君と夏風

@solar_ni

第1話 瞳

"この世界の綺麗なものその全てが君だ。

例えば夜に写し出された星

雨に濡れた花

透き通った瞳から溢れる全て

深い暗闇でもがく私が迷路の終わりで

見つけた光はこの世界で1番綺麗な君でした"







あぁ貴方が私にくれた言葉は消えることなく、ずっと私の胸の中で生きてるよ。

これからもこの先も貴方は私の光だから。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



涙二side

キーンコーンカーンコーン。



「 気をつけ、礼 。ありがとうございました」


その言葉と共に私は重い瞼をあけた。

まだ覚醒していない頭で、あぁ授業が終わったのだと理解する。立ち上がる気力もなくそのまま机に突っ伏し、ふぅ。とため息をひとつ。授業中はなんとかバレないように寝るため変な寝方をしてしまう。その為首が疲れる。左手の肘を机につき、自分の顔を支えながら右手でシャーペンをもつ。これが私流のバレない寝かただ。本当にバレていないかは分からないが注意されていないからまぁよしとしよう。


そんな事を考えていると、幼なじみ兼同じクラスの実莉(みのり)が私の頭を叩いた。

ベシッ"

「いつまでぼーっとしてるの。掃除行くよ!」その言葉と共に少々強引に私の手を引っ張る実莉。私は気だるげに返事をして掃除場に向かった。

掃除場は二階にある特別教室。普段使われないし、先生もあまりこないため私達はいつもお喋りをしている。


「涙二、あんた授業中寝すぎ。昨日何してたわけ?てか何時に寝た?」


そう実莉に言われて、あぁ確かに今日は授業のほとんど寝て過ごしたな。なんて呑気なことを思った。


『ん〜、昨日は少しギター弾いて携帯見てたら3時だった。』


「もう、やっぱり夜更かしか。朝も迎えに行っても起きないし!明日から1人で学校行きなさいよ。」


そのセリフを私は何十回、いやもっと沢山聞いてきた。しかしそんなことをいいつつ、毎朝迎えに来てくれる実莉はやっぱり優しい。私と実莉は小、中、高、と同じ学校で部活も同じそして家も近い。本当に昔からの仲というわけだ。小さい頃はよく喧嘩もしていた。お互い負けず嫌いなため、言い合いが多く毎日喧嘩しては遊んでを繰り返していた。私達は"兄弟"みたいな感じだ。女同士だから"姉妹"の方がいいのかもしれないが私達は兄弟がぴったりくる。

ちなみに、ポジション的には私が兄。そして実莉が弟。

実莉は背丈も低くく私と比べると約10cmも低い。私が161cm。実莉は149cm。

これは見た目的にも私が兄だ!そして何より実莉はバカだ。私が言うのもなんだが、実莉は勉強があまり出来ない。同じ高校に入れたことも奇跡である…


そんな事を考えていると、実莉が目をきらきらさせながら


「スタバの新作飲みにいかない!?」


なんてことを聞いてきた。

私の返事はもちろん、yes!!!

と言いたいところだが、


『ごめん!!!今日はちょっと、』


「え!珍しい、今日バイトだっけ?」


『ううん、じゃなくてちょっと行きたいとこあるからさ!スタバはまた行こ!新作飲みたいし。』



「わかったぁぁ、絶対ね!」


最後に約束と指切りしたあと、私達は足早に教室に戻った。

ショートホームをすませ、教室で楽しそうにお喋りをしていた、実莉とクラスメイトにバイバイと手を振って私は家へと急いだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




(ふぅ、少し暑いな)

そんなことを思いながら私は今自転車をこいでいる。あの後、急いで家に帰って荷物を下ろしてギターを担いですぐに家をでた。


今は家から自転車で15分くらいの川沿いにむかってる。私の1番お気に入りの場所で、春になると桜が川に沿って綺麗に1列に咲いている。

短い橋を渡ると田舎の風物詩。田んぼが辺り一面に見える。一本道を進むとその先は山。山。山。本当に田舎だ。でもそれがいい。建物がない空間は空と田んぼと山がはっきり見えて全体が凄く広く見える。晴れている日は、太陽の光が田んぼの水面に反射してキラキラしている。少し眩しくてでも本当に綺麗なんだ。そして気に入ってる理由がもう1つ。あそこは人があまり来ない。だからギターを練習するには本当に最適な場所だ。


(郵便局が見えた。あと、もう少し)

私はチャリのスピードをはやめた。




カシャン"

目的の場所についた私はいつも通り自転車を端の方にとめた。

リュックの中からペットボトルを取り出し、かわいた喉を潤す。


『はぁ、今日は本当に暑いな…』

額の汗を拭い歩いていつもの場所に向かおうとすると、誰かの影が見えた。

女の子、、?


少し近づいて見ると、肩につくぐらいの髪の長さの女の子が1人で座っていた。

緩やかな風に吹かれ光に照らされた少女の髪の毛がふわりと風になびいた。

白色の肌と綺麗な黒髪がいかにも女の子らしくて後ろ姿からも可愛らしさが溢れていた。


私は興味本意で彼女の傍に近寄った。




『あ、あのっ!』


少し緊張して声が上擦った。

私がかけた言葉に少し遅れて彼女が振り向いた……



瞬間息を呑んだ。



彼女の瞳が真っ直ぐ私を見つめている…



何か言葉を発しなきゃいけないはずなのに、

彼女の綺麗で透き通った瞳があまりにも真っ直ぐに私を見つめるから、私は何もいえなかった。簡単に言うと、彼女の雰囲気に呑まれたのだ。顔立ちもそうだが、彼女が放つ空気感が他の人とは全くちがって、凄く綺麗で魅了されてしまった。



視界が真っ白にそまった。

ふわっと体が軽くなる。ゆっくりと体が下に落ちる感覚を感じながらも、逆らうことができない。そのまま意識を失った。


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