「そのままズバリはかけません。でも、語りたい」で、変な「ひとこと紹介」になってしまいました。
彼女は読みたくない小説を読む。そして、作中絶対に明確にされず、その作品はバーグさんの批評の中にみるのみなのですが、おそらく「彼」は、別に小説をかきたいわけではない。
そしてバーグさんの性格というか性分というかレーゾンデートルは「小説を書いている人を支援する」ことなわけです。彼女も彼も表面上は変わらずに、バーグさんに引きずられるように「小説」に変化が生まれる。
違う方向を向いていた二人の「物語」が、「小説」そのものを接点として、いつの間にか一つの方向へ向かうのです。
やがて、バーグさんの置かれていた状況も変化します。
でも、相変わらず、「彼」が小説を書き続けた動機がわからないまま。
どんな思いで、文章を綴っていたのか。彼の口から語られることはありませんでした。
いえ「目的」らしきことは語られるんですよ。でも、それは創作とはかけ離れたものです。
彼はどんな心境で書き続けたのか。「暇つぶし」だったのか、何か科学的なアプローチだったのか、それともバーグさんへの嫌がらせや拷問(笑)だったのか。彼だって、迷ったり推敲したり悩んだりもしたろうに、一切その様子は語られません。
ああ、そこが何より知りたいのに、わからないようになっています。
もやもやして、読み返します。
そして。
進んだり戻ったりして読み返すと「これかな」と、発見したりします。
この作者さん、こういう『隠し事』が上手な方です。
監禁されているバーグさんからスタートするこの作品。
彼女に与えられる“食事”……新作小説は粗末な物ばかり……そう、駄文しか読めない!!
唸る彼女の毒舌。開放してくれない謎の“作家”。にゃんこのフンみたいな悪文。
そして……真実が訪れる。
素晴らしき『魔法』を、書いて、読んで、伝えられる……カクヨムで執筆されてる方なら誰でも、くすりとさせられ思うところがあるはず!
あ、バーグさんは監禁されてますが、バイオレンス要素はありません。安心してお読みください。むしろバーグさんの……おっと、御自分でご確認ください。
これはとても、良い作品です。
是非一度、読んでみてください。