだけの事を必死にこなして行った、そして月日はあっという間に流れ更に三年たち俺は五歳になった。
流石に三年も経てば色々出来るようになりそして行動範囲も広がった、俺はこの国について色々調べたと言うより父に聞いただけなのだが、父はこの国はロノア王国と言いその中にあるハルト村と言うらしい。
俺はそんな国聞いたことないと思い父に色々聞いた、そして一つ分かったことがある、俺の親父まじやばいだ、だって聞いたことない国の名前をベラベラと教えてくれ挙句の果てには魔王がどうだのこうだのと、俺は母に泣きついた。
父さんイカレテルぜと、しかしこんな父と一緒になった母だ、当然同じようなことを言っていた、俺はとんでもない所に生まれてきてしまったと激しく後悔した、しかしその後悔は杞憂に終わった。
何故ならここは俺が生きていた世界と違うかもしれないという疑問が浮かんだからだ、何故そのような疑問が浮かんだかというとそれは初めて家の外に出た時の事だ。
家の前を見たこともない生き物がぴょんぴょん跳ねていった、兎みたいな奴だが兎とは決定的に違う外見をしていた、なんと足が六本あるのだ、あんな生き物見たことがない、てか知らない俺は慌てて母にその生き物について尋ねた。
「母さん! あれはなんですか!?」
「あれはノヴァースよ! 害のない魔物ね」
「へぇ〜 えっ! 魔物!?」
俺は母の言葉に衝撃を覚えた、だって今魔物とか言ってたから、俺が知ってる限り魔物なんてこの世に存在しないはずだ、むしろ存在したらニュースで大々的に取り上げられているはず、俺は結構ネットニュースを読む派なのでそんな動物がいたら確実に知っているはずだ。
「ルークは魔物を見るのは初めてだったわね! 大丈夫よこの村の近辺には害のある魔物はいないから安心して」
いやいやお母さんそこじゃないですよ、魔物って一体なんですか、俺はファンタジー小説で出てくるやつしか思いつかないですよ。
その時俺はハッと思い出した、母が昔手の先から火の玉を放っていたことに、まさかとは思うがここ俺のいた世界じゃないのか、もしかして別世界に来てしまったんじゃないかと。
昔某小説サイトで読んだことがある異世界転生とかいうやつだ、そこは剣と魔法の世界で魔物共が闊歩し、魔王がいて勇者がいる、俺はそんなことを思い出した、もしかして小説の中のような出来き事が俺の身に起こったんじゃないかと。
普通生まれ変わりでも変わった出来事なのに剣と魔法の世界なんて信じられるわけがない、しかし父と母は魔王がいるだのなんだの言ってそれを裏付けるような出来事にも遭遇している、最初はこの親まじやばいと思っていたのだが、段々俺の方がやばくねと思い出した。
そして父がよく寝る前に話してくれた話を思い出した、昔ミラリアという国があり強大な力を持ち栄えていたが、ある日魔王の逆鱗に触れ一夜で滅びたと、最初はただの作り話だろうと思っていたが、それがだんだん現実味を帯びてきた、そしてある日の夜俺はベットで頭を抱えた。
(ヤバいの俺じゃん!! この世界確実に異世界だ・・・・・・)
もうそれは認めようしかない現実だった、そして俺が読んだ小説でもあるように転生者は魔王と戦う、そんなストーリだ。
(というかやっぱり魔王とかいるのかよ・・・・・・ 転生したからにはやっぱりその魔王とかを倒しに行くのか・・・・・・)
俺は突きつけられた現実に焦っていた、だって前いた世界と違う世界に生まれてきてしまったからだ、本当にやばい、そう一人で悩んでいると部屋に父がやってきた。
「ルーク不安そうな顔をしているな? 何かあったか?」
父はそう言うとベットの隣にある椅子に腰掛けた、どうやら息子が悩んでいるのを見透かしたらしい、流石親父と言うところだろうか。
「いや、特にそんなことはないですけど」
父に俺実は生まれ変わったんです、元は別世界の人間なんです、とは言えず、俺は何もない素振りをした、まあ言ったところで信じてもらえないと思ったからだ。
