第7話 肩を並べて
「で、結局何がいいたいの?」
「わからない?」
彼女は、俺の手を握る。
「待ってますと言ったのは、新大阪駅で待っているということ。
人生の、新大阪駅でね」
「で、俺が来るのを、待ちくたびれたと」
「うん」
はっきり言う子だ。
「もう少しだよ。君は今、名古屋までついた。
がんばって。必ずそのまま、新大阪まで来て」
「わかったよ。かならず行く。もう少し待っていてくれ」
「約束だからね」
でも、名古屋から京都までの時間が、長く感じるのは、気のせいではあるまい。
「言っとくけど、そのままこだま出来てね。
乗り換えないこと」
先手を打たれた。
アーバンライナーに乗り換えようと思っていたのに・・・
「アーバンライナーにじゃないよ、ひかりや、のぞみに乗り換えないってころ」
「えっ?」
「そのまま、こだまで来てってこと」
「もう少し、かかるよ」
「うん、待ってる」
彼女の代表作の指定席に、俺のキャラが入るのは、まだ先だな・・・
俺は今、東海道新幹線のこだまに乗っている。
名古屋を出た。
新大阪までは、まだかかる。
米原に着いた頃、彼女はママになったようだ。
男の子らしい。
京都に着いたころ、彼女は紅白に出た。
歌手としても、大成したようだ。
俺は、着々と新大阪に向かっている。
そして、もうすぐ新大阪に着く。
俺は、胸の鼓動を抑えられなかった。
どうだ?
彼女はいるか?
出迎えてくれるか?
頭をよぎる。
そして、こだま号は、新大阪駅に到着した。
扉が開く。
そこには、彼女がいた。
小学生の男の子を連れていた。
ご子息だろう。
「お待たせ」
俺の問いに、彼女は笑顔で答えてくれた。
「先生が生み出した、このキャラに、
私は、命をかけて、がんばります。」
彼女の代表作の指定席に、俺のキャラが座った。
待ってるからね 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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