陰キャ物申す

りゅーと

第1話

「突然だが俺は陰キャだ」


「ほんとに突然ですね、どうしたんですか?まぁ先輩が陰キャなのは知ってますけど」


「ぐっ......まぁ、事実だから今更傷つきはしないが......んで、この前学校祭あったろ?」


「そうですね、1日目が文化祭、2日目が体育祭でしたっけ?それがどうしたんですか?」


「あぁ、そうだ。そこで体育祭について俺がいくつか思うことがあるんだがそれを聞いてほしい」


「めんどくさそうですけど暇なんで聞いてあげます」


「なんで上から目線なんだよ......まぁ話すぞ。まずは開会式の時の生徒実行委員のわちゃわちゃについてだ」


「あれですよね?実行委員からの注意とか、それぞれの組からの代表者の宣誓とか準備体操とかですよね?」


「あぁそうだ」


「あれってたまに小ネタ挟む人とかいて面白いんですよねぇ」


「あぁ、面白いだろうな」


「はい」


「......」


「......」


「仲間内ではな!!!毎度毎度のことだが全く面白くねぇんだよあれ!しかも笑ってるのは一部の陽キャだけで、俺たち陰キャはなんのことか分からず愛想笑いするか真顔でいるしかできねぇんだよ!

挙句の果てに『熱中症対策をして下さい』だぁ?じゃあお前らの寒い茶番の時間無くせよ!もっと時間縮むだろうが!しかも後ろにいる時は陽キャどもの声がボソボソしすぎて聞こえねぇんだよ!お前らいっつも教室でバカ騒ぎしてるくせにこういう時くらいいつものバカ騒ぎくらいの声出せや!」


「おぉ、先輩かなり闇が深いですね。まぁ、私もその意見については否定できないですけどね」


「そして次に競技に対しての応援だ」


「一致団結して、競技に参加する仲間を作った歌で励ますっていう組の絆が試されるあれですね?」


「そう、そのあれだ」


「今度はなんですか?」


「あれ正直お前の励ましになってるか?」


「なって......ます......よ?」


「仲間達が応援してくれてるから頑張ろうって気持ちになったことあるか?」


「......ないですね」


「そうだろ?しかもいざ競技になるとチームメイトの声なんて聞こえないだろ?」


「割と聞こえないですね」


「意味あるの?」


「......ふ、雰囲気が大事ってことで!」


「でもそいつらってやたら他のやつ誘って前に行って応援したがるだろ?」


「まぁ、応援の声を届けたいって気持ちの表れじゃないですか?」


「それで日差しがあんまり得意じゃないやつも周りが外に出るって空気になってるから外に出ることになって熱中症になったら誰が責任取るんだ?」


「その人は普通に事情を言ってテントで休めば良くないですか?」


「誰に言えばいいんだよ......どうやってテンションアゲアゲな状態の危険度100%の陽キャに話しかければいいんだよ......」


「あっ、先輩そう言えば去年......」


「何も言うな......まぁ体育祭について思うことは以上だ。そして最後に文化祭について一言!」


「文化祭ですか?文化って言うくらいだから先輩は好きそうですけどね?」


「文化祭はあくまで文化を装ってはいるが実際は陽キャしか活動してねぇだろ。陽キャ自体が文化ってか?やかましいわ」


「これに対しても否定出来ないですね......」


「結論から言って陰キャな俺は陽キャな奴らが嫌いということだ」


「先輩?」


「なんだ?」


「私って陰キャか陽キャかどっちだと思います?」


「間違いなく陽キャだな」


「でも私と先輩って付き合ってますよね?」


「......あぁ」


「なんでですか?」


「......」


「あれ?もしかして緊張しちゃって答えられないとか?」


「これだから陽キャは!!!」

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