魔王と転生! 魔王と一緒に世界を救う!?

魔王の手先

プロローグ

 俺は中堅企業に務める24歳の村神悟、ちなみに容姿も可もなく不可もなく普通ぐらい、今まで歩んできた人生は特に失敗や挫折もなく、やれば何でもそつなくこなせてしまう、故に何かに本気で取り組むこともなくただ単に親が敷いたレールに沿って生きてきた。


そして親はそんな俺を褒めることなく当然と言った態度で接してきた、だから俺はそれが当たり前のように感じている、本気になれば何かを極めたり成し遂げたりできたかも知れないが、そんなことを今になって言ってもしょうがない。


特に俺自身そんなことには興味が無い、そして当然のことだが人生というものはやり直しが効かない、一度始まればセーブもリセットも出来ない決断を一歩間違えればそこで運命は決まってしまう、ここで意識が高い人はそんなの自分でどうにかできる運命なんて自分で切り開くものだとか言うけど、そんなことは夢物語だ、でももしもやり直しが効くなら、俺はどうするんだろう・・・・・・


ふとそんなことをを急に考えてしまう、自分の意思で考え行動し何かを成し遂げたりすることが出来るのだろうか、今更そんなこと考えても意味の無いことなのだが、今の人生にはそれなりに充実した毎日を送れているし、特段不満がある訳じゃない。


とはいえ少しなにか物足りないような気もする、俺自身興味が無いと思いつつどこか心の奥底で何かを渇望しているのかもしれない、今の自分とは正反対の生き方をした自分に、そんなことを考えながらサクッと自分の仕事を片付けて帰路に付く。


そこでふと空を見上げると何やら怪しげな空模様。


「これは雨が降りそうだな」


 そんなことをポツリと呟いた時急に目の前が真っ白い光に包まれた、そして全身を這うような痛みが身体中に襲ってくる。


「うっ!」


 そんな声が口からこぼれ落ちた瞬間、俺は膝から崩れ落ち地面に打ち付けられた、痛みは治まらない、そしてまるで走馬灯のように過去の出来事が頭の中を駆け巡る。


ああ、これ死ぬかなと直感で悟った、しかし俺の人生こんなにも簡単に終わるもんなんだな、彼女だって高校の時以来出来てない、結婚もしてみたかったな、子供も欲しかったな、今まで特にそんなこと思ったことないのだが。


死に直面して心の奥底から何かが湧き上がってくる、人間こんなものなんだろう、やはり崖っぷちギリギリで色々なことに気づく、俺も典型的なその例だ、しかしこんな所で終わるのか嫌だな、まだ死にたくない、しかしそんなことを今更考えても遅い。


もっと早くに気づくべきだったな、最後までそう思いながら俺の意識は闇に沈んだ。

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