2021年8月

他サイトのコンテストから考えさせられたこと

   

 昨日「小説家になろう」で、大きなコンテスト「第9回ネット小説大賞」の一次選考の結果発表がありました。

 カクヨムではなく他サイトの話になってしまいますが、改めて「サイトによって、それぞれ色々と違う」と考えさせられる結果でした。

 また、今年は例年より遅くなりましたが、いつもならば「ネット小説大賞」(なろうコン)はカクヨムコンと同時期に開催されるコンテストであり、応募総数の規模的にも、カクヨムでいうところのカクヨムコンに相当するコンテストだと私は考えています。

 そんなわけで、比較の意味で、ここで少し昨日の結果発表について語ってみたいと思います。



 まず『応募総数の規模的にも、カクヨムでいうところのカクヨムコンに相当するコンテスト』という話。

 今年の「ネット小説大賞」(なろうコン)は、昨日の公式発表によれば応募総数14,271作品。そのうち一次通過は1,841作品。ただしTwitterの「第9回ネット小説大賞」公式アカウントでは『1,846作品』というように、微妙に違う数字になっていますが、発表ページに書かれた方を信用しておきましょう。どちらにせよ、約1,800作品です。

 今年のカクヨムコンの応募総数は、「第6回カクヨムWeb小説コンテスト」が7,188作品で「カクヨムWeb小説短編賞2020」が7,761作品ですから、両方合わせれば14,949作品。中間選考通過は、それぞれ903作品と768作品ですから、合わせて1,671作品。

 数字的には、ほぼ同じくらいと考えて良いでしょう。


 私個人は、「第6回カクヨムWeb小説コンテスト」に2作品、「カクヨムWeb小説短編賞2020」に103作品応募したので、今年のカクヨムコン全体では105作品応募。そのうち長編の方は全滅、短編の方は2作品が中間選考に通過しました。

 一方、「第9回ネット小説大賞」への応募は128作品。カクヨムコンより少し多いものの、これくらいならば『少し』に過ぎません。だから私個人でも、ここまでは二つのコンテストは似たような数字だったのですが……。

 昨日の一次通過発表を見たら、私の通過作品は7作品。これはカクヨムコンの中間通過2作品よりも、明らかに「多い!」という感覚です。

 そもそも一つのコンテストで7作品も一次通過したのは、私にとっては初めてです。いや『私にとっては』どころか、ほとんどの皆様が経験ないですよね?

 まあ「100作品も応募すれば、それくらい通って当然だろ!」と言われるかもしれませんが、ここが一つの面白いポイントです。同じく100作品以上応募した「カクヨムWeb小説短編賞2020」では、2作品しか中間通過していないのですから!

 単純に「私の作品が面白くないから評価されなかった」というのもありますが……。

 カクヨムコンを分析した方々のエッセイを読んでいくと、「カクヨムWeb小説短編賞2020」では、同作者の最大通過数は3作品だったそうです。「カクヨムWeb小説短編賞2020」は読者評価の関わる選考ですから、外野からでも「これが通過していないのはおかしい」というのは見えてしまいます。それも加味すると、どうやら「同作者の最大通過数は3作品まで」という暗黙のルールがあったように思われる、という話でした。

 そうだとしても私は上限に達していないので、やはり「私の作品が面白くないから評価されなかった」というのは間違いないのですが、それでも。

 たとえ素晴らしい作品をたくさん書いて応募したところで、上限に引っかかって中間通過できない作品が出てきてしまう。これはたくさん応募した作者にしてみれば悲しい出来事ですが、その分他の応募者の作品が通過できる余地が生まれると考えれば、デメリットだけでなくメリットもあるルールです。

 もちろん、これは「そういう暗黙のルールがある」という想像に基づいた話に過ぎません。でも今回「ネット小説大賞」(なろうコン)で7作品も一次通過したことで、改めて「良くも悪くも、カクヨムコンとは違うのだなあ」と感じる点を一つ、見つけたような気がしました。



 今回の「ネット小説大賞」(なろうコン)で一次通過したのは、具体的には以下の7作品でした。全てカクヨムでも掲載している作品であり、URLはカクヨム版のもの。参考までに、カクヨムと「小説家になろう」での読者評価も記載しておきます。


