薄明のメフォラシュ

作者 m9t

8

3人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

この小説を読み終えた時にまず思った事は、星三つでは足りない。
前作のビタークラウンを読んだ時点で、文章が丁寧で読みやすいお話だなと星三つの評価を出しているのに、この作品はそれを遥かに上回るお話だった。
そして、この感動をどう言えば伝わるのだろうか。
これほどに文章を読んで、感想に悩んだ事は今までに一度もない。
頭のなかで何度も文章を練り直し、この作品の素晴らしさを書こうとする度に頭を過るのが「これほど完成された作品に自分が説明を入れる事こそ蛇足なのではないか?」という葛藤だった。

ここまで書いて、何もこのお話の内容を説明していない事にこの作品を読んでいない人なら疑問を抱くかもしれない。
でも、それを理解するにはこの作品を読むだけで通じると信じている。
何故なら、このお話は作者さんの世界を知ってもらうために、礼の限りを尽くして作られたものだから。

しかし、このカクヨムという媒体では数多にある作品の中から、このお話にたどり着くのはなかなか難しい事なのかもしれない。
実をいうと、自分もこの作品が発表されてから、ほぼ一年近くの間読んでいなかった。作者さんの事を一年前には知っていながら、ビタークラウンを読み始めたのも数ヵ月前。
どんなに作者さんが世界の設定を練り、物語と人物を絡ませ、読者の読みやすい文章を意識して書いたとしても、読まれる機会が無いために評価を受けることすらない。
それがどれ程までに孤独で、切なくて苦しいことか。
このお話を読んだ感動と同時に、今まで読んでいなかった自分に対して嫌悪感すら感じる。申し訳なさ過ぎて泣きたいぐらいだ。
……というか、ちょっと泣いた。

これだけ前置きして何の具体的な感想も無いと「ただ盛ってるだけなんじゃね?」
って思われるのも悲しいので、稚拙な文章しか書けない自分なりに、物語の事について触れてみたいと思う。

続きを読む

★★ Very Good!!

 本編を読む以前にワールドガイドの方を拝見し、世界観に惹かれて読み始めました。
 舞台となる世界そのものから、その世界にある国、そしてその国の中の一つの学校……と、マクロな部分からミクロな点まで書かれていますが、中でも驚いたのは国の設定です。
 歴史に始まり地理や他国との関係、政治経済に加えて交通事情まで書かれています。これらの情報が、本来存在しない”魔術師たちの国”に、現実感を与えてくれました。
 物語は戦争が終わった時点から始まっていますが、上述の詳細な設定の数々は、「戦争中の出来事を描いた戦記物として読んでみたい!」と若干の惜しいという気持ちすら感じさせてくれます。というか私が読みたいです。

 本編は登場人物たち――中でも主人公である、兵士・フレイセルに焦点を当てた人間模様と、その葛藤が丁寧に描かれます。
 世界観に根差したメインテーマ……世界の存亡や国々の戦乱でなく、あくまでキャラクターの葛藤そのものをメインテーマに据えたいという作者の気持ちは、キャッチコピーのフレイセルの台詞からも伝わって来ました。

 とはいえ現在公開されている3話まで、人々の暮らしやキャラクター、人間関係の説明を行う土台の部分――つまるところ「起」に当たるもののようです。
 特に3話の引きが「ここから物語を動かすぞ!」という作者の気持ちが感じられるものでしたので、続く4話の展開を楽しみにしています。
 
魔術兵装なる素敵な言葉も出てきているので戦闘部分……期待してもいいのでしょうか!楽しみにしてます!!!!