たったひとつの鈍いやり方 17
はてさて。私は四枚の翼を広げた。
二枚の白い翼と、二枚の黒い翼。
竜と人間のせめぎ合い。勇者と邪悪のせめぎあい。
などと。
冗談がすぎるか。
私――ヘレナは、数十年ぶりに宙を舞っていた。
勝手は身体が覚えているらしく、それほどに不自由はない。
むしろ空中のスリリングな快感に、足先が痺れる心地だった。
気持ちがよい。
よいが、その痺れの幾分かは、快感ではないのだろう。
指先はさきほどから震えていて、鼓動が激しくなっていた。
竜から黒蛇を引きずり出す。二度とするつもりのないそれを、またしてもすることになるとは、まったく、運も心も弱すぎる。あれに触れればどうなるかは、誰よりもよく知っていた。この私の両脚が蛇に奪われたとき、私はその痛みを知ったのだ。
それを言葉で表現するならば、己の心臓のいちばん柔いところを覆っている爪のようなものに、カメを守る甲羅のすきまのような部分に、鋭くとがった針をゆっくりと突き刺していくようなもので、勇者という超常の存在であろうと、強靭な肉体であろうと、その心は無防備なのだから、とうてい、耐えられるものではない。
つまり、勇者が、英雄が竜に成り果てるということは、地獄だ。
地獄の苦しみなのだ。
ああ、まったく、たまったものではない。
そうは思いながらも、口の端はうわむきに歪む。
それが私だった。
かつて、竜に成り果てかけたそのとき、どうして私はためらったのかを思い起こしていた。百年以上前ともなれば、もはやそれは私ではない。だがそれでも、かわいく憐れで愚かしい、そういう生き物のことを思い出して、私はほくそんでしまう。
「竜にも勇者にもなれず、随分と長く生きおおせたものだ」
かかか。笑声。生起する感情が胸の内をたゆたうままに任せて、蛇を撫でた。万物聖剣の力が、指をつうじて流れ込んでいく。本来入りこんではいけない場所へと浸みこんでいく。すでにサウラの子孫はこの場を離れていて、邪魔される心配はない。もっとも、これは邪魔立てできるような類のものではなかったのではあるが。
指先の下で、蛇がぞわりとうぞめく。
「こらこら」
暴れようとする鱗を必死に掴んで、私は蛇に命令を続ける。すでに、半分以上はララの身体から、竜の身体から脱しているのだから、このまま引き出し続ければ、そのうちララ=リオライエンはその身から竜を失って、ただの人間となるだろう。
そしてその代わりに、私は竜となる。今までの役割を、勇者としての枷を破って、自由になれるのだ。かつてその任を与えられたとき、その任を果たせないと痛感したその時、夢にまでみた自由。それは私のすべてではないにせよ、願いだった。
竜への転身はおぞましいが、同時に、素晴らしい諦めでもある。人の身をはるかに超えて、しがらみからも悲しみからも解放されることは甘美な誘惑だ。強烈なただひとつの感情だけが、思念だけが残ること。ある意味での純粋。穢れなき真っすぐなたましいとなること。そうして、己のしたいがままに生きるということ。
そうだ。
竜とは、蛇が唆された人間が、縛られた在り方から抜け出ることだ。
スーリアが願ったように。ハルトが求めたように。
重く、苦しく、己にのしかかったあらゆる重みを投げ捨てて、誤りではない仕方で、ちゃんと真正面から諦めてしまうことだ。それを認めてしまうことだ。いつか見た理想になどなれるはずもない、それは己ではないと悟ることだ。
多くのことを悟らねば、決して成れぬものなのだ。
ゆえにずっと、長い年月を、この身は竜と成り果てなかったのだ。
「なんとも長く、死骨をのさばらせていたものか」
気がつけば私は、蛇のすべてを飲み干していた。この身体のうちに、取り込んでしまっていた。それはまるで、私がこの国のすべてを取り込んで、ひとつの巨大な怪物を生み出した様にも似ていた。勇者を生み出し、戦わせて、竜を生みだして、それをまた殺し、勇者を生んで、そして絶対的な勇者を顕現させるに至らしめる。そのために私が生み出したもの、それもまたいびつなかたちの、竜なのかもしれない。
「存外に気持ちが悪いな」
思わずつぶやくがそれは、感傷によるものではない。確かに今までの己の所業を思い出してはいたが、その悪辣さにみずから反吐をもよおしたが、しかし、良心という蛇はとうの昔に枯れているのだ。この身を苛むのは、己の心ではなかった。
身体のなかで息をする何者かの感覚があった。
ずるずると肉と骨をはい回り、強き魂を喰らおうとする蛇。蛇だ。
それは、身の内にため込んだ呪詛を探し回っているようだった。
魂に沸いた瘴気、それこそが好物の生き物がここにいた。