『緋蒼村連続殺人 ――転生したら殺人事件の真っ只中――』

(カクヨム ★55、39人のフォロワー )

(小説家になろう 91ポイント、ブックマーク25)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889356374


『ころしや探偵の事件簿「記録に残されたアリバイ」――転生先は探偵助手――』

(カクヨム ★16、10人のフォロワー )

(小説家になろう 29ポイント、ブックマーク3)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889174898


『「俺はウイルスである」――転生したらウイルスだったというおはなし――』

(カクヨム ★21、15人のフォロワー )

(小説家になろう 20ポイント、ブックマーク2)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889074911


『われは転生者』

(カクヨム ★42、9人のフォロワー )

(小説家になろう 14ポイント、ブックマーク2)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890175933


『おんがえし』

(カクヨム ★8、2人のフォロワー )

(小説家になろう 4ポイント、ブックマーク0)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054935552638


『わが隊を統率するは不敗騎士』

(カクヨム ★4、2人のフォロワー )

(小説家になろう 10ポイント、ブックマーク1)

https://kakuyomu.jp/works/16816452218317828396


『ダイイングメッセージ10101』

(カクヨム ★6、1人のフォロワー )

(小説家になろう 8ポイント、ブックマーク0)

https://kakuyomu.jp/works/16816452219258708768


 長編1作品、中編1作品、シリーズものの短編1作品、単発の短編4作品です。

 一応説明しておきますと、カクヨムの★が一人で3つまで入れられるのに対して、「小説家になろう」のポイントは10点満点。しかもブックマーク1件につき2点加算されます。ですから数字的にはカクヨムの3倍か4倍になるはずなのが、「小説家になろう」のポイント評価です。

 それを踏まえて評価数字を見てみると、特に単発の4短編(『われは転生者』と『おんがえし』と『わが隊を統率するは不敗騎士』と『ダイイングメッセージ10101』)は、本当に「小説家になろう」では低評価!

 4作品のうち3作品はカクヨムでも低評価ですから『「小説家になろう」では』とは言えないかもしれませんが、感覚的には「あちらでは短編は埋もれてしまって読まれる機会が少ない」と改めて感じたのでした。

 そんな作品でも、「ネット小説大賞」(なろうコン)では一次通過できるのです。これはカクヨムコンとは大きく違う点ですね。カクヨムコンは読者選考ですから――短編の方でも読者評価が参考にされますから――、埋もれて読まれない作品が日の目をみる可能性は低いでしょう。



 これら4つの短編は、個人的には、カクヨムとは切っても切り離せない作品なのでした。

 まず『われは転生者』。

 2019年6月末の作品なので、私がカクヨムを使い始めて2ヶ月くらいの時期です。カクヨムで短編執筆の楽しみを覚えて、短編を書きまくっていた頃ですね。カクヨムに来なければ生まれることもなかった作品でしょう。

 ★42というだけで「私の作品の中では評価されている方の部類」となります。カクヨムの皆様には楽しんでいただけている、と思える作品です。

 いわば初期の自信作です。

 そんな作品が「小説家になろう」の方では埋もれてしまっている。それが大きなコンテストで一次通過したのですから、本当に嬉しいです!


 次に『おんがえし』。

 これこそ、カクヨムがなければ生まれなかった作品です。「5分で読書」短編小説コンテスト応募用に書いた作品ですから!

 あのコンテストでは、私は既存の短編を10作品と、新しく書いた5短編を応募していました。新作5作品のうち、特に「通学路、振り返るとそこにいる(ホラー)」テーマで応募したこれと、「最後はかならず私が勝つ(どんでん返し)」テーマで応募した『花泥棒は密かに盗む』の2作品は、かなりの自信作で……。学校の朝読で読みたい短編小説を募集するというコンテストの趣旨を意識して、「これぞ子供に読ませたい作品!」と思いながら書いていました。

 当時の自信のほどは、中間選考の結果発表が楽しみ過ぎて、夢に出てくるくらい。その夢については、このエッセイでも記事にしましたね。


「カクヨムについての夢」

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054889095417/episodes/1177354055540102675


 でも、しょせん私の自信は独りよがり。

 中間選考では全滅でした。

 恥ずかしながら「カクヨムについての夢」なんてエッセイを書いてしまったので、その後「現実は甘くない」という記事タイトルで落選報告もしましたね。

 今その落選報告を読み直してみたら、


>特に2作品は、コンテストの主旨である「学校の朝読で読みたい短編小説」を意識して、子供向けの文体で書いたくらいです。

> でも、全て落選しました。

> 大事なことなので、もう一度。これが現実ですね!

