第4話嘔吐してしまう邪悪
『心読探偵』願間虚暗は心は読めても空気は読めないーーーーーーー
「この中に紛れてる怪盗エルメシア、誰か分かりました!ここの多目的トイレに行って鍵をかけるので怪盗エルメシアの人はノックをして、入ってきてくださいね!僕は性善説者ですからね!きっと来てくれるのを信じてます!僕が説得して改心させてあげます!!」
菩薩いつきは彼に対してこう思った。
てめぇは仏でもないし僧侶でもないだろ、素人とは黙っとれーーーー
それを尻目に『心読探偵』願間虚暗はそのまま多目的トイレの方へと行ってしまった。
◆
「あっ、自分が怪盗エルメシアですね」
『暗殺探偵』瀬華宮拓爵が『心読探偵』願間虚暗が去った後、そんな事を言う。
「というより、これから成る、といえばいいのか、密室殺人の推理の極論は生き残った一人が真犯人、では、今から皆さんを皆殺しにしたら、自分が怪盗エルメシアってことになりません?違っても怪盗エルメシアだったモノの顔の皮膚を剥がせばいいだけですし?」
そんな物騒な事を言い始めた、こののっぴきならない発言と荒唐無稽な殺人予告はまるで殺人鬼探偵黒贄礼太郎のようだが、この男は殺人鬼探偵黒贄礼太郎のエピゴーネン、文学や芸術の分野などで、優れているとされる先人のスタイル等をそのまま流用・模倣して、オリジナル性に欠けた作品を制作する者を指す、それに近い、そもそも瀬華宮そのものが八大鬼業とは異質なる『
◆
彼にとっては暗殺家業は本業の家業の虐殺の殺人技巧の賜物である副業であって、暗殺でいながらも多数同時殺戮を得意とする瀬華宮拓爵の禍々しく忌々しくそしておぞましくとてつもなくなるまでに嘔吐感をもたらす心の有り様、目的を知り、『心読探偵』願間虚暗は多目的トイレに駆け込み、便座を上げ、便器に吐瀉物を大量を出した、酸性の胃液が絡み合い、喉が焼ける、それでも出し続けた。
「ウ、ウボボボッ!ボボッウォボォエッ!」
多目的トイレをノックする者はきっと死神であろう、死の猶予を彼女は伸ばしただけだった、それがあくまで、彼女の推理だった。
覚者探偵の我執 飛瀬川吉三郎 @hisekawa
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