ルール
けんざぶろう
コレは言い訳ではない。
世の中は、ルールによって縛られていると、俺は思っている。
社会は法律というルールに沿って動いているし、学校や会社、住んでいる地域などにも細かなルールがあり、それを守ることによって、市民は安心して暮らしていけている。
つまりルールとは、より過ごしやすくするために存在し、より良い生活を送れるために決められたものなのだろう。
しかし、疑問もある。 ルールを守ることに何か意味があるのかということだ。 いきなり矛盾したことを射ていると思うが、まずは聞いてほしい。
俺が疑問に思っていることは、犯罪行為などを抑制するための法律という大きなルールについてではない。 法律の必要性は、子供の俺でも十分に理解しているつもりだからだ。
では、何事に対してのルールに俺が疑問を抱いているかというと、ローカルルールについてである。
例えば、校則で髪を染めることが禁止だったとしよう、コレは、集団生活を行う者にとって必要なことだろうか? 派手な髪だったとしても誰に迷惑がかかるだろうか? 確かに世間体から見れば学校の評価が下がることにつながるかもしれない、だが道徳の授業などで人間の本質は中身だとさんざん教えてきた学校側がそれを否定する意味が分からない。
加えて言うならば、そのような、細かなルールを守らない人間に罰則を与えることも間違っていると思う、確かに社会のルールを守れない者は犯罪者として捕まるし、罰が与えられて当然だ。
しかし、校則を破ったところで犯罪ではない、社会のルール違反ではないため、これと言って罰則を与える必要はないのではないだろうか。 罰の内容も反省文や、親への面談。 ボランティア活動の強要など意味不明の物ばかりである。 そんなことをやったところで根本的に解決しないし、違反するものも減るわけがない。
しかし、だからと言って、体罰に走るのも愚かなことだと俺は思う。 確かに言うことを聞かないのならば手をあげたくなる気持ちも分かる。 しかし教員である者は、生徒を導く義務がある。 荒れた生徒にはまず話し合いから始めるべきだろう。 まあ、話し合いができなかった結果体罰に頼ってしまうのならばそれは、教師の器量の問題だとも俺は思う。
失礼、ずいぶんと話がそれてしまった。
つまり、話をまとめると、社会のルールが一般的な世間の常識であり、校則などのルールによって生活が保障されている人々を脅かす存在ではないということを俺は言いたい。 犯罪でもないのに、それを良しとしない多数のルールの模範生は、ルール違反である者を認めないのはしょうがないとは思うが。 まずは、互いに認め合うことから始めるべきだろうとも思う。
だから先生、その手に持ったバリカンを下ろしてください。 まず話し合いから始めるべきなんです。 お願いしますから。
「結構、長い言い訳だったな。 だが、髪を染めてきたお前が悪い。 あきらめろ」
そう言って生徒指導の山下は、俺が染め上げた髪にバリカンを入れた。 彼もまた学校の規則にとらわれた哀れな人間だったのだろう。
ルール けんざぶろう @kenzaburou
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