地の底から這い出るそれらが、どこから来るのかは知らない。ただ、それらが人間を竜へと変えてしまうことしか知らない。女神から受け取ったその力の対極なるものだということしか分からない。そして多分に漏れず、私の魂をすっかり侵食し尽くしたときには、私の肉体は竜と成る、というありきたりのことしか、知らない。
だが本当にそれはありきたりだろうか。
そうなれば――成り果てれば、どうなるのか。
実際のところは分からなかった。なにせこれは、この私の肉体なのだ、この世界の真正である勇者のその正統な肉体なのだ。予想だにできない。できるはずもないのだ。どんなことが起きるのだろうと、研究者としては興味が尽きないが、それを知っては意味がなくなってしまう。色々なことの、物事の、意味が消え失せてしまう。
そのことを、私はよく知っていて、ゆえに手首はくるりと捻られる。
その意味はひとつ。ただ一つしかない。
右手に握られたるは竜魂剣。
転生も回復も阻害する、呪われし神剣。
剣は巻き付いた黒蛇に呼応して、じんじんと響いていたけれども、どれほど呪いが増しても、もはやそこには何の意味もない。もうすぐに、その呪いの持ち主は死ぬのだった。それは冗談でも比喩でもなく、ふざけているつもりなども毛頭ない。人間はみな、いつかは死ぬけれどもそういうことではない。私は、確実に死ぬのだ。
いや、というよりも――私は心中で言い直すことにする。
私は、死なねばならないのだ。
私はすこしだけ視線を落として、己の首筋に這わせた刃を眺めた。
すでに黒い血が流れだしてしまって、どうしようもなく黒い。
鏡のようなそれに、鱗と角の浮き出た顔が映る。
おぞましい化粧、いや化生だ。見事なまでの怪物だ。きっとこのままであれば、ようやく私は、竜と成り果てられるのだろう。それは確かに待ち望んでいた未来の一欠けらでもある。あるのだろうと思えた。だがその絶好の機会を、私は残念ながら手放さねばならないのだ。いや、手放すというとすこしばかり語弊があるだろう。
この手で、切り離すのだ。
ゆえに、手離すと言うべきだった。
そう、私は竜と成る前に、己の手で死ぬつもりだった。
誰のために?
一体、誰のために、私は黒蛇を背負ったままで自害するのか?
この世界を二百年も守り続けた私は、どうして自害するのか?
さぁ、よく分からない。
強いて言えば、レイエル=レシュカのためか。
あるいは、サウラの人間たちのためか。
誰でもよいが、それが正しいやり方だと、私はそう思ったのだ。
ならば、サニャ=クルーエルが言うように、それでよいのだと思えた。
そう思えるということが、無類の正しさであるように感じられた。
仰仰しい台詞など不要だろう。
つまるところ、私には、感じられたのだ。
ここで、誰彼のために死ぬべきだと。
ゆえに私は輝きをたたえた左の手を、そっと剣の握りに添えて、
力いっぱいにそれを振り切ろうとした。
そして、いや、しかし。
「あれ」
剣がぽろりと手から滑る。
それは、はるか下界の混沌へと吸い込まれていく。
全身に、嫌な寒気が奔った。
いやはや。まいった。まいったな。
まさか、己のことをここまで見誤っていたとは。
私の両手指を凝視する。
その指には無数の長い爪が生えていた。
やはり!
それはもはや、握りしめることなど適わなかったのだ。
自害になど適わない手指だったのだ。
ではどうするか。
私はすぐさまに己の爪で、頸動脈を掻き切ろうと、首筋をなぞる。
だが、その指先はもちろん、かたいかたい表鱗に触れた。
黒い爪でさえも、鱗を浅く傷つけるのみで頸を斬るには適わない。
ではどうするか。
どうできるか。
できないか。
何もできないと、いうことか。
成るか。成り果てるか。
竜に。
自問して、私は憤慨する。
「この私が自身の首さえ斬れぬというのか! ふざけるな! 他の誰でもない、私だぞ、私の首を斬ろうというのだぞ! それができぬ道理が、どこにあるのだ!」
私はしつこく首を掻きむしり、その鱗に爪を立てた。
だが、こればかりはどうしようもなかった。
無理。
無理。
無理。
無理か。
私が思わず瞑したその瞼に鱗が生えて、両目が開かなくなった。
そしてほんのひと呼吸ほどの間に、私は闇へと落ちていた。落ちたというよりも、暗闇がまたたくまに周囲を覆ったというべきだろうか。身動きが取れぬことはなかった。それは現実とは思えぬほどに色濃い闇だったが、身体は至って自由だった。
死んではいない。
竜の肉体のなかに落ちたというのに死んではいない。
ではどういう状態なのか。
勇者ヘレナは、どのようなかたちで生き恥を晒しているのか。こんなところをかつての戦友に見られれば赤面ものだったから、私は手探りで歩き回ることにした。幸いにも、爪先にも指先にも触れるものはない。何もないのだった。
