間違いなく面白いです!
物語は軽やかな文体で綴られています。アクションシーンは、躍動感があってハイテンション。心理描写も丁寧に描かれているので、どのシーンも情景が目に浮かびます。絵的ですね。
超能力を題材にしたものと聞くと、大味な印象を思い浮かべます。ですが、本作品は能力に縛りを設けることで、登場人物たちは少ない手持ちの札でやり繰りをしなければいけません。それが、手に汗握る緊張感を生み出しているのかなと思いました。設定に対しての深い追求があるので、物語に深みやリアリティを感じます。
主人公は熱血漢とクールという対照的な二人ですが、キャッチーですぐに愛着を持てます。二人に待ち受ける壁は大きなものばかりで、時には残酷な現実を突きつけられる場面もあります。それをどう乗り越えていくのかも、見ものです。
キャラクター愛の熱量が物凄く高くて、読み手にもそれが十分に伝わります。登場人物は多めですが、章終わりの人物紹介も嬉しい配慮ですし、楽しく読めます。
連載はまだまだ続きそうなので楽しみにしています(スピンオフも)。応援してます!
巻き込まれ体質という言葉がぴったりの主人公甲斐君と、いろいろと尖った折賀、その妹の美弥がメインの現代ファンタジー。
メインの三人はもちろん、甲斐を取り巻く人物は個性の大盤振る舞いで、とにかく濃いです。
物語の舞台は現代なのですが、日本にとどまらず世界を股にかけてさまざまな事件に巻き込まれていくことに。
各登場人物が辿ってきた過去や、訪れる場所の歴史など、情報量は盛りだくさんながら、素直で素朴な甲斐の視点で紹介されていくのでとても読みやすいです。
また、ハードな過去を負った人物との向き合い方、美弥への思いなどに、主人公の温かい人柄が表れているなあと実感する場面も多々。
一方で戦闘描写のスピード感などから、エンタメとして考え抜かれた作品だと感じます。
シリアスな展開も重くなりすぎず、コメディをバランスよく配合した爽快感あるアクションファンタジーです。
Ⅰ「オリヅル」という組織まで読了しました。主にそこまでの感想です。
世界に散らばる能力者、通称「ホルダー」を保護する組織・オリヅル。そこに所属する少年2人にフォーカスした作品です。
1章は主人公・甲斐がオリヅルに加入するまでの経緯が描かれており、世界観説明も兼ねた導入になっております。かつ、主人公とその相棒・折賀の掛け合いが癖になる章でもあります。
リズミカルな文体から紡がれる物語は、スピード感溢れる戦闘描写と合わさり、読者の心を掴んで離しません!
吹き抜ける風のような、疾走感溢れる作品を探しているそこの貴方! 主人公たちと一緒に"真っ黒"なバイトを体験してみませんか?
超常的な潜在能力を持つ人々を探し出し、その力を売って利益を得る能力者売買組織。それを阻止すべく、能力者たちを救い出し、保護する任務を負う組織「オリヅル」。「チーム・オリヅル」メンバーとして世界各地で勃発する超能力絡みの事件現場へ出動し、迷える能力者たちを救出するためにハードな戦いを繰り広げる少年たちの、ハードかつ爽快なアクションファンタジーです。
主人公である高校生の甲斐は、人間の纏う「色」が見えるという特殊な目を持ち、その力を超常現象専門チーム「オリヅル」で活かすことになります。同じ組織に籍を置く、やはりハイレベルの特殊能力を持つ高校生・折賀とバディを組み、やがて彼らは危険な事件の解決に目覚ましい力を発揮していきます。
そして、折賀の妹である美弥へ、甲斐の感情は次第に深まり……彼らに関わる周囲の人々との繋がりが、次第に深く、濃く描かれていきます。
この物語の非常に魅力的な点は、ただのハードで爽快なアクションものには終わっていないという点です。寧ろ、その裏にある人間の心の繊細さ、弱さ、ドロついた黒さ……そういうものが痛いほど切実に、丁寧に描き出され、読み手の心に強烈に突き刺さります。
けれど、この作品が痛々しく暗いイメージを持たないのは、それらを全て包み込む、温かく深い愛情が常に描かれているからなのだと思います。
アクションの躍動感と人間たちの感情の動き、思いの絡み合う複雑さ。それぞれの要素がどちらに傾きすぎることなく、絶妙なバランスで一つの物語に収められており、作者様のセンスと力量の高さを感じます。
物語は、第3章を終えたところです。ここから彼らがどんな物語を紡ぐのか、一層楽しみに拝読したいと思います。
この作品の見どころであるアクションシーンはレベッカ・キャントレルをも彷彿とさせます。しかもコメディ要素もプラスされ破壊力は倍に。
また世界中の歴史を股にかけるシグマフォースシリーズにも負けない規模感がありながら、超能力による派手な演出が読者をさらに引き込ませます。
主に主人公の視点で物語は進みますが、時折他の登場人物たちにも焦点が当たり、心情や個性が読み取れてなお美味しい。
そして読み進めていくうちに一人称効果、アンダードッグ効果も重なり、主人公に感情移入していく自分を感じられるでしょう。一歩一歩踏み締める成長にカタルシスに似た感覚を覚えるはずです。
意外性、没入感、規模感、背景描写、コメディ、そしてアクション。全て積み込んでも保たれる均衡はあっぱれの一言。
これからもこの作品から目が離せません。
超能力ものが好きな人全員に是非読んでもらいたい作品です。