病気の物語である以上に苦悩の物語

この小説は「うつ病」を描いたと銘打たれています。

そのとおり、主人公はかつてうつ病状態にあった作者自身です。

その主人公に人が寄り集まります。いずれも、魅力的で、気さくで、そして不誠実。

世を渡る術に長けた人間達に主人公は翻弄されます。主人公の心は、食い荒らされます。平常心の人間にも辛い出来事が主人公を襲います。

その人間の無慈悲さは病気のそれを超えます。

これは、病気を患い薬を飲んで寝ているだけの話ではありません。苦しむに十分な仕打ちにあい運命を呪い苦悩する人間の物語です。

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