ただひとつ、闇のなかには、冷気があった。
私は、息を長く吐きながら、両の肩に手を這わす。
「――さむいな」
手指に触れた私の肩は、かすかに柔らかい。
竜の鱗ではなく、人間の柔肌。
どうやら人の身のままで、一糸もまとわずにいるようだった。
「悪趣味というか、なんというか、なにか欲しいな。なんでもいい、鱗でも鎧でもいいから、なにかぬくもりのあるものが欲しい。生きた人間などがいれば、なお良いというか、最高に良い。取って食うのではなく、ただ、人が欲しくなったのだ」
ぼやくように呟いたそのとき、私を覆う闇が晴れた。
眼前に飛び込んできたのは、白。
いや、白銀だった。
私は、一面の銀世界のなかに立っていた。
それは今までに何度も見てきた、他愛もない雪だった。
だがそこには、たった一度しか見たことのない少年がいた。
「人? 人か? 願ったから現れたのか?」
「馬鹿を言え。お前が現れたんだ。俺のところにな」
冷ややかな声だった。
雪上には、脱ぎ捨てられた鎧と剣が打ち捨てられている。謹製の聖正十字も同様で、その近くには鎧下までも落ちていた。とはいえ、別に少年は裸というわけではない。どこかの山麓の民が着るような、皮づくりの簡素な服をまとっていた。
「――ハルティア=ラング?」
私が問うと、少年はひどいしかめ面をした。
彼は、私の胸のあたりを凝視すると、腹立たしげに雪を蹴った。
それからおもむろに背後を向いて、ため息を吐く。
「おいおい待て、待てよ、クソ、ちょっと待ってくれ」
「なんだ。文句でもあるのか」
「なんだはお前の恰好だ。とりあえずなにか着ろ」
「ん? あぁ。そうだな、では一枚くらい纏っておく」
服を気にしていたのか。
純情か。
まったく、そんなことを気にしていて、よく勇者が務まったものだ。私はひと振りで絹のローブを生み出すと、それを羽織った。物体の召喚、というよりも空想の実体化だ。当然そんなことは現実ではできない。魔法でも奇跡でも不可能だろう。
つまり、これは幻なのだ。私は、雪を手に取ってその温度を確かめた。しっかりと冷たい。まるで本物のようだが――どれだけ握っても溶けない。偽物だった。
私は、少年へとその雪を投げやった。
雪が空中で霧散して、何事もなかったように消える。
少年が、苛立たしげに片手を振ったためだった
「雪遊びの趣味はない。やめろ」
「やめる。それでここは、貴様の中なのか?」
「知らんが、俺の中にはこういう場所もあったようだな」
こういう場所。
この雪原は、どうやら彼にとってひどく大切な場所のようだった。
竜である私にも経験はある。
まどろみが堆積するのは、いつだって思い出のなかだ。
「貴様の魂が視るという夢、いわば名残惜しさというわけか」
「俺はこの場所を、人間の芯だと思っている」
ぶっきらぼうに少年は言った。
言いながら手のなかに、毛皮の衣を生み出した。
それを投げて寄こしながら、私を睨みつける。
「着ろ。それから、俺に言うべきことを言え」
「謝罪が欲しいのか。ならお前に与えた聖剣のことでも、詫びるとしようか」
「そうじゃない。スーリアが俺の家族を殺したことを詫びろ」
「それは……いや、すまなかった」
厳密にいえばスーリアという男が竜へと成り果てたことは私の責任ではないし、その竜がハルティアの故郷を滅ぼしたことも私の責任ではないのだが、この胡乱な場所で、このさびしげな少年がそれを求めるというのなら、やぶさかではない。
素直に私は謝って、それから毛皮のコートを羽織った。
よく鞣されていて、おどろくほどに柔らかい。
この無愛想な少年が生み出したとは思えないほど、手が掛けられた代物だった。
仇だからと言って、薄着で雪中に放り出すほど薄情ではないらしい。
「存外に、優しいのだな」
「見た目で判断しただけだ。お前は寒そうで、しかも弱そうに見えた」
「お前じゃない。ヘレナ=レシュカと呼べ」
「その辺りは、お前に入ったときに履修済みだ」
「では私を憎んでいる?」
「憎んでいる。お前を憎んで世界が救えれば、最高だったんだがな」
ハルティアはやれやれ、と言わんばかりに首をすくめた。この少年はどうやら、本気で怒っているわけでもないらしかった。いや、より正確に言うならば、その怒りは過ぎ去っていたようだった。彼は、しゃがみこんで掴んだ雪を、宙に投げ上げる。
「まぁ、お前の罪は贖いようがないものだが、俺は物分かりがいいから、今さら責めようとも思わない。凍えそうな女には服だって出してやる。お前が許されたわけじゃないぞ。俺が姿を現した理由が、謝らせるためじゃないというだけのことだ」
