3章 この世界は馬鹿ばかり 〜その9〜
『何で那美子さんがここに?』
「行ったじゃないですか!戻しに行くって....」
え....まさか、オリジナル魔法?
「私のオリジナル魔法は無効化です。でも、1人に対してしか使えないんです。今まで、隠して生きてきましたが....」
え....強過ぎない?そのオリジナル魔法....
隠して生きてくなんて、凄い事をしてたんだな。那美子さん....
「よく見たら色々変わっていました。冒険者ギルドがなくなっていたり、ここの街はあまりいないのですが、魔物が街にいたりで....怖かったですよ....」
....確かに魔物がいたり、奴隷などがいないな。
これが、皆の望んだ世界....
「私の魔法を使えば、また皆と....」
....それでいいのか?
こんな魔法に頼って友達を作るのか?
ダメだ。皆は違う道を進んだ。
これで良いんだ....
『その魔法は使っちゃダメです。皆は——』
この紙を見せたら、ビンタされた。
母さんの時と同じように。
「影人さん!皆の事、覚えてますよね?忘れちゃいけないんです!思い出させてあげるんですよ!」
....でも、それが良いのか?
「私が何とかします。皆がいた場所などを....」
....那美子さん、前はこんな声出さなかった。
俺がどうかしてた。
協力できるわけじゃない。
でも、動かなきゃいけないんだ。
『俺がどうかしてました。すみませんでした』
「そんな....謝らなくても......」
『協力できる事なら何でもします』
「....わかりました。全員、見つけ出しましょう」
こうして、俺達の記憶を戻す旅が始まった。
「——お父さん!1人だけ記憶を残したままにしたでしょ!」
「いや....まぁ、おまけみたいな感じで....」
「お父さんの馬鹿!」
「だって、可愛そうじゃん....」
「本当に....って、遅刻しちゃう!早く——」
「——必ず見つけ出す、あの人を——」
3章 完。
影人くんの友達作り。 伊豆村 納 @natto1008
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