第2話 第二章
僕は、ベッドに横になりしばらくの間、時間の流れに身を任せていた。なるべく何も考えないように、そしてなるべく自分自身が放つ問いに耳を傾けぬよう、静かに時間の流れに体を委ねていた。目を覚ましてからあまりにも分からないことが多すぎる。色々と考え込んでしまうと、僕は漫画の登場人物のように頭から白い煙が狼煙のようにプスプスと立ち込めて頭がパンクしてしまいそうだった。目を覚ますとここにいて、長い布を纏ったじいさんが現れて、外には危険があると言う。しかし、自分からここから出ない限り、門番が居るから大丈夫だと言った。そして、この部屋を出ていってしまった。僕は、また一人この部屋に残されてしまった。僕に説明出来る大まかなことはこれしかないと言っても良かった。これだけの情報しかないのに、これからすべきことを考えられるのか。しかし、いつまでもこのままという訳にもいかなかった。何事も一歩を踏み出し動き出さないことには何も始まらない。僕は、自分から逃げるのは止めた。こういう時こそ、考え、動くべきではないかと思った。人間を動物から区別するものは思考なのだ。僕は、ベッドから上半身を勢い良く起こした。無意識に「よしっ」と声を出していた。僕は、その声が自分から発せられた音だと後から気が付いた。声はこの部屋の静けさにすぐに溶けて消えていった。
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