投げられた雪が、私の頭にぱらぱらと振り落ちた。
「ならば何をしに現れたというのだ」
「その前に答えろ。お前が、どうしてそんな無様な姿でここにいるか、分かるか?」
「……てっきり、竜化を止められず、無様に成り果てたのかと思っていたがな」
「半分は正解だ。もう半分は不正解。落第だな」
つまり、もう半分は明確に誤っている、ということになる。
が、しかし私は首を捻る。
どうしても、誤っているところがあるとは思えなかった。
「ふむ。私は正しいはずだ。お前が土壇場で救ってでもくれたのでもないかぎり」
「惜しい。正解は、あんたがまだ、完全には竜じゃないってことだ」
「ほう! じゃあ半人半竜か? それは朗報だな」
「いやまぁ、一人九竜くらいだな」
「なんだと! それは、逆に何が残っているというんだ?」
大げさに問うた私に、ハルトは冷ややかな目を向けた。
「馬鹿め。魂の話だ。顔だけが牛になったミノタウロスみたいな話ではない」
「それはミノタウロスじゃなくて、牛頭馬頭の牛頭だろう」
「……いやいや、全裸にコートだけをまとっている牛頭など、ただの変態だからな」
「おま、妙な絵面を押しつけるな!」
まるで話にならない言葉の連発だった。
まだ竜でないとしても、そんなもの長くは持つわけがない。
私はありったけの嫌味を込めて、少年を指差した。
「おい貴様。まだ猶予があるというなら、竜と成り果てる前に死ぬことが叶うというのなら、今のうちにお前が私の首でも切り落とせ。それで万事解決だろう?」
それを聞いた少年は、首を横に振った。
大げさな素振りが癇に障るほどだ。
「残念ながら、俺はこの一瞬にしか存在しないただの見間違いのようなもので、竜を殺すどころか、この手で、あちらの世界のなにかに触れることさえもできない」
少年は右手を握りしめてそう言った。
彼はもう死んでいるのだと、有り体に云えば、幽霊なのだと言った。
「では、貴様にできるのは喋ることくらいのものか?」
「いいや。俺はお前にはできないことを一つだけ残している」
少年が得意げに言った。
思わず聞き返すと、少年は空になった手を握って、また開いた。
そのなかには、先ほど投げ上げたはずの雪粉があった。
「手品?」
「魔法だ、魔法」
「皮膚組織を雪に変えた……」
「なわけあるか。物体を転移させる魔法に決まっているだろう」
言うやいなや雪は消え、私の頭上からまたしても振り落ちる。
いや、今度はその程度ではない。
私はすかさず、三歩だけ横に移動した。
ひと抱えほどの雪塊が地面に落ちた。
「危ないな。こんなものがお前の自慢か?」
「俺にとってはな。魔力消費がばかでかくて使い物にはならない粗大な力ではあったが、本当に困ったときには、俺にはこれがあったんだ。これに救われたんだよ」
少年は口の端をゆがめた。
「とはいっても、今の俺には手のひらサイズが限界だ」
「うん? 王都を吹き飛ばしたあの魔法は、虚勢だったのか」
「たましいの残滓である俺に、あんなスペクタクルを期待するんじゃない」
大迫力だとか大活劇だとかいう意味の、スペクタクルという語は私が広めたのであるが、それにしても古くさい言葉だった。少年はしかし気にする様子もなく、その手を私に向けて差し出した。かすかな魔力の気配が、そこから漏れ出していた。
「実際問題として、竜であった頃も、ララと同一化した頃も、俺にはその記憶はおぼろげにしかない。そもそもの意識というものが曖昧な領域で、俺がどれほどの力を発揮していたにせよ。それは、いやそれこそ幻だ。手札に幻想を抱かないでくれ」
そういうことなら仕方ない。
私が頷くと、少年は豆だらけの手を伸ばした。
「分かったらしいな。さぁ唱えろ。俺の手を取って、唱えるんだ、」
「いや断る」
「なんでだよ!」
とりあえず断ってみた。
少年は私の手を強く握りしめる。
口をぽかんと開けたその顔は、すこしだけ年齢相応に見えた。
「あんたも勇者だろ? 天秤にかけて断るんなら、世界に釣り合うものを出せ!」
「今さらできることなど、あるわけがないということで、」
「おいおい。自暴自棄なんてのは、この世が滅びないときにやれよ!」
そうは言われても、別にそれは自暴自棄などではなく、本心だった。本当に掴みたいものがなかったのだ。もう私の願いはすべて潰えた。今さら、何を欲しがろうというのか。この期に及んで、何を引き寄せようとも、それを慈しむ時間など刹那にすぎない。その刹那に一縷の望みを生むだけ生んで放置するなど、するものか。
