本気で向き会った人だけが会える、不思議な相手

 不気味に始まるこの物語の終着点はとてもすがすがしく、当初の「怪談かな?」という予想を気持ちよく裏切ってくれます。文章もとても読みやすいです。
 もしも自分だったら、と思わずにいられないシチュエーションで、つい自分のことに置き換えながら読んでしまいます。もしかしたら、音楽だけでなく他のあらゆる芸術分野にも、彼や彼女のような現象は存在するのかもしれません。この話は、何かを突き詰めようと心底努力した人に訪れる、小さな奇跡の物語だとおもいます。
 とても面白かったです。