第11話 神様と判明する加護


「ようこそおいでくださいました、異界の方々。今回は異世界から私の呼びかけに応じてくださってありがとうございます」


 こちらを見て微笑みながらそう言った人。

 見た目が美形な以外は普通の人……なんだろうけど、……なんといえばいいのかな………中と外が違うというか、ちぐはぐな感じがする。


 …あの人…いや! アイツを見ていると…すごい……気持ちが悪い、此所に居ることに違和感しか感じない。

 …コイツの………この存在はあってはいけない。


 頬を伝って汗が流れ落ちる…、尋常じゃないほどに体が強ばっている、体が動かしづらい……コイツを見たくないのに…、見てはいけないと頭ではわかっているのに、何故か視線が外せない。

 俺の中の何かがこれ以上はいけないと警鐘けいしょうを鳴らし続けている……!


 何を?ナニを?なにお?何が?ナニが?なにが?何で?ナンで?なんで?何と?ナニと?何だ!?ナンだ!?なんだ!?!?


「…ん、…き君っ!」


 何、かがっ入ってくる……、それを感じて意識が混ざる………??俺、私、僕は、ちちがが違う違う違う違う違う違う!! あれ?

 先ほどまで不快だと感じていたモノが不快ではなくなっていってる?? 不快感は逆に多幸感に埋め尽くされて満たされていく……、目が離せない……、幸せを感じる……、個が感じていいモノではない、危険な存在、リなまWlj26tir-…っい!!?


「……崇志君!!」

「痛いっ!?」


 えぇ…痛ぁ、え? 殴られたの?…何で?


「…戻った?大丈夫?」

「はぃ?…え?なんで俺殴られてんの?」


 って何でそんな怯えたような顔してんの聡莉さん……。

 …てか何が起こったんだ?…確かこの部屋に入って…それから女の人が………!!


「あ、ごめんなさいね、干渉できないようにしておかなきゃいけなかったのに忘れてたわ…うふふ…」


 声のした方から急いで離れる、思い出した! さっきのは何だ!? コイツは一体何なんだ!?


「聡莉さん、コイツから離れて!」

「え?…というか大丈夫なの?崇志く」

「早くっ!!」


 すぐに動いてくれそうもないので聡莉さんの盾になるようにコイツの前に移動する。

 聡莉さんは俺の行動に驚いているが、申し訳ないが気遣っているだけの余裕がない。

 聡莉さんを後ろに押すように少しずつ下がっていく…、コイツから距離をとらないと…!


 先ほど俺は何をされた? 今対峙しているコイツに何をされた!? 何だよ、あの自己がバラバラにされるような感覚は!?

 怖い怖い怖い怖い…、震えてるのがわかる…、逃げ出したい、もうあの感覚は二度と味わいたくない。

 けれど俺だけ逃げるのは駄目だ…、あんなの人に味あわせてはいけない!…味わってはいけない!


 見た感じ聡莉さんは何かをされてる感じはないな、聡莉さんがコイツに何かされる前に逃げなければいけない、最悪聡莉さんだけでも逃がさないと…!

 って!! そういえばパーチェは!?


 コイツから視界に捉えたまま部屋を見渡す、コイツの周りにいた四人の内二人は変わってないコイツの傍にいる、残り二人は部屋の奥に…っパーチェは二人の後ろ側にいる、クソッ! 無理だ、助けられない!


『tgeaaef、ゆbrllmpa,v0l,ssめ!!』


 ……ん?パーチェが俺を見て何かを叫んでいる? けど何を言っているのかがわからない…どういうことだ?


「ちょっと!本当にどうしたのよ崇志君…、さっきから何やってるの?」

「……聡莉さん、俺が」

「はいストーップ!! 待った待った! 警戒しないで! ほらっ!もう何にも感じないでしょ? 怖くな~い!」


 いつの間にか目の前に来ていた女が俺が喋るのを遮ってきた、視界には捉えてたはずなのに! …ん?…両手をパーにして俺の前に突き出している………まるで待ってくれと言っているようだ…。


 …?………わからな…い? アレ? …頭にもやがかかっているみたいだ…、思考がまとまらない…?