「そんな役立たずの魔法でなにができるものか。やってみて、ああやっぱり何もできませんでしたぁーって、そういう無意味を披露する趣味は、いささかもない」
少年が舌打ちをした。
「まったく面倒なやつだな。自分に酔うのも、暇なときにやれよ」
「なんだと」
「夢を掴めなんて言ってない。必要なものを望んでくれればそれでいいんだが?」
「チッ。じゃあ、肉でも酒でも持ってきてみるか?」
「それだって止める理由はない。ただの遠回りってだけだ」
ふざけて言ってみた言葉に、少年は怒る様子もなく頷いた。
癪だが、私は当てつけのつもりで、魔法を用いる。
少年の鋼のような手を握り、ちいさく呟いた。
「なんでもいいか……なら、美味そうなものよ、『来い』」
魔力がごっそりと奪われた感触とともに、一秒、二秒。
私は、手のなかに何かが現れることを期待したが、何も出やしない。
おいおい。夢どころか、とっくりひとつも掴めないじゃないか。
「おい、なんだ新手の詐欺か?」
すると、ハルトはやれやれと言った様子で首を振った。
「ダメダメだな。言い方が投げやりすぎて、魔法も失敗だ」
「言い方の問題なのか?」
「そうだ。魔法というのは声と心がひとつになることが大事だからな」
心だと。
この勇者が心を語るなど、笑い話にもならない。
私は思わず笑い声をあげた。
「お前には心などなかろう。あったのは使命感と復讐という妄執だけだ」
「そうだな。お前にあったのと似たようなものだ」
「決めつけるな」
「違うのは、ララを救いたいと思ったとき、俺には違う心があったということだ」
「はぁん。つまり得た物は依存心、いや、劣情というわけか」
私は腕を組んで、蔑んだ。
――呪唱によって思考を制限され、神降ろしによって勇者としての在り方に縛られた。そんながんじがらめの少年は、だがしかしそうなる以前から、そもそも復讐心に身をやつしていたはずだった。私はそれを知ったうえで、彼に『万物聖剣』を与えたのだ。つまり、ハルティアがどういう人間かは、とてもよく、知っている。
そこからこの少年について語ることを許してもらうとするならば、まず第一に、ハルティアはみずから望んで心を捨てた。そして次に、みずから望まずに、心を取り戻してしまった。この二つを踏まえるに、少年が語る『心』などというものは、彼の意思とはまったく無関係に生起したもので、たんなるノイズにすぎないのだ。
そんなよく分からないものを大層な秘密のように語る少年に、私は滑稽さを覚えたし、ララ=リオライエンに対する少年の思いにも、たんなる劣情であるという以上の評価を与えることはできなかった。なんのことはない。ハルティアは、黒爪に裂かれたことで、使命を見失ったのだ。そして、劣情に呑まれてしまったのだ。
そういうこと。そういうことなのだ。
と、私はそのように思考をめまぐるしく働かせたが、心のなかに引っかかるものがないと言えば、それもまた嘘になる。人間にとって、何が素晴らしいのかということに答えを与えるのは難しい。すくなくともヘレナ=レシュカという人格、人間性を失った化生である私にとっては、ハルティアは愚鈍であるのだが、しかし。
私は仕方なく、己の心情をただ単に吐き出す。
「甘っちょろい考えは、もう十分だな」
「ふぅん。あんたにはないのか。なにか、そういう言葉にしがたいものが」
「あると言えばあるし、ないと言えばない。消えてなくなったものならあるが」
「ふぅん。振られたことでもあるのか?」
「違うわ!」
一緒にするな。
そんな安っぽい恋愛事情ではない。
もちろん、振られたこともない。
「では何がお前を、そんな風にしてしまったんだ? あんたは何を失くした?」
「とてもじゃないが、貴様ごときには言えないな」
「もしかして、お前が来たという異世界のことか?」
「だから言えないと、言っただろう」
二度に渡って拒絶すると、流石に少年も頷いた。
「そうか。なら、その言えないものが戻るように、せめて祈っておいてやる」
「かはははは。誰に祈るのだ? 女神か?」
「そんなわけないだろ。祈りなんて誰に捧げなくても許されるものの筆頭だ」
「そうは思えんが、一応礼を言っておくとするか」
ただし礼をいつ言うとは言っていない。
これはここぞというときに、残しておくことにしよう。
「さて、じゃあ話を戻して、あんたに最後の力をくれてやる」
「魔法というやつか。心が必要だというのは本当なのか?」
「そんなわけないだろ。もう二度と話すこともないだろうから、ちょっとばかしの戯れに付き合わせてみただけだ。必要なのはお前の心じゃなくて、正確な詠唱だ。ついでに言うと、この場所で魔法を使っても、発動なんてするわけがないだろう」
人を嘗めたクソガキだった。
「さぁ耳を出せ」