「ならいいが、何かあったら父さんか母さんにすぐ相談するんだぞ」
「はい、分かりました」
実にいい人だ、最初の方頭のイカれた人と思ってごめんなさい、俺は心の中で謝った、そして父にそれとなく探りを入れてみた。
「お父さん僕将来ミラリアを滅ぼした魔王を倒しに行きます!」
そう言われた父はポカーンとしている、そして急に笑いだした、俺なんかおかしなこと言ったか、いや魔王を倒すなんて普通じゃ言わないか、でも転生したからにはそんなにもおかしくないかも。
「ルークが魔王を倒すか! でもその魔王はもういないから無理だな」
「えっ!いないのですか?!?」
「そうかまだルークは知らないんだったな、いいかこの世界には5人の魔王がいてその上に大魔王がいる」
とそんなことを父はつらつらと話し出した、そしてミラリア王国を滅ぼした魔王は五人のうち一番強くミラリア王国滅亡と同時に消息を絶ってしまったらしい。
共に滅んだかあるいはどこかにまだいるのか、それはもう誰も分からないみたいだ、そして父はそのままの流れでこの世界ことも話してくれた、この世界は主に魔王たちの治める魔大陸と人族の治めるいくつかの国から成り立っており、200年ほど前まではお互いを血で血を洗うひどい戦争をしていたらしい、しかしある時一人の勇者が現れお互いの間を取り持ち、戦争を終結させ平和条約を結ばせたそうだ、そのお陰で今現在はお互いを認め合い良好な関係を結んでいると。
(勇者が魔王と人との間を取り持ったとは・・・・・・ 普通勇者は魔王を倒すんじゃ)
その話を聞きふとそんなことを思ったが平和ならいいなと思い少し安心した、どうやら俺が魔王を倒しに行くことは無さそうだ、そして父は続けざまに今自分たちが住んでいる所の話もしてくれた、現在俺達が住んでいる所は魔大陸の隣にある人族の王が治めるロノア王国と言う、魔大陸と近いので当然魔族との交流も盛んに行われているみたいだ。
俺はあのノヴァースを見た時以来あまり外に出ないのでまだ見たことはない、魔族か一体どんな人達なんだろう、やっぱり角が生えていたりするのだろうか、気になったので父に聞いてみた。
「父さん魔族とはどんな感じの人たちなのですか?」
「そうだな 見た目はほぼ人間と変わりないが多少変わっている奴もいる、でもなルーク魔族だからと言っての偏見の目で見たり差別はするんじゃないぞ」
父はそう言って俺に注意を促した、父さん偏見も何も俺は別世界の人間ですとは言えなかった。
「はい父さん!」
「じゃあもう遅いからお話はここまでだ、いい子は寝る時間だ」
「はいおやすみなさい」
「おやすみルーク」
そう言って父は俺の部屋から出ていった、残された俺はベットの上で考えにふけた、この世界は異世界で魔王が五人もいてしかもその上に大魔王が君臨しているとんだ世界だな、魔王だけでもびっくりなのに。
(倒すような事はないか・・・・・・ 今は平和なようだし、それにしても、この世界怖い)
俺はそう思いガクブルしながらまた考えにふける、なぜ俺は前世の記憶を持ったまま転生したのか、自分はなにか特別な存在と勘違していて魔法が使える世界で妄想だけが膨らんでいたのかもしれない、某小説サイトで読んだ小説の影響を受けすぎて。
しかし二度目の人生か・・・・・・ この先どうしよう、まさに前途多難だ、最大の武器である前世の記憶もこの世界じゃ使い物にならないだろう、一体どうしたらいいんだよ、そして結構悩んだ結果ひとつのことを閃いた、もうこの際考えてもしょうがない俺はこの先なるように身を任せる。
そして最大の努力をしこの世界で生き抜くと、人間やればなんとかなる精神だ、俺はそう心に決めベットで横になり眠りについた。
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