番外編 モッコクハマキ
蜂の巣一連の話の中でこの名前を結構出したので、ちょこっと彼らのことも書いてみたいと思います。
「葉巻」なんて漢字が当てられていまして、葉っぱをつづったり巻いたりして巣を作る習性があります。種類もかなりいます。
葉がつづられているところ=お家ですから、見つけるのは超簡単。だいたい中に潜んでいます。全身茶色というか、エンジっぽい色。細長いイモ虫です。
巣から出すと結構なスピードで逃げます。動きも俊敏、前に後ろにちょろちょろと行けちゃうので、ピンセットで捕まえるのも最初は苦労しました。
攻撃と言えば唯一、捕まえようとすると「おげっ」と茶色い液を吐き出されます。びっくりするのもありますし、もしかしたら苦いとか敵が嫌がる何かがあるかもしれませんね。
彼らは葉を数枚糸を吐いてつづります。虫かごに入れていると、虫かごの底と葉をつなぎ合わせて巣を作っている個体もありました。糸は細くても何重にもかけられているのではがすと「べりべり」と音がするくらいしっかりしています。あと蛹を見つけた際しっかり繭状にされた糸を破ろうとしたところ簡単にはいきませんでした。
こんな引きこもった生活をしているのだから、なかなか敵もいないんじゃないかなと思っていたのですが……。
ある日、蜂のご飯にすべく葉っぱをむしっては中身を確かめる日々。運が悪いと羽化した後のもぬけの殻だったりします。そしてある一つをめくった時「あれこいつ動かないぞ」というのに出くわしました。
よーーーく見ると??
「ひゃっ!」
思わず声が出てしまう情景が。ものすごーーーく小さい寄生蝿と思しき幼虫が見えた限りで6~7匹、モッコクハマキの体についていました。長さが2ミリくらいあるかどうかって感じの細長いフォルム。気にしなければ多分みおとします。
普段だったら投げ捨てておりますが、その時は「こんなに小さければ蜂の餌にぴったりだ!!」と嬉々として持ち帰りました。(ちょっと頭大丈夫でしょうか)
鉄壁の守りの巣かと思ったらそうでもないんですね。いくら巣があると言え一生入ったままではないでしょうし、蛆がそうとう小さいことから寄生する方もかなり小さいので潜り込まれた可能性だってあります。
一方無傷の幼虫を葉の中から見つけた時は、どうしても殺さないと餌にできないため「ごめんよー」とそれなりの手を下していました。
体の中から長くて透明な紐のようなものが出てくるんですけど、小学校か中学校時代、蚕の解剖やった時「糸を作る器官」の説明がありました。彼らのそれも糸作成器官だったのかも。不思議ですねぇ。体の中でどんな化学反応があって、あんな丈夫な糸になるんだろう。
あと、ホントどの幼虫でも思いますが、体の大半食べたものが詰まってるだけであのサイズになってる気がします。蜂の子に食べさすところが少ない少ない。
昔読んだ児童書「クマの子ウーフ」の「ウーフはおしっこでできているか」って話を思い出しました。幼虫はきっと葉っぱとウンコで出来ている。
蛹に当たるとラッキー。幼虫ほど動かないし(活きのいい魚みたいなビビビという動きはしますが)さなぎになる前に大体不要なものを排泄してしまうので、ほぼ食べられるところばかりが残っていることに。こちらの精神的ダメージ具合と作業効率はかなりよかったです。
※ただし羽化直前ではないのが条件
成虫は地味で小柄なやつで、正直本物をみていない(見ても気づいてない)ので何とも言えません。ただこんなちいさな蛾や蠅一つみても、誰かの餌になり誰かの敵となっているわけで、食物連鎖とはうまく言ったものだなぁとしみじみ思うのでした。
やっぱ生きものって面白い。
いったんまたここで一区切りつけて更新を終わりますが、また何か面白いものを見つけたら戻ってくるかもしれません。
それでは~~。
虫かごに入る程度の話 時岡ハナオ @tatarinovii
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