む、と私は思わず顔をしかめた。
「……その前に聞きたい。私が死ねば、黒蛇が死ねば、貴様は死ぬのか?」
「無論だ。どうせ俺はもう蘇生もなにもできん。ただここで俺の思い出を蝕まれていくくらいだ。それなら、お前でもなんでも救って、清々しく消えてやりたい」
「くははは、よいな、それ。私が見習えるほどだぞ」
それは本心だ。
ハルティアが今際の際に思うことと、私の願いはきっと近しい。
それは、竜を憎む者同士だから、分かり合えることなのだろうと思った。
「自分や他人の命に拘泥せず、世界を救うために全てをささげるとはなんと素晴らしいことなのだろう。それが最後に叶うのならば、どんな人生も、報われるのだ」
私がそう言うと、ハルトは顔をしかめた。
「――どうかな。俺は、世界のためには生きていない」
少年はすこしおどけた口調で、しかし力強く言い切った。
「ヘレナ=レシュカ。きっとお前には理解できないんだろうが、俺はどんな人間も救ってこようとした。助けてこようとした。そのために世界が滅びようとも、目の前の人間を救うことが俺の、勇者としての使命だった。俺はお前とは違う。俺は非情ではないし、お前のように強くもない。もっとずっと弱くて、だから、この心を殺して、お前にすがったんだ。それは、お前が正しいと思っていたからじゃなく、そうすることでしか、生きていけなかったからだ。俺は、勇者に救いを求めたんだ」
救い。
「だから、俺がお前を助けるのはつまり、そういう理由なんだよ」
私は、無理やりに嘲笑を作った。
「貴様の語る勇者や使命とは、その程度のものか。それは、がっかりだな」
「失望して結構。今の俺はたぶん、ララにその救いを求めているのだし……」
「……」
これは冗談なのか?
救いを求められても、ララ=リオライエンは困ると思うが。
「冗談じゃないぞ。ララに限らない話だが、人間は人間に救われるものなんだろうと思う。そのことは恥じ入るようなことじゃない。すくなくとも、神様からもらった力にすがっているよりは、もっとずっと、マシなやり方だろうと思っている」
清々しいその言葉がどれだけ正しいのかは分からないが、ハルティアが迷いなくそう言うのだから、きっとそれらの文言は、ひとつの答えではあるのだろう。ララがそれを受け入れるかどうかはともかく、求めることくらいは、許されるのかもしれない。人間が人間を救うというなら、そこに絶対的な答えはないのだろうから。
「それに、今になってみれば、俺はもったいないことをしたと思わないでもない」
「ふむ?」
少年はにっこりと笑って、感慨深げに話を続けた。
吹っ切れたようなその顔に、私は首を傾げる。
「ララのことは愛しているが、」
「うむ?」
「俺の周りにはあれだけの美女が揃っていたんだ。もう少し、バランスよく良い思いができたんじゃないかと思うんだ。考えても見れば、デートしたことすらもない」
デート? バランスよく?
何を言っているんだこいつ。
先ほどの清々しさをすべて帳消しにするようなセリフだった。
「おい貴様……」
「オーステンの言葉がこうなると身に染みる。俺はバカだったな」
「……染みる?」
「たまたまだぞ? こう、着替えに遭遇するとか、押し倒されてしまうとか、そういう本来あるべき危うい関係性というものを、堪能すべきだったような気が……」
「……危うい関係性?」
だめだ。こいつ、勇者性を失ってはいけないタイプの人間だった。
オーステン=エリオットも、要らぬ入れ知恵をしたものである。
愛だの恋だのならまだしも、ハーレム欲求に目覚めさせてどうする!
黙り込んだ私の目はきっと氷のように冷えていることだろう。
「ん? どうした?」
「どうしたもこうしたもないわ!」
「ここじゃ俺を縛るものは何もないんだからな、本音くらい良いだろう」
「聞きたくなかったぞ、その本音」
ハルティアの仲間たちもまさか幽霊となったこの少年が、こんな不純なことを考えているとは思っているまい。生前は、あれほどに堅物だった彼が、もちろんララへの恋慕を隠さないようになっていたとはいえ、露出度の高い衣装にいちいちドギマギしていた彼が、その心の奥底にこのような本音を隠していたなど、台無しすぎる。
「というか、それなら私が服を着ていない方がよかっただろうに」
「刺激の量が重要だと分かったんだ。全裸というのは目に優しくない」
「貴様のために私がいるわけではないのだが」
「もちろんだ。だが効能がある以上、用法容量を守っておかないとな」
「医薬品扱いするな!」
ひどい。本当にひどい。
少年はどこか恍惚な目で雪原の彼方を眺めている。
いや、本当か? こいつ本当に少年なのか?
