一番ぐはっと来たのは「ハッピーエンド」。言葉にできない何かが私を責め立てるような心をぶっ刺すような。暗い話というのは、明るい話より熱が籠ると思います。それは書き手もですが、読み手もです。この作者様が描くキャラクターは、生きた人間そのものの熱を持っています。一篇一篇が他人事ではないと思う。主人公は私であると思う。何度もキャラクターたちの言葉を反芻する。明るいだけでは救われない何かがある短編集です。
毒を吐くのはむづかしいものです。鑑賞に耐えるものにするのは至難の業。貴重ですよね。すっとします。落ち着きます。そういう効果があるのですね。毒をもとめる者へ。
作家の彼とその読者。愛の形は1つではないと。愛は優しいだけではないけれど、それでもどこまでも優しさに溢れている。その事を教えてくれました。
大変奥深かったです。少なくともわたしにとっては考えさせられる内容でした!「ハッピーエンド」の定義について、小説の主人公たちにとってのハッピーエンドと、読者にとってのハッピーエンドが必ずしもイコールにならないなぁと思いながら執筆しています。前者は客観的に作品評価できそうですが、後者は読者にいかに納得する終わりを提供できるかという部分。この作品のおかげで、改めて考える機会に恵まれました。ありがとうございますー!
概要には暗いとありますが、暗いとはわたしは感じませんでした。1話毎にネガティブな終わりかたはしますが、憂鬱な気持ちにはならない不思議な短編集です