神明裁判:法の支配と神の裁決
人々の生活を律するものに、「法」があります。グランベル帝国には帝国法が、ガレリス同盟やローザリア聖教には領主が定めた慣習法があります。すべての罪は法によって裁かれ、罰を与えられます。
裁判は裁判所のほか、裁神フォドラの神殿で行われます。神前で行われる裁判のことを、神明裁判といいます。法で裁くことができない罪は、フォドラに伺いを立て、その神意を問うのです。
フォドラの裁決は絶対です。戦神ダナンですら逆らうことは叶わず、人はそれに従うほかありません。しかしかの神の裁決は公明正大です。そこに人の情が挟まる余地はありません。
フォドラによって裁かれた者は、慈愛神イベリスの恩赦を受けることができます。しかしイベリスはただ優しいだけの神ではありません。イベリスの与える試練を乗り越え、罪を償った者のみが、赦しを与えられます。
神明裁判は、進歩的な統一法を採用している帝国で最も多く見られます。なぜ、と思うかもしれませんが、これは帝国臣民の気質に深く関わっています。信心深いということもありますが、人の手によって作られた法の限界を知ったとき、人々は私刑ではなく神の裁きに全てを委ねたのです。
ちなみに〈帝国五剣〉には、皇帝を弑逆する権利が与えられています。絶対の権限を持つ皇帝が、もし悪逆の限りを尽くし、民を苦しめるような君主であった場合、五人の騎士は民の救済のために連名でフォドラに裁決を願い出ます。フォドラの下した裁決が「死刑」であった場合、五剣はその剣を皇帝に向けることになるのです。
エルカエレミア -Rydias erl Altasia- こけもしん @a9744c
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