考えてもみれば、竜となってから、まどろみのなかとはいえ、実に四十年あまりが経過しているというではないか。もしや精神年齢は相応に、老けているのではないかという疑念さえ浮かぶ。少年は、顎に手をやって、懐かしむように微笑んだ。
やっぱり、これを少年と呼ぶのは違う気がする。
いうならば、思春期の精神状態で生殺しのままに歳を取った変人だ。
知識……勇者ヘレナの知識を借りるなら、モンスター童貞である。
彼はため息を吐きながら、その目を細める。
「いやしかし、本当に残念でならない。もっと関係性を深めるべきだった」
「懐かしむな! 貴様はやはり、童貞だ! 関係性の意味をはき違えているぞ」
「フィーラは絶対に主導権を握るタイプだと思うんだが、それが良いよな。エラミスタはクールぶっているうえにマイペースだが、2人のときは優しいかもしれん。ララはいわずもがなで可愛いし、見た目に似合わず、芯が強い。そこに俺は惚れた。」
「話を聞け!」
滅茶苦茶な奴だった。もしかしたら、勇者であるときに抑圧していた感情に歯止めが効かないのかもしれない。いや、私に言わせればそれは劣情であるのだが。
「というか、それ以上に、貴様が恋慕することは許さんぞ」
私が言うとハルティアはしたり顔で親指を立てた。
「レイエルのことか?」
「ぬ……ぐっ」
「安心しろ。あいつは面倒臭そうだからそういう対象ではない」
「安心させるんじゃねぇ! 私のレイエルに謝れ!」
「人の心とは難しいな」
「この、クソ、貴様に口走るつもりだった礼に熨しをつけて返せ!」
「ノシってなんだ?」
「ああくそ、これはヘレナの世界の言葉か!!」
やりにくい!
流れる言葉が止まらない!
「というか、先ほどから、お前の言葉が軽いのだ、ハルティア!」
「どういうのがお望みなんだよ」
「ララ=リオライエンへの思いをもっとぶちまけろよ……!」
「お前はそういうのが望みだったのか」
いや、だって、その、そうじゃん。
私が失ってしまったもの、未来も愛情も、真実も。
貴様とララという女が持っていると、そう勝手に思っていたから。
「まったく、幻滅した」
「幻など抱くものじゃないが、さきほどの言葉は半分冗談だ。安心しろ」
どこまでのなにが冗談なのか、説明して欲しい。
ことによっては、残滓でしかないこいつに引導を渡してもいい。
「ぐ、愚弄しおって」
「俺の心をバカにしたくせに、俺の心を知らないお前が悪いんだ」
「根に持つタイプだな。これはモンスターだな」
「ふん。俺の答えはもう出ている。迷いも思い残しもしないほどにな」
「……そうなのか」
「ただ、ほんの少しばかり遅かった。それだけのことだ」
「それだけか」
「すこしは笑えたか」
いいや。笑えない。
その代わりに私は、鼻を鳴らした。
「さて、じゃあ耳を寄こせ」
もはや逃げられない。
耳に口を寄せて、ぼそぼそと少年が伝える。
くそ。私は、それを聞いたことを後悔した。
「これはひどい詠唱だな。なんの意味もない戯れに、生き恥を晒させるのか」
「感性の違いだ。やってしまえばよく思えるものじゃないのか」
「よかろう。この際だ。お前の言いなりになってやろうか」
すぅと息を吸い込んで、思い切り叫ぶ。
「『我が腕は万物を手中におさむる自由の顕れ! 剣よ、来い』」
その瞬間、私の瞼が開かれた。
まじか。
押し出されたような感覚。
ハルトが私を、はじき出したのだ。
ゆえに私は竜。
鱗と翼と尾を携えて、死ぬまでのこの刹那を、どうしろと!