『fefngn,dsたsgsbふgrsggnuu』


 目の前に来ていた女は傍に立っていた二人に何かを話しかけている…のか? 見た感じは喋っているようにも見えたが……何を喋っているのか聞き取れない………二人はコイツから…下がっていったのか?


「加護を一時的にだけど無効化してるから何にも感じないでしょ? 確かに私も来るのがわかっているのに対処しなかったのは悪かったけどさ~、こんな事するなんて思わないじゃん? 悪気はなかったんだって~、忘れてただけで! アハハッ!」


 加護を……無効化?…感じない?…………なんだ、わからない……!?


「何をいってるの貴方? それに日本語? 貴方が崇志君に何かしたの!?」


 聡莉さんが俺の前にでてきてる……、止めようと思ったけど体が上手く動かなかった……。


「どうなの? 貴方が崇志君に何かしたの!?」

「いや落ち着いてよ、私は何もしてないよ? ホントだよ? ただ私は存在していただけ、崇志クンはそれを受け取っちゃったんだね~、アッハハハ!」


 コイツは何もしてない?……俺、が受け取った?


「あっ! その加護を目覚めさせたのは私だったのに配慮が足りてなかったかな? 私が悪い? ん~…? この場合は私が何かした事になるのかな?」


 コイツの前に立つのは危ないと、聡莉さんを元の位置に戻そうとするが………体から力が抜けていく、手足の末端が震えている……。


「何? …どういうこと? ……わからないんだけど」

「けどけど~、崇志クンも加護の事! 理解してるんだからここまでになる前にわかるじゃんかね~、普通に考えればこんなになるまで受けようとしたこの子が悪いんだよ? うん? そうだね!!だから私は悪くないっ! ドンッ!」


 ………理解…? …段々と頭の靄の範囲が広がっている…………それに伴って頭痛もしてきた……。


「何この人? …というか加護を無効化って……? 受け取る? ……だから貴方は何で日本語を? ………私は貴方が巫女だと思ってたんだけど違うの?」

「ん~? うん! この体は巫女のだよ、中身が違うだけ! てか聡莉チャンにはこの人達が私の事を『巫女様~』って呼んでたの聞こえてたでしょ? …てか、あれぇ? 聞いてないの?…巫女の身に神を降ろして召喚の現象を引き起こしてるっての聞いてない? あれれ~? ログには残ってるんだけどなぁ~…」


「……パーチェ…が、…いってた……ような、気がす…ッ!…」


 …話そうとしたが…途切れ途切れになった、…息が上がる、頭が痛い……喋るのですら痛みが増幅されてキツい…。


「ちょっと!? 本当に大丈夫なの崇志君!? 頭抑えてるけど痛いの!? 汗もすごいし…、あっ! もしかしてさっき殴ったのが痛いの? ごめんなさい、グーで殴ったのが悪かったのかな…」


 聡莉さんが立てなくなって膝をついた俺を見て、横に来てくれて心配の声をかけてくれている、申し訳ないが答えるだけの余裕がない。


 頭痛が酷くなっている……頭を手で抑える…が…効果なんてない……。

 時間が経つに……つれ…段々と思考が、回らなくなってきている……。


 体が重い…。

 手足が震えている…力が入らない。

 まるで元の世界で病気してたあの時に戻ったみたいだ…。


 いや……一番酷いときだ……、あの会社で倒れた時と、同じだ…!


「あ~…そういえばこの子加護で支えてるんだっけか、……これも忘れてたなぁ…、えっと…じゃぁ私に干渉できないようにしようか…、あ~メンドクサイなぁ、時間もないんだけどな~…まったく!」


 何かブツブツ言いながら腕をぶんぶんと振り回し始めたぞコイツ…、…っん!?


 頭の痛みがひいてきた……?

