この物語を見つけて3日でここまで読んで、久しぶりの良き話かな。
数多きネットに展開される物語を読んだが、読み続けられる物語は少ない。
共感を寄せられる主人公、魅力のあるヒロイン(ここまでは少し物足りないが、多分これからだなの伏線有)、個性的な取り巻き達、たまに出てくる重い過去を持つ者等、今後の展開に期待。
と、ここまで書いたが、追加する。
気に入っているのは79話みたいな話だ。
食い意地が張っている奴が、おでんと言う奴を出す屋台を探して仲間と街をさまよう話だ。
そいつは言う、この前にちょっとの間だけ出ていた「アメリカンドック」も食べ損ねた、甘いソーセージって何だよ??、どんな味なんだよ???、食ってみたいよな。
彼は仲間と寒い粉雪の降る街を、今日もおでんを出す屋台探す。
そんな話だ。
ハハハハハ、そうだよね、甘いソーセージな、食ってみなけりゃ解らないよね、食べたいよねと私は彼に共感を覚える。
ああ、明日はおでんを食べよう、悪いな俺はおでんが何時でも食える世界に生きているんだ(W)。
『ALWAYS 三丁目の夕日』という映画をご存じですか?
漫画を原作とした同作は「高齢世代が懐かしみつつ思い出せる子供だった頃の明るくも猥雑だった時代の物語」が描かれています。
ただ、当時はもっと不潔だったとか、今とはくらべものにならないくらい暴力や非道が横行していたとか、「現実と違う」という批判も集めました。
しかし、ノスタルジックな雰囲気や電子機器を介さない人間関係、情報格差・教育格差から生じる人々の滑稽な振る舞いなど、現代を舞台にしては描くことができない「どこか別の場所の物語」を感じさせてくれる作品として、最終的に多くの支持を得たことは、少し調べればわかると思います。
『異世界で 上前はねて 生きていく (詠み人知らず)』は、どこかコレと似た空気をただよわせている作品です。
ファンタジー世界です。魔法があります。魔物がいます。貴族がいます。奴隷もいます。冒険者もいますし迷宮もあります。
そんな世界に「豪商の三男だが特権階級ではない」「貴族ではないが魔法が使える」「魔法の天才だが男性魔法使いの評価基準である攻撃魔法の才だけは皆無」という境界的存在として生まれた主人公は、前世で社畜だった記憶を持つがゆえに、題名通り「上前をはねて生きていく」ため、治療した傷病奴隷を労働力として事業(?)を展開しつつ、自らも非攻撃魔法の分野で成果を出していきます。
背景をみれば貧困や戦争など、社会の闇が垣間見えます。しかし、装飾を取り除いた簡素な一人称で描かれることにより、今を生きる、たくましい人々の前向きな姿が強く浮き出ているのが本作の大きな特徴です。
ありふれた転生モノと違い、主人公は前世への思いを完全に切り捨てられていません。奴隷たちも過去を忘れていません。それでも彼らは生きていく。さらりと描かれた『同じ顔』のソルメトラのその後こそが、本作を象徴していると思うは、私だけでしょうか?
上前をはねる、というタイトルが上位にあるなぁ…と思いつつ見過ごしていましたが、
読んでみると、一日中読んでいました。
主人公の主義主張が激しくなく、
ストレス無く読めて、でも巷に溢れるハーレム系でも俺TUEEEE系でもなく(ある意味最強ですが)
他の登場人物にも個性があり、エピソードがある。どこか仄暗いのも世界観的に良いと思います。世界観の全貌がまだまだ見えてこないですが、それも面白いです。
サワディ君の奥さんも、女々しくなくてカッコよく良い性格していて、それでも読者に嫌われる感じでもなく、そのバランス感覚が新鮮です。
書籍化しても当然と思える小説です。
これからも更新楽しみにしています。
チートも結構なんですが、すごく煩悩溢れる子で可愛いです。楽するために努力するスタイルが良いですね。きちんと勉強をして自分を磨いて、でも目立たないように派手にはせずコツコツやった結果が人材派遣組織という。
これだけの一大組織を作り上げておきながら家族との関係性がミジンコも変わらない所が良い。お互いフワっとしてるからでしょうね(若干お父さんの胃が大変そうですが)
のちにかっこよさ極まるスタイリッシュお姉さまが嫁に来ますが、ここの関係性も実に良い。
180越えの結構な年上で愛煙家という、異世界系でまず見ないヒロイン設定。
ガサツでもない俺系でもない英雄クラスの軍人ヒロインかっこよすぎて惚れる!
最初はグイグイ来ますけど、良い仲になってからはこれまたお互いマイペースで最高に好きです。
ポロっと泣いちゃうサワディ君も、やっと秘密を打ち明けられる大事な人が出来たんだなと思うと、読んでるこっちも泣けてきます…
一刻も早く文庫化して欲しい。紙で一気に読みたい