だが、もはや首の下まで竜と化したその肉体。
自由を失ったその手に、突如として、剣が現れた。
竜魂剣アダロ。
そうか。
合点がいった。
ハルティアはこの剣を引き戻したかったのだ。ならば始めからそう言えばよかろうに、まったく何たる茶番を演じさせられたものやら。だがそう言いながらも、私の心は晴れ渡っていた。それが目的だったのだと、少年が笑った気がした。
剣が、ゆっくりと手のひらの上で傾いていく。
落ちる。落ちてしまって、また元の木阿弥。
には、ならない。させない。させるわけがない。
私は、竜としての爪が己の皮膚に突き刺さるのを無視して、剣を掴んだ。
握りとったその手から血が、おびただしく噴き出した。
それでも私は死んではいない、生きている。生きている。
「なんだ、やればできるじゃないか。私も捨てたものではないな!」
そう呟いて、剣を勢いよく振りぬいた。
ひゅるりと軽やかな音がして、抵抗ひとつなく、視界が傾く。
斬れたのだ。上手くいったのだ。
つまり、ヘレナ=レシュカの首は、落ちたのだ。
竜であるその勇者の首と胴体が分かたれて、死んだのだ。
ふむ。
これが、生首がみる風景か、と最期にそんなことを思いながら。
感慨深く、私は息をもらした。
これにて幕。
長い長い、夢のような時間だった。
記憶と力を授かってから二百年。
だがそれもようやく、終わる。
と、その首が、がくん、と途中で止まった。
なんだ。空気の読めない奴がいるらしい。
「あん?」
視線の先には蛇が。
黒蛇がいた。
ぐいとその牙で私の首の断面に食らいついている。
最低の奴だ。
あいつは、ハルトはどうなったのだ。
黒蛇のなかにいるあいつは、何をしているのだ。
まったく頼りにならない奴だと、私は思って。
ちらり。一筋の黒い線が。
ピアノ線のように細いそれが下方へと伸びていることに気付く。
そうか。まだ、まだ分かたれ切っては、いない。
ならば、だとすれば。
瞬きが見える。
火花がはるか遠くで、ぽつんと。光る。
「ああそうだ。何事も遅すぎるということはないぞ、ハルト」
私はそう思いながら、目を閉じた。
「まだ、貴様なら、貴様らなら、できるぞ」
届くかは分からないが、届いたなら。
私はまだ諦めないでいられる。
そういうことらしかった。
〇
「そう、声が聞こえたのです」
エルマンが傾けるその耳の先で、ララは語った。
その暗闇のことを。その孤独のことを。
いわく。
そこには灼熱の氷塊があった。
巨大な壁。氷で隔てられたその部屋。
透き通るその向こう側には、愛した男が閉じ込められて、
いわく。
そこにいない。
ララ=リオライエンは、息を呑んだという。
なぜ?
どうして、ハルトがここにいない?
はっきりと理由は分からないが、考えることはできた。
「ハルトは氷から脱して、」
そしてどこへ。
「必要とされたところへ、行ったのです。なにかのために命を投げ捨てる人たちを、救ってしまう人だから、それがどんな相手でも、ハルトは誰でも助けられるのです。そして、誰も犠牲にしないで勝ってしまうのです。だから、ハルトは勇者なのです」
知らないはずのその答えをララは知っている。
聞いていなくとも、見ていなくとも、知っている。
だからララ=リオライエンは、氷の向こうを探さなかった。
その代わりに、彼女は、固まっていたその瞼を開いた。
瞼を開く方法も、知っていた。
この氷というまどろみから醒める方法はちゃんと、聴いていた。
レイエルたちの、その歌声に掴まるようにして、ララは手を伸ばす。
それが自分のために歌われた歌だと、彼女には分かっていた。
「起き……なきゃいけないと分かったの、です。耳を澄まさなくても私が呼ばれていることは分かったのです。ハルトと私が必要なのだと、ちゃんと信じられたのです」
乾いた舌が動くとともに、その目が開く。
差し込んでくる光は、太陽ではない。
雷の紫光。
「フィーラ」
「――ララ!」
抱きとめられたその瞬間、己の身体からなにか、とてつもなく大きなものが抜け出して、抜け落ちて、こぼれだしていったのが分かった。それは黒蛇であり、竜であったときの意識であり、そして、そのなかに残されていた彼のぬくもりだった。
ララは、心のなかでたった一言を呟いたという
「それはさよならじゃないのです、それは、」
抱きとめられた腕のなか、彼女が彼を導いた。
レイエルでもエラミスタでもない。彼を。
ハルトを。
その瞬間、ララにはなすべきことが分かった。
「フィーラ!! 離れるのです!!」
雷髪の女が、驚いて身を逸らす。
同時に伸びたララの手指から放たれるは、無類の閃光。
灼熱の螺旋華。最上にして最速の一指。
「生炎『紅一重』」
水が沸騰したような音がした。
はるか空のうえでなにかが潰えた。
黒蛇を撃ち抜いたと、分かった。
代わりに落下するのは。首。
ララ=リオライエンは彼女とは初対面であった。
だが、それが誰であったかを知らないわけではない。
誰を内包するかを知らないわけではない。
「ハルト」
ララは呼んだ。
もう一度だけを願って、呼んだ。
そして、ハルティア=ラングは叫んだ。
何かを叫んでくれた。
そういうことなのだろう。
その声は、この世界の誰にも届かないほどに微かだったが、それでも、一番それを伝えなければならなかった、そのたった一人にはまちがいなく届いた。一筋の糸を通じて、遠く離れた世界をむすぶ糸が震えて、単なる震動が、音に。声になる。
そして赤毛の女は、その声に、ゆっくりと頷いたのだった。
「喜んで!」
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(綴)
転生勇者物語 〜女神さまは人材確保に必死なようです〜 枕木ノラ @goburin2250
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