 確認のために…手を開いて閉じてを数回繰り返す、…痺れもとれてきている……、力も入る。


 頭にかかってた靄もなくなってる……、元に戻った? 取り敢えず立ち上がるか…。


「ひょわっ…!? ちょ…ちょっと大丈夫なの?」

「あ、ごめん…うん、大丈夫…だと思う」


 急に何事もなかったように立ち上がったから聡莉さんを驚かせてしまった。

 ひょわっって…可愛かったな……。


 何が起こったとかいろいろと聞きたい事もあるかもだけど、聡莉さんには悪いが自分の確認からさせても貰う。


「聡莉さん、最初この部屋に来た時、俺はどうなってた?」

「え?…ええ、そこの人がこっちに向かって日本語で話始めて…、ビックリして隣にいた貴方を見たら、目を見開いて体を震わせてていて、私がどんなに話しかけても何の反応もしなかったの、だから……あっ、ごめんなさい! それで、殴っちゃったわ……」

「いや、殴ってくれて助かったよ、多分あのままだったら危なかったと思うし」

「…どういうこと? さっきからワケがわからない事ばっかりなんだけど…」

「説明したいんだけど…、そのためにもコイツに聞かなきゃいけない事があるんだ…」


 目の前にいるこの女を見てみる、そういえば巫女だっていってたな、体は・・

 ……うん、最初見た時のあの感じは消えている、というかコイツから何にも感じなくなっている、これはこれで気持ち悪いがさっきに比べたら全然マシだ。


 コイツも俺を観察するように見ていたんだが、満足したのかその顔を笑顔にして俺に話し掛けてきた。


「ん! うまくいってるみたいね! まったくぅ~、なんであんなに危険な状態になるまで受け取っちゃうかなぁ? はぁ~…駄目だよ~? 死にかけてたんだよ? 精神的にだ・け・ど! アッハハハ! バカだぁ~! アハハハ!」


 俺に指を指して笑い始めた女……、バカってお前のせいだろうが! 気配こそ何も感じないが態度と行動が腹立つ。

 さっき巫女の体に神が~、みたいな事いってたからコイツが何者なのかの予想はついてるが、畏まりも尊敬もしねぇ、ため口で十分だコイツには。


「あ? 何言ってんだ? よくわかんねぇ事いってんじゃねぇぞアホが! 何なんだお前は?」

「え? アホ!? ん? 私?」

「そうだよ、体は巫女で中身は違うってさっき言ってただろうが! 何者なんだよお前は!」

「神だよ、この国で崇め奉られている神様フィーリアだよ、分霊なんだけどね」

「はぁ!?」


 あ~…やっぱりか、驚いている聡莉さんには悪いけどコレは予想通りだ。


「驚いた? いや~、最初は清楚な感じでいこうと思ってたんだよ? こう神っぽい雰囲気を大事にしてさっ! それなのに崇志クンが受け取り過ぎちゃうからさ~……、素の喋り方になっちゃったよ、そうだよっ! 台無しなんだよ! もうっ! ぷんぷんっ!」


 頬を膨らませて私怒ってますよ~みたいなアピールをしてくるフィーリア、…ウザい。

 まぁ神と確信できたとしてもムカつく事には変わりないし、今の喋り方は変えてやらない、それよりも……。


「てかさっきからオマエが言ってるその、受け取るだの何だのは何の事だ?」

「え? 何言ってんの? 私が目覚めさせたキミの加護の事だよ?」


「「はぁ!?」」


 これは予想外だった、俺の加護って翻訳じゃなかったのか?


「アハハ~、面白いね~、声が揃ったよ!」

「ええっと…すいません、フィーリア様……で、よろしかったでしょうか?」

「そうだよ~、さっきぶりだね、聡莉チャン!」



 あ、聡莉さんが喋ってくれるのか、正直助かる、俺コイツに対しては高圧的に話してしまうから、それにストレスが半端じゃない。


「…さきほどとはこの世界に来る前の事でしょうか?……その時よりも雰囲気も喋り方も変わっていませんか?」

「だからぁ!さっきもいったでしょ! 清楚な感じでいこうとしたって! それが崇志クンがやり過ぎちゃったから台無しになったんだって! 酷いよねっ! 全部台無しなんだもん!」

「やり過ぎちゃったっていうのは……それは加護に関する事が、でしょうか?」

「そうだよ~、まったく困っちゃうよねぇ、何考えてあんな事したんだろうね~、馬鹿だよバァ~カ~!」


 こっちを見ながらバカバカ連呼してくる、すげぇ腹立つ。

 この世界に来させてくれたと感謝と感動してた俺の気持ちを返して欲しい。


「ええっと…、崇志君はフィーリア様に会った記憶もないし加護の事も言葉に関するモノだと言ってましたよ?」

「ええ!? 何で? バカじゃん! プププ~、自分の加護の能力を勘違いしちゃうなんてバカじゃん、ププ~、馬鹿すぎてる崇志クンを笑っちゃう! プププのプ~」


 めっちゃバカにしてくる、本当にこんなやつが俺を転生させてくれた神なのか? 別の神なんじゃないの?

