タイトル未定、海を歩く物語
海は、綺麗だった…
深い青色をした世界を沈んでいく。
だが周りには薄い光を反射し、精いっぱい自己主張をする魚たちがいた。
身に着けていた物のおかげで死なず、だがしかし浮かぶことも出来ない。
――――――――――
段々と暗くなっていき、次第には光が届かない真っ暗な世界が訪れた。
さらに深く深く、闇へ落ちて行った。
そうしてどれだけの時が経っただろうか。
ふと落下感がなくなった。海の底だろうか。1週間は動き回れるようになっているが、それを越えたら水圧でぺしゃんこだ。なんとか歩くことは出来る。地上はどっちだろうか、間違えたら死んでしまう。
コンパスによれば…あっちだな。私は調査とその記録を持ち替える為の、最初の一歩を踏み出した。
真っ暗な世界ではあるが、時折すぐ近くを魚が通ったり、ぶつかったりする。
帰路を進んでいると、ほんのりと明るいものが見えた。近くによってみると、大きな魚が見えた。これがチョウチンアンコウか。
頭部から出た触覚のような部分に発光する細菌を住ませている、ということはその部分を切っても光るのだろうか。
チョウチンアンコウを通り過ぎ歩いていると、目の前に何かが降ってきた。
上を向くと、顔の前のガラスに何かが絶え間なく乗る。
積もったものを振り払い、ペンライトを起動し空に向けた。
そこには、大小様々なものが降り注いでいた。マリンスノーだ。
死骸や排泄物が降ってくる現象の事を指す。綺麗だからもう少し見ていたいが、これ以上ここにいてライトをつけていると、これを求めて集まった魚やライトに群がられたりと危ないので、早めに移動しよう。
だいぶ離れた、もうそろそろ安心だろうか。と言っても、マリンスノーは珍しいことではないし、どこに危険があるのかも分からないので気休めでしかないが。
海を歩いていて気が付いたが、案外足元に何もない。
珊瑚や海藻がない。植物の生存に必要な光がないからだろう。当たり前のことではあるが、普通海水浴をするような深さと言えば海藻があるのが普通だったので、改めて深海なのだと感じる。
だが、先述のマリンスノーが積もることもあり、貝や蟹などは見かける。
そうした光景を見ながら、私は陸のある方向へ向かっていった
ネタ帳まとめ 牙桜 @gaou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ネタ帳まとめの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます