意味深な言葉がちりばめられた、展開予測不能の物語

【物語は】
 プロローグではなく開幕という形で始まっており、その名称の通りそのまま物語は進んでいく。
 主人公はピンチに陥っており、現在の状況とこうなった経緯(いきさつ)を冷静に分析し、危機から脱出しようと試みる。

【作風や物語について】
 一話の終わりに噂話という形で意味深な会話の一部が明かされている。
 特に記載はないが、一文一文が短いのでライトノベル、もしくはリズムを大切にしているのだろうか? と感じた。
 
 物語の中で殺されそうになっているのは主人公の方だが、タイトルを見ると反対の意味となっている。
 物語が始まったばかりの時点では、逃げることを目的としているため”タイトルの持つ意味”について二つのことが想定できる。
 一つは主人公の心情が変わる。もう一つは意図せずしてそういう結果になる。
 ただし、この”ミズチ”に関して肉体的に殺すのか精神的に殺すのかでも意味合いは違ってくるため、いろんな捉え方はできる。正解はどれなのだろうか。
 もしくはもっと違うこと意味しているのかもしれない。
 それと各小タイトルが非常に意味深に感じた。 

 のちに理由は明かされるが、主人公がピンチに陥った発端は彼女の異様な光景を目にしたからだと思われる。好奇心は時として自分を窮地に追いやるもの。
 つまり、主人公が命を狙われたのは偶然でもなければ巻き込まれたのでもなく、自身の好奇心が招いた結果である。

【主人公について】
 主人公は”生”に執着した人間だという印象を受けた。
 最初の脱出時に冷静に分析し、自分の思い通りに事を運び実行した。
 この場面では二つのルートがあったと思う。一つは本作通りのルート。そしてもう一つは彼女の気持ちを変えさせるルート。
 計画を実行した時点では、後者のルートでも良かったはずだ。しかしながら確実に生き延びるには多少危険を冒してでも、前者のルートを取るべきだと判断したのではないかと思う。
 つまり冷静に判断したものの危険を冒してでもそれに賭けたということは”生”に対する執着がそれなりにあるからではないかと思うのである。
 その後も彼は選択を迫られていくことになる。

【物語の見どころ】
 主人公はある理由からクラスメイトの女の子を尾行する。
 そして見てはいけないものを目撃し、口封じのため(?)に殺されそうになった。しかしなんとかその場は機転を利かせ乗り切ることに成功。
 もちろん、それで終わるはずがなかった。

 主人公の命を狙っているのが彼の素性を知らない見ず知らずの人物でならまだしも、クラスメイトなのだからいつかは見つかってしまうことくらいは読者にとっても想定内だと思う。
 だが分かっていても、実際その時がやってくるとハラハラドキドキする。

 そしてあらすじを見る限りでは、これは序章にすぎずこの先に本当の苦難が訪れるのだと想像できるのだ。ここに至るまで意味深な言葉があったりし、この先がどうなるのか全く展開予測不能な物語だと思う。
 この後、主人公は彼女からいろいろと疑問に思っていたことなどを聞くことになる。条件はあるものの、当初のように彼女から命を狙われる危険はなくなったと考えてもいいのではないだろうか。そしてここからが本当の幕開けとなるのだろう。
 あなたもお手に取られてみませんか?
 この物語の結末をその目でぜひ確かめてみてくださいね。おススメです。

*備考 二章二話まで拝読

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