 まぁいいや、それについては俺も聞きたかった。


「俺はオマエに会った記憶もないし、加護の事も全然身に覚えがない、召喚された人達はこの世界の言葉を理解できなかったけど、俺は理解できて話ができたから言語の加護だと思ってたんだ」

「てかさ~、さっきからオマエオマエって……私は神なのにさぁ……まぁいいんだけどねっ! 会った記憶がないのは、そりゃそうでしょ、崇志クンを呼び出したら死ぬ一歩手前だったし意識もなかったんだから! ビックリしたよ~、呼び出した人間が死にかけてるんだもん!」


 あ、やっぱり死にかけてはいたのね。


「こっちの世界の人達も死んだ人間送られても困っちゃうでしょ? いやまぁ、それはそれで面白そうだったんだけど………、こんなに私を慕ってくれてる可愛い子達だからね、仕方がないから少しだけ治してあげたの!」


 コイツがケガを治してくれてたのか…、助けない可能性もあったのには驚いたが、まぁ結果的には助かったんだからお礼くらいは言っておかないとな、……てか転生じゃなくて転移のほうだったのか。


「ああ、あのケガがなくなってたのはお前が治してくれてたからなのか、ありがとう、それは助かったよ」

「ふふん、感謝してよね? まぁケガを治すのに時間を使っちゃったから説明する時間はなくなっちゃったし、加護を目覚めさせるのもギリギリになっちゃった………って、ああ!!」


 話してる途中で何かに気がついたのか、なんだかばつが悪そうな顔してこっちを見てくる。


「…ごめんね崇志クン! 加護を中途半端に目覚めさせてたみたい…間に合ってなかったね! これはわかんなくても仕方ないわ~、…て…てへペロっ!」


 テヘペロって……借りてる体は美形なのに中身がコレだから台無しだ、可愛くない。

 それにしても散々バカにしておいて結局コイツのミスかよ……、ボケてんのか? ん? ボケててもおかしくない年齢は生きてるのか? 神様なんだからそのくらいは生きてるよな?…少なくとも婆さんではあるよな…? ババアか……。

 うん、ボケてる婆さんに怒っても仕方ない、許してやろう、体も治してくれたしな、寛大だな俺。


「まぁいいよ、許してやる、……んで俺の加護って一体何だったんだ?」

「ムムム……かな~り失礼なこと考えてたような気がする…! ……まぁいいか! 加護のことはね~…、うん、目覚めてない分を目覚めさせよう! そっちのが口答で説明するより早い!」

「はぁ?」


 そんな簡単にできるもんなのか…っておお!?

 何かが入ってくる感覚…、なんだこれ…、頭の中に知らない記憶、感覚が入ってくる…。

 それはどう表現すればいいんだろうか…、手の動かし方…足の動かし方…普段何の気なしに使っているような、そういうのを動かすための感覚を掴んだ…、うまく説明はつかないがそういう感じだ…、使い方も……うん、理解できてる、無くしていた記憶が戻ったかのように頭もスッキリしている。


「なるほどな…、俺の加護ってこういうのだったのか…」

「加護がわかったの?……どんな加護なのか聞いてもいい?」

「ああ、俺の…」

「ちょっと待って、ちょっと待ってってば! …さっきもいったけど時間がないんだってば!」


 また俺が喋ってるのを遮ってきやがった…。

 時間がないとかいってたか? ……あぁ俺が加護で支えられてるとかいってた時にそれっぽい事いってたわ…、一番キツい時だったから薄らとしか覚えてないけど。


「時間がないってどういう事だ?」

「そのままの意味だよ、分霊とはいえ神を人の肉体に降ろしてるんだからそろそろ限界、それに今回はイレギュラーを伝えるために私が召喚のサポート以外の事もしちゃってるし、これ以上悠長にしてたらこの体の子が死んじゃうよ?」