> 期待していただけに、落胆も大きいです。


 と書いてありました。本当に期待も落胆も大きかったようです。

 そんな作品の一つが、別のコンテストで一次通過したのです! 私だけの勝手な『自信』ではなかったのですね!

 ちなみに、上記2作品のもう片方である『花泥棒は密かに盗む』。今回「ネット小説大賞」(なろうコン)でも一次通過しませんでしたが、感想サービスには当たって、しっかりした感想を公式からいただきました。良い点も悪い点もきちんとコメントしていただき、それだけで満足できました。

 感想サービスの件も含めれば、2作品とも救われたような気分です。

 なお、もう一つ『ちなみに』。全く別の作品であり今年は一次通過しませんでしたが、去年の「ネット小説大賞」(なろうコン)でも「カクヨムのコンテスト向けに書いて応募して中間通過しなかった作品が『ネット小説大賞』では一次通過した」というのが一つありました。

 コンテスト応募のために書いた作品は、そのコンテストでは全く評価されずとも、別のコンテストで少しは評価されることもある。そんな例が、2年連続で出てきたわけです。こういうことが起きると「どんどん作品を書こう!」という気になりますよね。


 続いて『わが隊を統率するは不敗騎士』。

 この作品についても、このエッセイの中で触れたことがあります。


「カクヨムコン(2020年)私の参加状況(最終回・補足) ――ひとつ追加してしまいました――」

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054889095417/episodes/16816452218318149814


 元々「5分で読書」短編小説コンテストのどんでん返し部門用に構想を立てて、書きそびれていて、カクヨムコンの時期に書いた短編でした。

 結局「カクヨムWeb小説短編賞2020」でも中間通過は無理でしたが、「5分で読書」短編小説コンテストから寝かせていた作品なだけに、自分の中では愛着のある作品でした。今回「ネット小説大賞」(なろうコン)で一次通過したことで、とても報われた気持ちになりました。「5分で読書」短編小説コンテストには応募していなかった作品のくせに、これも『おんがえし』同様、「5分で読書」短編小説コンテストに対して雪辱を果たせた気分です。

 ちょっと違いますが「江戸のかたきを長崎で討つ」みたいなものでしょうか。


 最後に『ダイイングメッセージ10101』。

 これもカクヨムのおかげで書けた作品です。3月の「カクヨム誕生祭2021」で書いた15短編の中の一つですから!

 倒叙もののミステリ短編であり、お題である「21回目」に関して「21という数字をそう処理するのか!」と自画自賛したくなる作品なのですが……。

 ★6というのは、私が投稿した短編の中でも、かなりの低評価になります。試しに検索システムを利用して、現時点で私がカクヨムに投稿している149短編を「人気順」で並べてみたら、この『ダイイングメッセージ10101』は135番目になりました。

 149短編のうちの135番目! 後ろから数えた方が早いですね!

 でも、そんな作品でも、私と同じように気に入ってくださる方々はいるのです。そうした方々が、たまたまコンテストの選考委員の中におられたら、一次通過できるのです。

 これはこれで、報われた気分ですね!



 以上のように、今年の「ネット小説大賞」(なろうコン)一次通過は、短編中心になりました。最終的には書籍化を前提としたコンテストなので、単発の短編では、一次は通過できてもその先へ進める可能性は極めて少ないのでしょう。

 それでも、私としては満足です。個人的にカクヨムと縁の深い作品が、いくつも一次通過しましたからね!

 他サイトのコンテストでありながら「カクヨムで作品を書いていて良かった」という気持ちが強くなる。そんな一次選考の結果発表でした。

   

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