恋愛小説という世界にまた一つ名作が生まれてしまった。
僕はいわゆるラブコメと言われるジャンルの、その中でもあまり頭を使わずに読めてハッピーエンドの作品が好きです。ですが、こういう名作に出会ってしまうと所詮好きなタイプと実際に好きになってしまう人は違ったりするように、あまり意味のないジャンル分けとなってしまいます。
ラブコメの「コメ」の要素は殆どなくサラッとながら読み出来るタイプの作品ではないのですが、最初から最後までこの世界に浸ってしまいました。小説に限らず、マンガやアニメ、ドラマに映画、劇など創作のストーリーが好きな方なら絶対に経験のあることだとは思いますが、久しぶりにこの世界から抜け出してしまう瞬間の寂しさと素晴らしい作品の終わりに出会えた充実感で心が満たされました。
テーマもキャラクターも突拍子のないものではない(強いて言うならば百合作品であるということかもしれませんが)中で一つ一つの場面を丁寧に描写し、それでいて間延びというか中だるみのようなものは一切なく、この衝動だけで書き始めたレビューも自分の語彙力のなさに打ちのめされるだけです。
この作品と出会うことが出来て本当によかったです。
「――月に帰っちゃうの?」
このセリフを読んだときに、脳内に一気にビジュアルが浮かび上がって、
この場面でこのセリフ・・・、すげえなぁおい(何がってこのセリフを言った穂高さんが!そしてそれを言わせた東海林さんはもっとすげぇ)と鳥肌が立ちました。この後いったん読み終えてから1話に戻って読み返したのは言うまでもありません。
普通に本(フィクション)を読む人って活字を目で追いながら、頭では自分だけの脳内劇場が繰り広げられていて、主人公やら登場人物が動いている、はず(少なくとも私の周りの読書家たちはそうです)。
こうなったら読むのがやめられないとまらないかっぱえびせん状態です(年齢がばれる表現・・・)。
この話に限らず、東海林さんの言葉のセンスとか、文章のテンポ・リズムとか、コメディー要素の差し具合諸々がすごく心地よくて一気に好きになりました!全体のストーリーとその構成は言わずもがなですがな!です。
このジャンルに特化して読んでいるわけではなく、むしろ読んだことのないジャンルなので、普通のラブコメ枠、いえ上質のラブコメ枠として楽しんでいます。
筆が遅いと書いていらっしゃいましたが、きっといろいろ考えながら丁寧に書いていらっしゃるのでしょう。大丈夫です!ファンは待ちますよ。また1話から何度でも読みかえして新作をお待ちしています(無駄にPV数が上がって申し訳ないですが)。