「ちょっ!?大変じゃないか!」

「そうだよ~大変だよ~? ここに呼び出したのもイレギュラーが起こったから、その説明のために君たちを呼んだのに~、バカユキ君のせいで余計なことに時間とられてて説明する時間もなくなっちゃったんだからねっ! 反省してよ!? プンプンだよっ!」


 うぜぇ…、てかお前が中途半端な事したからだろうがよ…。

 あ、ケガを治すために中途半端になったんだっけ? ……いや、神なんだからコイツがしっかりしてさえいれば問題なかったはずだ! …うん、俺悪くない!


「それでその説明をするだけの時間はあるんですか?」


 聡莉さんナイス! そうそう、そのため来たんなら説明してくれなきゃ困る。


「う~ん…全部を私が説明する時間はなさそう…、この子の体を限界まで酷使すればできそうだけど……それはやりたくないんだよね~、この子便利だし……、あっ! そういえば聡莉チャンは知識を持ってたよね? その加護目覚めてたよね?」

「え、あ…はい、その加護を持ってますけど……」

「よかった、なら聡莉ちゃんの頭に情報入れちゃうね! 知識の下地がなかったらこんなこともできないんだけどね~、いや~あって良かった! 知識の加護っ!」

「え?え?情報を…入れる? ……っ!!?」

「聡莉さん!?」


 コイツが喋りながら近寄ってきて、肩に触れた途端に糸が切れた人形のように聡莉さんが崩れ落ちた。


「聡莉さん!!」

「あ~大丈夫大丈夫、ちょっと急激に情報入れちゃったからその付加に耐えられなかっただけだよ~、その内目を覚ますから……、けど意識失っちゃったか! いや~まだ加護を目覚めさせてから一日目だったからね! この程度の付加にも耐えられなかったかぁ~、失敗失敗!」


 倒れた聡莉さんを確認したけど……うん、眠ってるだけに見える。ただ倒れたときに額をぶつけたのか少し赤くなっていた、後…ってコレは今は重要ではない!

 コイツはっ……失敗したで済むか! 危険なことをしやがって…。


 てかさっきから俺らがいろいろと話してても周りの奴らが反応…動いてない!? パーチェだったら少なくても俺が膝をついた時や聡莉さんが倒れたりしたら何か反応してもおかしくないと思ってたけど、何も反応なかったのはコイツが何かしたのか!?


「あぁ、この子達? そっちも大丈夫大丈夫、ちょっとお話するのに邪魔になりそうだったから控えて貰っただけ、私の行動に一々反応するんだもん、邪魔だったから少しの間だけ、ね」

「オマエっ!」

「いやだなぁ、そんなに怒んないでよ……面倒くさいなぁ、あ、本当にもうギリギリだ、この体の子も少しは回復させていきたいし……、それじゃぁ私は出て行くから、後のことは起きたら聡莉チャンにでも聞いてね! あ、召喚が止まったのは本当だよ? じゃぁね~頑張って~…」

「あ…おいっ!」


 喋り終えるともに目の前の女の体から力がなくなっていくのを感じた、と同時に崩れ落ち倒れそうになる女。


「……っとセーフ……!」


 ギリギリ地面にぶつかる前に受け止めることができたが、あのまま倒れてたら顔を床に強打してたぞ…。

 女……って巫女なんだっけ? 巫女を確認してみるが息はあるみたいだ…、大分弱ってはいるが生きてるのも感じ取れるし安静にしていれば大丈夫だろう。


 しかし…


「…あぁ~…コレどう説明するかな…」


 目の前の惨状に目を向ける。

 意識のない巫女に聡莉さん、それに立ったまま意識が奪われている巫女の護衛っぽいやつら四人にパーチェ。


 この惨状を誰かに見られたら、誤解されて俺詰むんじゃないのか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

6/12の召喚者 @kenkou5466

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