駒(4)
五分ほどで、朱音が戻ってきた。
「お待たせしました。作成した駒は、ラティラのアイリスに送りました。
国籍はアイリス連合にしていますが、見た目はあなたと変わりないので、大目ヶ国出身で、子供のころに国籍を移したことにしています」
「髪も変わらないんですか?」
「はい。よかったですね」
よくねえ。
「年齢は二十五歳。職業は刑事。捜査能力を伸ばしましたが、どうしても見つけたいもの、成功させたい場面がありましたら、このサイコロを使ってください」
とテーブルの上にサイコロが置かれた。一見普通のサイコロだ。人間がよく使っているのと変わりない6面ダイス。
「この出た目に応じて、あなたの霊力を駒に送ることができます。送った霊力が大きければ大きいほど駒の能力値が上がります。必ず成功するとは限りませんが、やらないよりはマシです」
「この数値以上の霊力は送れないということですか?」
「はい。あなたの駒は普通の人間なので、受け取れる霊力がそれだけなのです。現人神や半妖などであれば、駒の霊力は上がり、受け取れる霊力も増えます。しかし、必要以上の干渉につながり、常世の存在がラティラに知られてしまう可能性があるので、作成する駒は人間に限られています。
ほかに、何か気になることはありますか?」
「いえ。問題ありません」
「わかりました。では早速始めましょう」
いつの間にかテーブルにパソコンが置かれていた。画面にはラティラの街が映し出されている。
常世あそび クトリ・ディアティル @kutori07
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