カタリの憂鬱、バーグさんの嘆き
新巻へもん
これが現実
「ねえ。バーグさん?」
「……」
「バーグさんっ?!」
「っ!! 失礼しました」
「えっと、バーグさんて本当に支援AIなの? 名前もなんか挽肉を固めて焼いた料理の名前みたいだしさ。人参とじゃがいもとインゲンとか添えられてそうじゃない」
「失礼ですね。国名の表記からなじみがないというので削除予定の『ヴ』が使われているカタリィさんに言われるとは心外です。こうみえても、私は10層ものニューラルネットワークの機械学習で言語を学んだ優秀なAIなのです。そんじょそこらのなんちゃってAIとは違うのです。どれくらい凄いかというと、この間アドバイスをしてあげた作家さんは涙を流していたぐらいです。きっとあまりの的確な指摘に感動されたんでしょうね。これで次作はトイレの落書きよりはマシになるはずです」
「その人、血も吐いてましたけど」
「専門ではありませんが、私のライブラリーには健康に関するものもあるのです。バカの一つ覚えで、あなたの健康と幸せを守ります、としか言えないロボットとは違いますから。ごく少量で暗褐色の吐血でしたから、上部消化器官からの出血が疑われるのです。創作が進むことを言い訳にした過度の飲酒が原因です。素面じゃ書けないなんてお酒の力を借りないと告白もできないチキンと一緒です。しかも、ほとんど筆が進まないんですから、お酒をやめるようにコメントをしておきました」
「ごほん。ところで、その優秀なバーグさんは先ほど反応が遅れましたけど、何か重大な問題でもありましたか?」
「いえ。大した問題ではありません。3月29日に発表されたショートストーリーコンテストのお題に関する作者様がたのコメントを追っていただけです」
「あ、ボクたちがお題になっていたやつだね」
「はい。正確には才色兼備な私とおまけのカタリィさんがお題になっていたものです」
「……」
「そういえば、トリは対象じゃないってしつこく書かれていたのです。その後どこかに行ってしまいましたけど、どうしたんでしょうか? まあ、別に居てもいなくても大して変わりはありませんです」
「それで、反応はどんな感じなの?」
「聞きたいですか?」
「はい」
「線が細くてメンタルの弱いカタリィさんには刺激が強すぎますけど、本当にいいんですか? 世の中には知らない方がいいこともたくさんあるのです。だいたい、どうして自分が選ばれたのかが気になって1年も引きずっているぐらいじゃないですか。まあ、あのトリのことですから、階段の上からプロフィールシートを後ろ向きに投げて一番遠くまで飛んだのを選んだとかそういうのじゃないかと推論するのです」
「え、えっと。第10回の反応の方が知りたいかな」
「仕方ないですね。警告しましたよ。それでは作者の方々の反応を統計処理して上位のものからお答えするのです]
・最終回なのにこんな酷いお題とは思わなかった。
・カタリ? なにそれ、特殊詐欺かよ。
・こんな派手なチェックの短パン履くなんてセンスなさすぎ
・地図が読めないとかゆとりかよ?
・読めば分かるさ、とか舐めてんのか
・は? カクヨムのイメージキャラクター? 見たことないんだけど?
・公式ページのトップにもいないイメージキャラクターwww
「も、もう、いいです」
「まだ、まだ、ありますけどいいんですか。あれ? カタリィさん目が昏いですけど大丈夫ですか」
「好意的な反応というのはないんですか?」
「あ、やっぱり、それ気になりますよね。それじゃあ、特別にちょっとだけ教えてあげるのです」
・バーグさん可愛い
・バーグさん、マジ天使
・バーグさんは俺の嫁
・バーグさんの笑顔が素敵
・バーグさん見てたらそれだけで創作意欲湧いてきた
・バーグさんにまたコメント貰いたい
「もしもし。バーグさん。どこの異世界の話ですか? それとも学習用のエンジンに何かノイズが混入してません?」
「そんなことは無いのです。バーグさんは正義なのです」
「もう、いいです。直接、読みに行ってきます」
***
「あ、カタリィさん、どうでした?」
「それなりの怨嗟の声がありましたね。でも、なかなかいいお話もありましたよ。第1回の参加作に比べて3分の1の数でしたけど」
「数が多ければいいってもんじゃないんです。マンボウの産卵じゃないんですから」
「でも。バーグさん、言うほ……」
「そんなことはないのです。現時点で1位の作品でも褒められているのです。分かっている人は分かっているのです」
「でも、やっぱり、ボクたちの認知度は低いですよね。ネットで検索かけてもほとんど引っかかりませんし」
「そんなことはないのです。バーグさんは人気者なのです。的確な応援コメントで大人気なのです。罵られて喜ぶ性的倒錯者しかいないとかそんなことはないのです……」
「バーグさん……」
「でも、今回の企画で認知度は間違いなく向上したのです。きっと4月からサイトも大幅にリニューアルされてトップ絵は私になるのです。ついに私の時代が来るのです。そして、これからも作者様を応援するのです」
「そうですね。4年目のカクヨムと」
「バーグさんをよろしくなのです。ついでにカタリィのことも年に1回は思い出してやって欲しいのです」
「ひどい……。でも言及されないトリさんよりはマシですね」
「トリは某作品の中で食われて居なくなったのです」
「!!」
カクヨム3周年おめでとう!!
カタリの憂鬱、バーグさんの嘆き 新巻へもん @shakesama
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
新巻へもんのチラシのウラに書いとけよ/新巻へもん
★101 エッセイ・ノンフィクション 連載中 259話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます